W杯予選は結果がすべて。素直に選手、監督をホメるべきだと語るセルジオ越後氏

主将の吉田、その吉田とコンビを組む冨安、守備の要となるふたりに加え、攻撃陣も古橋、三笘が故障で不在。万全とはいえない状況で迎えたカタールW杯アジア最終予選の2連戦(vs中国、vsサウジアラビア)で、日本はきっちり勝ち点6を奪った。W杯予選は結果がすべて。素直に選手、監督をホメるべきだね。

選手起用についての批判もあるなか、森保監督は2試合とも先発を変えなかった。これは僕の勝手な推測だけど、彼は中国には問題なく勝てると踏んでいて、この試合を大一番のサウジ戦に向けての準備としても考えていたんじゃないかな。

つまり、実戦を通じて吉田と冨安の代役の谷口と板倉、公式戦から遠ざかっていた国内組(大迫、長友、酒井ら)のコンディションや連携を高めようとした。

また、試合内容を見ると、2試合とも安全第一の試合運びに徹していた。

中国戦では明らかに相手との力の差があり、主導権を握っている時間が長いにもかかわらず、強引に3点目、4点目を取りに行くことなく、90分間を通して守備に重点を置いていた。

サウジ戦も相手の強さを認めた上で守備的に入った。南野のゴールで先制したけど、前半はサウジが攻め込む場面が目立ち、日本は受けに回る時間が長かった。でも、後半に入ると、長距離移動の影響なのか、サウジの運動量が落ち、日本は危なげなく逃げ切った。

もっと点を取れたという考えもあるけど、2試合共に相手にまともな決定機をつくらせずに完封勝利。ホームの利を生かした、森保監督のプランどおりの展開だったんじゃないかな。

そのプランの中心となったのが、遠藤、守田、田中 碧の中盤の3人。トリプルボランチといっていい。中国戦もサウジ戦もこの3人のプレスが効果的だった。ボールを奪う力があるし、攻守の切り替えが早く、危なくなりそうな場面ではファウルをしてでも相手を止める。最終ラインの谷口と板倉も助かったと思うよ。

そして、2試合通してのMVPはもちろん、伊東。いや、MVPというよりも、新しいスターの誕生だね。中国戦で先制点になるPKを誘い、試合を決める豪快なヘディングシュートを決めた。

サウジ戦では南野の先制点をアシストし、後半に胸トラップからのボレーシュートを決めた。2試合の全ゴールに絡んでいる。そして最終予選4試合連続ゴール。素晴らしいよ。

柏でプレーしていた頃からスピードは際立っていたけど、ここまでの決定力はなかった。ベルギーでも得点は決めていたけど、サイドのチャンスメーカーというイメージが強かった。それがまさかここまで点を取るとはね。

攻撃面はもちろん、守備もしっかり頑張っているし、久保や堂安を押しのけ、代えの利かない選手になったね。正直、この最終予選で彼がいなかったらと考えるとぞっとするくらい。今後もケガだけには注意してほしい。

今回の勝ち点6で日本はグループ2位の座をキープ。残り2節で3位オーストラリアとの勝ち点差は3。来月末の直接対決はアウェーとはいえ、日本はかなり有利な状況で臨める。

また、オーストラリアが最終節に首位サウジとのアウェー戦を残しているのも大きいね。とはいえ、勝負は最後までわからないので、油断せず3月の2連戦に備えてほしい。

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