ACL組以外では鹿島が面白いと語るセルジオ越後氏

明暗がはっきり分かれたね。カタールW杯アジア最終予選による中断期間を迎えているJリーグ、ここまでのシーズンで気になったのは、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)に出場する4チーム(川崎、横浜Fマ、神戸、浦和)の戦いぶりだ。

11月にカタールW杯がある今年、Jリーグはシーズンを前倒しして開幕した。例年よりもオフの期間が短くなり、選手にとってはコンディション調整が難しく、チームづくりに充てられる時間も少なかった。

そんななか、ACL組はいきなり週2ペースの過密日程で試合をこなすことになった。もともとターンオーバーできるほどの分厚い選手層を持つチームなんてない。故障者やチームによってはコロナ感染者が相次ぐなど、どこも台所事情は苦しかったね。選手や監督にはちょっと気の毒な状況だった。

それでも、3連覇を狙う王者・川崎はさすが。まだ実績の少ない若手をどんどん使いながら、5人の選手交代枠を活用し、なんとかやりくりした。7試合で5勝1分け1敗なら上出来じゃないかな。

レアンドロ・ダミアン、家長、谷口ら中心選手の負担が大きいこと、故障離脱中のジェジエウの復帰時期がいまだ見通せないことなど今後に向けての不安も少なからずあるけど、大崩れはしないと思う。

そんな川崎とは対照的に、スタートダッシュに失敗したのが神戸だ。7試合で4分け3敗と未勝利。三浦監督は早くも契約解除となった。

彼はもともと神戸の強化責任者(スポーツダイレクター)で、一昨年9月のフィンク前監督の退任を受け、監督に就任。監督交代の多い神戸にあって、指導経験がなかったにもかかわらず、これまでよく続いたと思う。

でも、プロは結果がすべて。今季はコロナの影響で開幕前のキャンプが短縮されたり、主力に故障が相次いだりと難しい状況が続いていたけど、タイトル獲得を目標に掲げるチームなら、この成績での解任は妥当だ。

神戸はお金も口も出すといわれる三木谷さんがオーナーを務める特殊なチーム。しかも、三木谷さんの意向で獲得したと思われる主力には、30歳を過ぎたベテランが多い。イニエスタももう37歳。ケガがちでフル回転は望めない。

かといって、オーナーの手前、彼抜きでのチームづくりは考えにくい。だから今後、暫定監督として指揮を執ることになったリュイスコーチも苦労するんじゃないかな。我慢のシーズンになるし、残留争いに巻き込まれるかもしれないね。

ACL組以外では鹿島が面白い。5試合で4勝1敗とまずまずのスタートを切った。オフにFWの鈴木を獲得したのが大きかったね。前線でよく走り、よく体を張り、チームに勢いをもたらしている。負けず嫌いな性格がよく伝わるプレーぶりだ。

また、鈴木が加わったことで、2トップを組む上田の負担が減った。彼は昨季後半からすでにゴールをたくさん決めていたけど、今季はさらに迫力が出てきた。今は本人も自信を持ってプレーできているんじゃないかな。

鹿島は守備陣の選手層が薄い。また、第2節の王者・川崎との対戦では力の差を見せられるなど(0-2)、まだまだ課題も多いチーム。それでもようやく来日できたレネ・ヴァイラー新監督の下、今後どんなサッカーを見せるのか、注目したいチームだね。

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