こんにちは、野球大好き山本萩子です。
おかげさまでNHK BS1の「ワースポ×MLB」のキャスターも、今年で4年目を迎えました。メジャーの試合がある日は、朝起きてまず3試合見てから仕事に向かっています。
今では日本のプロ野球と同じくらいMLBを見ますが、キャスターのお仕事をする前は、あまり熱心に見てはいませんでした。でも今ではずっぷりとはまってしまい、MLBのない生活は考えられません。今回は、そんなMLBの魅力についてお届けしようと思います。
MLBをひと言でいえば、野球の最高峰。現在では日本人の活躍が当たり前になり、大谷翔平選手のような大スターも誕生しました。でも、MLBと日本のプロ野球はまったく違うものだと思っている方も多いのではないでしょうか?
日本のプロ野球は観るけど大リーグには熱心ではない、そんな人に理由を聞いてみました。
・移籍が多いからチーム愛が少なそう
・全力疾走しなそう
・バントをしなそう
正直に言いますと、私も似たような偏見を持っていたことをここで白状します。でも3年以上、毎日のようにメジャーを見てきた今ならわかります。彼らはチームが優勝するためにプレーしています。どんな一瞬でも、まったく手を抜きません。内野ゴロで全力疾走しない選手のほうが、むしろ少ないくらい。「フォア・ザ・チーム」の精神を皆が持っていることがわかります。
シーズンが進めば進むほど犠打(送りバント)が増え、そのプレーはきちんとチームから評価されます。いろいろな評価軸があり、選手の個性と献身性をきちんと評価しようという公平さを感じます。
さらに、MLBの野球は緻密で合理的。戦力差があるチームでも、あらゆる手を使って勝つための野球を仕掛けてきます。
意表をついた戦略も日常茶飯事。ユニークな守備シフトを敷いたり、本来はクローザーである投手に先発させて試合の主導権を握ろうとしたりと、どんな手を使ってでも敵の裏をかこうとしてきます。
そんな戦略のもとになっているのが、膨大なデータです。コース別、球種別の打率などの緻密なデータが蓄積されていて、たとえばバッターの大谷選手をこの場面で抑えるなら、このコースにあの球を投げるしかない、という明確なデータがあります。
試合を見ている私たちにもどんどんデータが提供されるので、飽きさせません。さらにCGや立体図を使って解説してくれるのでとてもわかりやすい。故・野村克也監督の野球が好きな人なんかは、きっとはまると思います。
プレーが既成概念にとらわれてないことにも注目してください。たとえば、守備時に正面で捕球するという基本も、彼らには関係ありません。大事なのはいかに早く捕って早く送球するか。
取材で話を聞いてびっくりしたのは、彼らは様々な体勢から送球する練習をしていること。ノックの練習でも、よく飛んでくる打球だけを徹底的に練習したりと、とにかく合理的なんです。試合中、選手の自由な発想から生まれるプレーは見ている人をワクワクさせてくれます。
最後に、あまりMLBを観ていない人でも面白い!と思ってもらえるおすすめの選手を3人紹介させてください。
1)デトロイト・タイガースのハビアー・バイエズ選手
内野手としての高い能力を持ち、華麗な守備、さらに意表を突くトリッキーなプレーも。野生味溢れるダイナミックなプレーからは目が離せません。メジャー屈指の人気選手です。
2)ニューヨーク・ヤンキースのジャンカルロ・スタントン選手
大学進学時は野球とアメフトの両方から熱心に誘われたというアスリート。体も大きく、いかにも打ちそうな雰囲気をたたえた打者で、その見た目を裏切らず、どんな体勢からもスタンドに放り込んできます。
3)ホワイトソックスのジョニー・クエト選手
思わず「ボーク?」と言いたくなる変則モーション。とにかく個性的な投球フォームで人気。ランナーがいないのにクイックで投げたり、相手とのタイミングをずらすピッチングには注目です。
MLBはまさにエンタメの最高峰と言えるでしょう。ということで、試合のダイジェストやMLBの魅力をお伝えする「ワースポ×MLB」もぜひご覧ください。ちゃっかり宣伝したところで、また来週お会いしましょう。
★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン