シーズン最後までだんご状態が続きそうだと語るセルジオ越後氏

今季のJリーグは横綱不在。シーズン最後までだんご状態が続きそうだ。

2月の開幕以降、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)参加の4チーム(川崎、横浜Fマ、神戸、浦和)と、それ以外のチームとの間でバラバラだった消化試合数がようやくそろってきた。気になるチームをピックアップしたい。

まず3連覇を狙う川崎。着実に勝ち点を積み重ねているものの、昨季、一昨季のような圧倒的な強さはない。特に、自慢の攻撃力は半減した。でも、それも当然だ。守田、三笘(みとま)、田中 碧、旗手、(中村)憲剛と、毎年のように中心選手が海外移籍や引退をするなかでサッカーの質を保つのは、どんな監督でも難しいよ。

それでも、軸となるレアンドロ・ダミアン、家長が健在で、左サイドのマルシーニョが好調。また、ジェジエウが長期離脱中の守備陣も、GKチョン・ソンリョンを中心に相変わらず安定している。ACLでのグループステージ敗退には正直、「またか」とがっかりしたけど、Jリーグでは今後も大崩れはしないだろう。

その川崎と首位を争う鹿島は、鈴木の復帰が大きい。以前のように「俺が、俺が」ではなく、一歩引いて周囲の選手を生かすプレーもできるようになった。だから2トップを組む上田が点を取る仕事に専念できるんだ。彼の献身的なプレーには成長を感じるよ。

ただ、チームとしては守備陣に課題がある。センターバックの関川、ブエノは最終ラインからの攻撃の組み立てという点でかなり厳しい。ミスパスをしてカウンターをくらうことも多い。試合運びが安定しない。そこが、攻撃面でも貢献できる谷口や車屋のいる川崎との大きな違いだ。

レネ・ヴァイラー監督はボランチの三竿(みさお)を最終ラインで起用するなどして改善を試みているけど、それがどう出るかだね。

面白いのは、外国人枠を有効活用して上位につける横浜Fマ。先発11人中5人がブラジル人ということもある。日本人は若手が多いけど、仲川、西村、畠中、水沼ら実績のある選手もいるし、今後、外国人選手の出来次第では波に乗る可能性もある。

そのほかでは柏と鳥栖は、選手のキャスティング的に優勝を狙うのは難しいけど、よく頑張って上位につけているね。注目に値するチームだ。

一方でふがいないのは、ACL組の浦和と神戸。共に低迷している。

浦和はボールを持つ時間が長く、サイドから仕掛けられる選手もたくさんいて、それなりにチャンスもつくるんだけど、点を決める人がいない。引いて守る相手を崩し切れない。ボクシングなら判定勝ちになるんだけどね。これはサッカーだ。点を取らないと勝てない。ケガの多いユンカー以外にも、高さのあるストライカーが必要だ。

もっとつらいのは神戸。11試合終了時点で未勝利の最下位。後ろからボールをうまくつなげずにカウンターをくらってばかり。引退したフェルマーレンの穴は想像以上に大きかった。

これだけ勝てなければチームの雰囲気は悪くなる。イニエスタも故障がちで当てにならない。選手の顔ぶれを見れば、さすがにJ2降格はないと思うけど、とにかく明るい材料がない。

こうなったら、先日、一部報道で噂に上った今夏のセルヒオ・ラモス(パリ・サンジェルマン)獲得が実現すれば面白いけど、三木谷オーナーはどうするつもりなのかな。

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