みなさんこんにちは、野球大好き山本萩子です。
今日はプロ野球の醍醐味、継投についてお話しさせてください。
高校野球では、ひとりで全試合を投げ切ることがエースの条件とされた時代がありました。しかし、若いうちから肩を酷使することが問題視され、最近では以前のような連投につぐ連投ということは減りました。しかしそれでもエースの存在が絶対、ということは変わりません。
それに比べて、プロ野球では1試合に何人ものピッチャーが登板するのが当たり前で、先発投手以外にも素晴らしい投手が何人も控えています。それゆえ、継投という作戦がとても有効になります。
野球をたくさん見てきた私が思うのは、継投のタイミングほど難しいものはないということ。さらに、継投には監督やチームの個性が出るものだと思っています。
たとえば、先発のエースが失点を重ねても交代させない監督がいます。それはチームの大黒柱には、頑張って6回までは投げてほしいというメッセージかもしれません。さらに細かく見ていくと、2アウトから交代させる監督と、そうでない監督がいたりします。そのような継投の個性を見るのはとても楽しいものです。
メジャーには投手の「100球制限」があり、イニングはあまり関係ないので参考にならないかもしれませんが、やはり投手の心理としてはイニングの最後まで投げ切りたい思いがあるようです。それでも次の打者との相性を考えて、思い切って交代させる。私はそういう采配がとても好きです。
名将と名高いロサンゼルス・エンゼルスのジョー・マドン監督は、とにかく判断が早い。続投させて打たれたら投手の責任になってしまいますので、早めの継投を判断する監督は、責任感も強いようにも思えます。
2022年4月、ロッテの佐々木朗希投手が2試合連続の完全試合を達成目前で降板したことが話題になりました。
歴史的な瞬間を見たいというファンの気持ちはよくわかります。それよりも、井口監督は佐々木選手の将来を考えたのだと思います。
また、監督は選手を守るのはもちろん、試合を守るという責任もあります。私が若かった頃は(まだまだ若いつもりですが)「ここまで頑張って投げてきたのに、なんで替えるだろう?」と疑問に思っていましたが、大人になってからは、チームを勝利に導くための采配の重要性がわかるようになりました。
もし継投に失敗して打たれれば、ベンチが叩かれるのは火を見るより明らか。ファンというのはどんな采配に対しても文句を言うものです。しかし、その継投の判断も、シーズン最後に一つでもいい順位にいるための、リスクを避けたマネジメントだと考えたら、すべての采配に納得できる気がしませんか?
ちなみに、我がヤクルトの高津監督の采配は意外と正統派。メジャー経験もあり、理論派でもあります。高津監督と井口監督は似ていると思っていて、佐々木投手交代の件は、高津監督でも同じような判断をしたと思います。
日ハムの新庄監督も直感派のように見えて理論派。以前、インタビューで選手交代の理由を聞かれた時に「次のバッターの特徴を踏まえた上で決断した」と語っていて、とにかく選手を見ているんだなと感じました。采配にもそれが表れていますよね。さらにお客さんを楽しませる「興行」を強く意識した、プロらしい監督とも言えます。
自分が選手だったら、そういう理論派な監督の下でプレーしたいなと思う山本でした。
来年のドラフト指名、お待ちしております!
★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン