選手たちにはW杯のつもりでプレーしてほしいし、森保監督も本番を想定した采配をお願いしたいと語るセルジオ越後氏

W杯のシミュレーションとして楽しめそうだ。

6月の強化試合4連戦(vsパラグアイ、vsブラジル、vsガーナ、vsチリもしくはチュニジア)に臨む日本代表のメンバー28人が発表された。故障離脱中の酒井 宏を除けば、これまでと大きな変化はなく、ほぼ順当な顔ぶれだ。

森保監督体制で不動のワントップを務めてきた大迫の選外を意外に思う人もいるかもしれないけど、今の彼の状態を考えれば妥当だ。故障を抱えるなどコンディションが悪く、Jリーグでも試合に出たり出なかったりで、全然結果を残していないからね。

もっとも、今季絶不調の神戸というチームで活躍するのは誰でも難しいから、そこはちょっと同情する。W杯が通常どおりの6~7月開催ならアウトだったわけで、むしろ、(11月まで)まだ巻き返す時間が残されているとポジティブに考えればいい。

もちろん、大迫の不在は前線のほかの選手にとっては大きなチャンス。結果を出せば一気にW杯のスタメン候補だ。反対に結果を出せなければ、「やっぱり大迫が必要だ」となる。その意味でもまず注目したいのはFW陣。今回は古橋、前田、上田、浅野の4人が登録されているけど、誰がアピールできるか。

そのほか個人的に期待しているのは鎌田だね。フランクフルトの主力としてヨーロッパリーグ優勝。しかもチームトップの大会5得点。素晴らしいことだし、もっと高く評価されるべきだよ。こういう勢いに乗っている選手を使わない手はない。

鎌田は今まで日本代表ではパッとしなかったけど、今回、森保監督が彼のよさをどう引き出すのか、それとも引き出せないのか。見ものだね。ベンチスタートで試合終了間際に少しだけ使っておしまいというのだけはやめてほしい。

この4連戦で日本代表に求めたいノルマは、ブラジル戦以外の3試合に勝つこと。

今回のブラジルはほぼフルメンバー。4日前に行なう韓国戦との兼ね合いもあるけど、W杯メンバー入りがかかる選手も多いし、誰が出ても強いと思う。

日本は格上相手との試合をしばらくやっていないし、何よりW杯のドイツ戦、スペイン戦に向けての絶好のレッスンになる。だから、初戦のパラグアイに快勝して、いい状態でブラジル戦に臨んでほしい。

それでも欧州のビッグクラブ選抜チームともいえるブラジルに勝つのは難しいだろうし、ヘタをすればボロ負けするかもしれない。でも、それでもOK。スターだらけの強豪相手にどう戦えばいいのか。負けても学ぶことはたくさんある。そして、大事なのは次の2試合までの短期間でどうチームを立て直すか。

W杯では初戦でドイツと当たる。同じような状況に置かれることが十分考えられるし、もしホームでガーナとチリもしくはチュニジアに勝てないようなら、W杯本番のグループリーグ突破は難しいだろう。

だから、選手たちにはW杯のつもりでプレーしてほしいし、森保監督も本番を想定した采配をお願いしたい。見る側もそういう視点で試合を見ればいいと思う。世間の日本代表への関心が以前より下がっていると感じることも多いなか、ここでしっかり3勝できれば11月の本番に向けて盛り上がるし、ぜひ頑張ってほしいね。

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