みなさんこんにちは、野球大好き山本萩子です。
5月末から始まった恒例のイベントといえば、セ・パ交流戦。プロ野球再編問題をきっかけに始まった半月余りの戦いは、シーズンを彩る大きなイベントになっています。
2005年から続く交流戦ですが、個人的にはあまりいい思い出はありません(きっぱり)。大きな理由は、我がヤクルトがいい成績を残せてこなかったこと。ここ数年こそいい戦いを見せる年もありますが、セ・リーグのチームにとって交流戦は鬼門そのもので、私たちはパ・リーグの強さに(主にソフトバンクです)何度ため息をついたことでしょう。
たとえば、2015年のDeNAはそれまで貯金が11あったのに、交流戦で3勝14敗1分と大きく負け越し、気がつけば借金生活に。たったひと月の結果がペナントレースに深刻なダメージを残します。
なぜパ・リーグの方が強いとされているのでしょう。それは、「DH(指名打者)制」の有無が大きいのかなと思います。
今年からMLBのナショナルリーグがDH制を採用したことで、世界の流れは完全にDH制へと移行しています。日本のセ・リーグは世界でも珍しいプロリーグといえます。
DH制のメリットは、分業制で役割がはっきりすること。投手はピッチングに専念でき、打者も9人が切磋琢磨することで選手のレベルは上がっていきます。
投手交代のタイミングも、セ・リーグでは主に投手の打順で継投・代打などの動きがありますが、DH制ではそれに関係なく投手の起用が判断できるので、ゲームに緊張感をもたらします。
ただ、セ・リーグがDH制を採用していないことが、交流戦の見どころにもなります。
たとえば、セ・リーグのチームがDHに誰を起用するかに注目してください。最近だと、ヤクルト期待の若手・内山壮真選手がDH起用されていました。2年目の今年は捕手としてはもちろん、打撃に集中することでさらに飛躍してほしいという首脳陣のメッセージに思えました。交流戦のDHは、「今年の推し枠」と言っても過言ではありません。
パ・リーグの投手が打席に立つシーンも見どころですね。パ・リーグの投手が日本シリーズで結果を残せなかった時代もありましたが、最近はみなさん打撃もとてもお上手。やはり野球センスがある人は、何をしてもうまいということなのだと思います。
また、パ・リーグの投手が誰のバットを借りるのかも気になりますね。折ってしまったときのことを考えたら、道具にこだわる強打者からは借りづらいだろうし。
打席に立った投手を相手に投げるのは、意外と難しいそうです。「当ててしまったらまずい」という緊張感だったり、そのためにインコースに投げづらいなどの理由から、簡単には抑えられないとか。先述のナショナルリーグでDHが導入された際は、ダルビッシュ選手は胸を撫で下ろしたそうです。それほど投手相手の投球はプレッシャーになっていたのでしょう。
交流戦ではデータの少ないチームと対戦するので、相手の意表をつく作戦も有効だったりします。外国人選手がベンチで選手名鑑をじっと眺めているシーンをよく目にしますが、あれもきっと情報収集しているのでしょう。日本語で小さく書いてあるけど読めるのかしら?と心配になりますが。
そして何より、普段行かない球場に足を運べることが交流戦の最大の楽しみ。マリンスタジアムのモツ煮は絶品でしたし、西武ドームでは小旅行気分が味わえました。
野球という最高のおつまみをもとめて、ビール片手に山本は球場を駆け巡ります。それではまた。
★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン