どのチームが抜け出すか、後半戦も好プレーに期待したいと語るセルジオ越後氏

Jリーグがシーズンの半分を終えた。今回は上位陣を中心に取り上げたい。

まず良いサプライズは、柏の躍進だね(17節終了時点で4位)。昨季は主力の移籍などもあり15位と低迷。今季も大型補強をしたわけではない。開幕前の下馬評は低く、J1残留が現実的な目標という見方もあった。

ところがフタを開ければ、チャンスをもらった若手が小気味のいいプレーを見せている。攻守の切り替えが早く、ボールも人も本当によく動く。見ていて楽しいサッカーだ。

ここ数年の柏はオルンガ、江坂、クリスティアーノ(いずれも移籍)らの個が目立っていた。でも、今季は誰かひとりではなくチーム全体がいい。

10番を背負うマテウス・サヴィオは技術が高く、周りの日本人選手をうまく使い、守備もサボらない。3バックの上島、高橋、古賀は高さと強さがあり、特に古賀は攻撃時のビルドアップもうまく将来性を感じる。

前線にはパリ五輪世代の細谷というエース候補も出てきた。古賀や細谷は国内組で参加する7月の東アジアE-1選手権の日本代表に招集されてもおかしくないよ。

こう言っては失礼かもしれないけど、優勝を目指すチームならこんなに大胆な世代交代は進められなかった。プレッシャーが少ないなか、出番を欲していた若手が伸び伸びとプレーしている。前半戦を終えた時点でこの順位にいるとは、柏サポーターにとっても予想外なんじゃないかな。

チームを率いるネルシーニョ監督はさすが。率直に言って、僕は昨季終了時点で解任されると思っていたけど、見事にチームを立て直した。Jリーグでの監督歴が長く、まじめな性格と細やかな指導が若手にハマったんだろう。

今季いきなり優勝を狙うのは難しいかもしれないけど、今後もこの調子で上位陣をかき回してくれることを期待したい。

横浜Fマ(1位)は、選手をうまくやりくりしながら、着実に勝ち点を積み重ねている。外国人選手が調子を落とせば、西村や水沼など開幕当初にベンチだった日本人選手が頑張る。決して選手層が厚いわけではないものの、試合に出る選手が頑張って結果を出している。

扇原が神戸に移籍した今季はその穴を埋めるのに苦労すると思ったけど、その心配は不要だった。

逆に今後が少し心配なのは、鹿島(2位)と川崎(3位)。

鹿島は上田、鈴木の2トップが素晴らしく、中盤のピトゥカや樋口もいいプレーを見せているけど、やっぱり守備が不安定だね。実際、負けるときは複数失点が多い。鹿島らしくないんだ。今後それをどう改善するのか。

3連覇を狙う川崎は、大島とチャナティップが故障から復帰し、7月中にはジェジエウ、登里(のぼりざと)も戻れそう。今季は4年ぶりにリーグ戦で連敗したことで話題になったけど、総合力を考えれば今後も大崩れはしないはず。

ただ、若手が徐々に伸びてきているとはいえ、三笘(みとま)、田中 碧、旗手(はたて)が移籍した穴は埋め切れていないし、家長、小林らのベテランを追い抜くまでにも至っていない。また、絶対的エースのレアンドロ・ダミアンが今季はなかなか点を取れていないのが気がかり。3連覇は彼が復調するかどうか次第だね。

川崎が早々と独走した過去2季とは打って変わって、今季はだんご状態。どのチームが抜け出すか、後半戦も好プレーに期待したい。

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