みなさんおはようございます。野球が好きなあまりついつい細部に目がいってしまい、それを熱く語りすぎた結果、友人にもちょっと引かれてしまう、でもそんな自分が嫌いではない山本萩子です。

本日は、野球マニアなら誰もが頷いてくれる、野球選手が試合中に見せる仕草についてお話させていただこうと思います。

野球において、選手がフィールド上で見せる動きにはすべて理由があり、無駄な動きなど一つもありません。試合中、選手たちは実に色々な動きをしています。洗練されたプレーの美しさには目を奪われるばかりですが、そんなプレー以外でも注目すべき「仕草」があるのです。

たとえば、ツーアウトのときにショートの選手が指で出すあのサイン、わかりますか? 手遊びのキツネのようなあの仕草。実際はアウトカウントを確認するためのもので「2アウトだから気を引き締めていこう、間違いなく1塁でアウトを取ろう」という再確認なのですが、あの仕草が出るたびに私は心の中で静かに歓声を上げます。なんだかかわいくて......。

アウトカウントの確認はとても大事です。アウトカウントを間違えて、キャッチした外野フライをそのままファンの待つスタンドに投げ込んでしまうというミスは、これまでに何度も起こっています。そうなると、ルール上2つの進塁が認められるので、1塁にランナーがいれば3塁へ進むことになってしまいます。

なので、あの可愛らしいサインにはとても大事な役割があるんですね。

キツネのような、あのツーアウト確認の仕草

ファウルフライが上がった瞬間、キャッチャーがマスクを脱ぎ捨てる仕草もいいですね。どっしりと構えていたキャッチャーが、一瞬でマスクを脱ぎ捨てるスピード感ときたら。

内野ゴロでアウトを取ったあとに、内野でボール回しをしている様子も好きです。ボールを使ってみんなでじゃれているようにも見えます。

ピンチの場面で内野手がマウンドに集まるときに、遠くにいる外野手たちもなんとなく集まって話している様子も好き。ちょっとした井戸端会議感もあって、これもまた私の好きなシーンの一つです。

それにしても、選手が集まるときって何を話しているんでしょう。せっかくだったらMLBのように選手たちにマイクをつけていただきたいもの。MLBでは近年、選手にマイクを付けて、試合中の会話を拾って放送する試みが行われています。選手が何を考えてプレーしているのかがよくわかるので、野球に対する理解が深まると好評で、私もとてもいい取り組みだと思っています。

そこで、日本のプロ野球だったら誰にマイクをつけたら面白いのかと考えてみました。

日本球界復帰が決まった秋山翔吾選手は、間違いなく面白い選手の一人。何度もインタビューさせていただきましたが、1つのプレーに対していかに深く考えているのか、そのプロ意識に頭が下がりました。さらにプレーを言語化して話すことも得意なので、フィールド上にもう一人解説者がいるような気分になるかもしれません。

もう一人、現役ではありませんが、マイクをつけてみたかったなと思うのは、現・楽天打撃コーチの高井雄平さんです。

投手として入団したものの暴投記録を作ったり、打者としてはストライクゾーンは振らない悪球打ちとして知られ、それでも当たったらとにかく打球が飛び、フェアゾーンに落ちたボールを間違えてスタンドに投げ込んでしまったこともあり、それでも優勝を決める一打を打ったりと、みんなの記憶に残る偉大な選手でした。私の中の歴代フェイバリット選手5指に入るくらい、大好きな選手です。

とにかく雄平さんは天然で決して器用ではないタイプでしたから、そういう選手が普段何を考えながらプレーしているのか、それを知ることができたら面白いだろうなと思いました。

あとは、トークが上手な監督につけても面白いかもしれませんね。まずは日ハムのビッグボスあたりに挑戦していただきましょう。

ちなみに、私は仕事中いつもマイクをつけているのですが、口を滑らせないように気をつけていることはここだけの秘密ということで。

マイクも気分もオンにして、素敵な土曜をお楽しみください。それではまた来週!


★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週土曜日朝更新!