みなさんこんにちは、野球大好き山本萩子です。
コロナ禍でドタバタではありますが、首位をひた走る我らがヤクルト。このまま優勝と期待は膨らむものの、好調すぎると不安に感じてしまうのがヤクルトファンの悲しい性。それでもAクラスにそろそろ慣れてきた山本萩子が、今日は好不調の波についてお話をさせていただきたいと思います。
そもそも、好不調とはなんでしょうか。ヤクルトの山田哲人選手といえば、トリプルスリーを3度も達成した偉大な選手ですが、その山田選手が一流選手の条件を聞かれたときに「波が少ないこと」と答えていたのが印象に残っています。
一流選手がなぜ一流かと言えば、常に一定以上の成績を残しているから。つまり、波が少ないからだと。
自分の持っている能力が100だとすると、80のパフォーマンスの日もあるし、120が出せる日もあるのが人間だと思います。その中で常に100(あるいはそれに近い)を出せる選手が一流ということ。プロの世界で高いパフォーマンスを維持し続けることの難しさは、想像を絶するものがあります。
山田選手のエピソードを聞いて思い出したのが、現DeNA・斎藤隆コーチのお話でした。ヤクルトコーチ時代の2020年にインタビューをさせていただいたときに、斉藤さんは「投手のボトムを上げたい」と繰り返しおっしゃっていました。
その当時、課題と言われていた投手陣を立て直すために斉藤さんが手がけたのが選手の底上げでした。100点の選手を増やすのではなく、60点の選手を80点にしてこそ、勝てるチームになる。これまでのそんな積み重ねが、現在のチームの躍進につながっているのは間違いないでしょう。
私はキャスターとしてはまだまだ未熟なので、毎日の放送の中でいいときと悪いときがあります。調子がいいときはどんどん言葉が出て、解説者からお話を引き出せたな、という満足感が残ります。
その一方で、言葉があまり出てこなくて滞ってしまうときもあります。何年もお仕事をしていると、好不調が放送前になんとなくわかるようになりました。
そんなときは、いつもの120%の準備をしてから番組に臨むようにしています。どんなニュースでもいいから、とにかく手元にさまざまな情報を集めます。そうすると気持ちに余裕が生まれるのか、いいオンエアになったなと感じることができるんです。もしかすると、好不調の波というのは誰にでもあって、一流の選手は自分のコンディショニングが上手なのかもしれません。
少し話は変わるのですが、私の思う一流選手の証に、結果を残し続ける、ということもあります。
ノーヒットノーランのようなすごいピッチングも大事だけど、10敗しても10勝する投手が素晴らしいと思うし、ローテーションを守ってシーズンの礎となる選手が私は好きです。2015年にヤクルトが優勝した年の石川雅規投手の成績は13勝9敗でした。後に控える投手が安定していたからこそ、優勝という最高の結果を残せたのでしょう。
今現在、私が目指すプロフェッショナルはまさにそれ。
若い頃は、先発して最後まで投げて、シーズン20勝するようなプレイスタイルに憧れていました。でも、最近ではチームが勝つことが何より大事だと思えるようになりました。
私の仕事は、求められた役割をきちんとこなすこと。ローテーションを守って、ひとつでも多くの貯金(視聴者の満足感)を作ること。これまではあまりチームプレーの経験がなかったからわからなったけど、野球を通して、番組は一人の力でできているわけではないと知ることができました。
自分が不甲斐ないときでも、周囲が拾ってくれたりスタッフさんがフォローしてくれる。本当にいつもありがとうございます。野球はいつも人生にも通じる大事なことを教えてくれます。野球って本当に素晴らしいものですね。それではまた来週。
★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン