今回の欧州遠征の最大の課題は、大迫の穴をどう埋めるかだと語るセルジオ越後氏

ポスト大迫をどうするのか。これまで答えを出せなかった問題に今回も向き合うことになる。

カタールW杯前の最後の強化試合となる欧州遠征(23日アメリカ戦、27日エクアドル戦)が迫ってきた。この原稿の締め切り時点で招集メンバーは発表されていないけど、ワントップとして森保監督がこれまで頼りにしてきた大迫の状態が厳しい。

今季、所属の神戸では試合に出たり、出なかったりを繰り返していて、なかなかコンディションが上がらず、8月下旬のアジアチャンピオンズリーグ前に負傷して以降は別メニューでの調整。ここで無理をさせる必要はないし、今回は招集見送りが妥当だ。

前回のロシアW杯はもちろん、その後も日本代表は彼に頼ってきた。ゴールに背を向けて、相手DFを背負ってプレーする。いわゆるポストプレーだね。代えの利かない選手として、常に最前線で体を張ってきた。

所属クラブでは必ずしもそういうプレーばかりをしていたわけじゃないけど、昨年まではブンデスリーガの屈強なDFと渡り合ってきたわけで、32歳になった今、体が悲鳴を上げていてもおかしくないよ。

まだまだ大迫の力は必要だと思うし、よほど状態が悪くなければ森保監督も彼をW杯本番のメンバーに選ぶだろう。また、今回の欧州遠征での日本代表の戦いぶりがパッとしなければ、大迫待望論がまた高まるはず。ただ、それにしても、もう大迫がW杯に100パーセントの状態で臨めると考えるべきじゃない。

その意味で今回の欧州遠征の最大の課題は、大迫の穴をどう埋めるか。

これまでも大迫の代わりとして期待され試合に出た選手はいる。古橋、前田、浅野、上田......。でも、プレースタイルや起用法の違いもあって、大迫を忘れ去るような結果を出した選手はいないよね。それだけ難しいことだと思う。

ただ、今回は個人的に伊東に期待している。本来は右サイドの選手で、W杯最終予選での大活躍も記憶に新しいけど、今夏に移籍したランスでは2トップの一角、もしくは3トップの真ん中で起用されて、ゴールを決めている。

大迫とはプレースタイルが全然違うけど、ひとりでシュートまで持っていけるスピードは魅力だし、カウンター狙いで自由に動けばいい。

そして、その場合はトップ下に鎌田を置きたい。彼はヘディングが得意というタイプの選手ではないけど、ある程度の高さがあって、足元の技術も高いからキープもできてパスも出せる。状況に応じて伊東とポジションを入れ替えることでワントップ的な役割もこなせるんじゃないかな。2010年南アフリカW杯のときの本田のようなイメージだ。

伊東も鎌田もふたりとも一定以上のレベルにある所属クラブ、リーグで継続的に結果を出している選手。その力を使わない手はないよ。

同じ理由で、伊東の本来のポジションである右サイドにはドイツのフライブルクで好調の堂安をスタメンで使いたい。堂安が中に入ってきたら伊東が右に開けばいい。このふたりで右サイドから崩して、高さも技術もある鎌田が絡めば攻撃の形はつくれると思うんだけど、どうだろう。

森保監督には柔軟な采配をお願いしたいね。

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