みなさんこんにちは、野球大好き山本萩子です。今回はいつにもましてコアなテーマ、「先頭打者」についてお送りします。

先頭打者とは、攻撃回の最初に打席に立つ選手を指しますが、なかでも1回の先頭打者に与えられたタスクは多くあります。

先頭打者の役割は、第一に塁に出ること。それ以外にも、相手投手の情報を一つでも多く持ち帰ること、できる限り球を投げさせることなど、大事な任務を帯びています。

簡単に初球に手を出し凡打になったりしたら、間違いなくファンは肩を落とすことでしょう。アウトの価値は同じはずなのに、先頭打者のワンアウトのなんと重いこと。

先頭打者に向いているのはどのような選手なのでしょう。

個人的な見解ではありますが、本能派よりは野球IDが高いタイプが向いているのかなと思います。自分が出塁することも必要ですが、後に続くバッターのことを考える必要もあります。一人の打者は点でしかありませんが、それを線にできるかどうかは先頭打者にかかっているといえます。

先頭打者にとって出塁率の高さは何よりも大事で、先頭打者が塁に出たときとそうでないときの得点率には雲泥の差があります。ノーアウトで出塁したときの球場の期待の高まり方は半端ではありません。先頭打者が塁に出る、それはホームランに次いで得点確率の高いシーンだとファンは知っているからです。

先頭打者は小技もできて盗塁もでき、足が速いタイプが一般的かもしれません。選球眼が良く四球や内野安打でも塁に出られる、イチローさんがその代表です。

しかし、最近のヤンキースでは、アーロン・ジャッジという大打者を1番に置く起用がハマっています。主砲タイプのジャッジ選手を1番に置く理由は、彼の出塁率が群を抜いて高いこと。

1番打者は試合を通して打席が回ってくる確率が高いので、そこにいい打者を置くという考えですね。それが実際に好成績に結びついていることが、1番打者の重要性を表しているとも言えます。

ジョー・マドン監督は、調子が悪い選手をあえて1番に置くことも。たくさん打席を経験させ、調子を取り戻してもらおうという親心なのかもしれません。

秋めいてきました。野球のシーズンも残りわずか。皆さんの好きな先頭打者も教えて下さい

投手の立場に立つと、先頭打者の出塁を許すことはプレッシャーになります。ノーアウトのランナーほど投手にプレッシャーを与えるものはありません。走るかもしれないし、送ってくるかも、もしかしてエンドラン......? 

大投手とよばれる選手は要所を抑えるのはもちろん、先頭打者を出塁させないようにきめ細かい仕事をするもの。

自分の話で恐縮ですが、私は生放送のオープニングをとても大事にしています。最初がうまくいけば最後まで気分良く進行できるので、放送が始まって最初のひとことは、あえて台本にないことを言うようにしています。自分の言葉で話してリラックスする、それが放送がうまくいく確率を高めてくれるからです。

現役の選手で一番怖い1番打者は、ヤクルト贔屓も込みで青木宣親選手でしょうか。頭脳派であり、選球眼もいい。左打者で足も速い。初球から振る勝負師でもある。こういう選手がいたら、チームは強いですよね。

改めて先頭打者は大変な仕事だと思います。次のお休みにはプレイボールにあわせて球場に足を運んではいかがでしょう。試合開始のその瞬間から、真剣勝負は始まっているのです。

それではまた!

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週土曜日朝更新!