「数万人にひとり」の難病「心アミロイドーシス」との約3年にわたる闘いの末、10月1日に79年の生涯を閉じたアントニオ猪木さん。その日のうちに猪木さんのYouTubeチャンネル「最後の闘魂」で、猪木さんの「最期の言葉」が配信された。

死去の10日前、9月21日に収録されたこの「最期のインタビュー」は、本日(10月3日)発売の『週刊プレイボーイ』42・43合併号にも掲載されている。

すべての編集作業を終え、掲載号の発売まで2日というところで飛び込んできた訃報に、インタビュアーを務めた〝Show〟大谷泰顕氏も編集部も言葉を失った。確かに身体はかなり衰弱していたが、元気を取り戻したいという闘魂は燃え尽きていなかったからだ。

このとき、猪木さんが語っていたこと――。その一部を紹介する。

「今回のアミロイドも、みんな体験したことないだろう。したことがないから、俺はやりました。まあ、ボヤいてもしょうがないけど、本当に『人がやらない、できないこと』をすべてやらせてもらって。『ありがとう』。最後はこの言葉です」

病魔に侵される前、猪木さんは何度かリング上から「最近、ジャイアント馬場から挑戦状が届きました。三途の川で待っていると」と発言していた。

――この病気になって以来、猪木さんは「3回死にかけた」と話されています。三途の川を見たとしたら、馬場さんとは再会できたんでしょうか?

「それはわからない。一度だけでも(三途の川を)早く見たいと思う。でも、この休みの時間をもらったおかげで(生命の)尊厳とかいろんなものを(感じることができた)。

本から学ぶより、自分なりの体験と、自分が今、なんでこうしてさまよっているのか。その答えを、なんとか探そうとしているけど、結局、その答えは出ないので、三途の川は難しいねえ。でも、みんなが一度は行くわけだから」

――レスラーの訃報に接するたびに猪木さんは「俺は閻魔(えんま)様に嫌われてなかなかお迎えが来ない」というような話をされていましたけど、この先も閻魔様には嫌われ続けていてもらわないと。

「そのひと言、言葉が俺を殺す(苦笑)。まあ、でもありがたい。平仮名で書けば『ありがとう』って5文字。そのひと言に尽きるね。感謝だとか、いろんな言葉があります。

でも、結局は『ありがとう』。全部そこに含まれている。だから『ありがとう』って言葉は、いい言葉だなあって。サンキューだと何か軽いじゃないですか」

猪木さんが言った「ありがとう」の意味。それは引退試合で「道」の詩を読んだ後に叫んだ「ありがとう」とは違う、もっと根源的で、魂から発せられた生きることへの「ありがとう」だったのではないか。このほか、『週刊プレイボーイ』42・43合併号では、パラオのイノキアイランドへの思いなど、猪木さんの最期のインタビューを3ページにわたり掲載している。