結局、大迫の復活を待つしかないのかなと語るセルジオ越後氏 結局、大迫の復活を待つしかないのかなと語るセルジオ越後氏

先発11人を全員入れ替えたのは意味がわからなかったけど、それでもポジティブな要素の多い2連戦だった。

カタールW杯のメンバー発表前最後の強化試合、日本はアメリカに2-0で快勝したものの、エクアドルには大苦戦の末に0-0の引き分けと、非常に対照的な内容に終わった。

アメリカは歯応えがなかったね。日本が前線からプレスをかけているのに足元で短いパスを回すだけ。プレスをかわすロングパスもなければ、縦へのスピードやドリブルも足りなかった。だから、日本は何度も高い位置でボールを奪ってチャンスをつくれた。

しかも、日本に先制点を奪われても同じようなペースでプレーして、なんとしても同点に追いつくんだというチャレンジする姿勢もなかった。バーホルター監督もほとんどベンチに座っていた。あくまでも練習試合という感じ。正直、日本にはもっと点を取ってほしかった。

一方のエクアドルはプレーの質が高く、W杯本番を想定するには良い対戦相手だった。ドイツ、スペインほどではないにしても、仮想コスタリカにはなったんじゃないかな。

エクアドルはアメリカとはモチベーションも全然違った。アルファロ監督も熱かったし、ベンチのスタッフがイエローカードをもらうほど勝ちにこだわっていた。

日本はスタメンを全員入れ替えたとはいえ、アメリカ戦と同じように前線からプレスをかけようとしたんだけど、それが通用しなかったね。ワンツーやロングパス、さらにドリブル突破などでうまくかわされた。前半、日本は古橋のシュートくらいしかチャンスをつくれなかった。

ただ、後半22分に鎌田、遠藤、相馬の3人を投入してからは日本の攻撃も機能し始め、お互いに攻め合う、見応えのある展開になった。その中でシュミット・ダニエルがPKを止めたりして、日本はよく引き分けに持ち込んだと思う。

ラクな相手に2連勝で終わっていたら、メディアは「日本は強い」「これでW杯もイケる」と持ち上げていたはず。そういう空気になると選手もどうしても影響されるから、今回、厳しい試合で引き締まったのは良かった。エクアドルには感謝しかない。

個々の選手で目についたのは、やっぱり鎌田。もう彼は外せないし、代えもいない。完全に攻撃の中心だ。最終ラインを高く保って、相手ゴールに近い位置で彼をプレーさせられるかどうかがW杯でも日本の攻撃のポイントになるだろう。

逆に、期待を裏切ったというか先発起用は厳しいなと思ったのは南野と三笘。エクアドル戦にトップ下で先発した南野はボールを失う回数が多く、シュートも打ったけど、好調時に比べて物足りなかった。

三笘は先発で出たエクアドル戦でシュートを一本も打てなかった。ゴールを決めたアメリカ戦のように、相手が疲れてきた後半途中から切り札として使うほうが持ち味を発揮できるだろう。

あとはワントップをどうするか。森保監督はこの2試合で前田、町野、古橋、上田の4人を起用した。それも全員平等に45分ずつ。でも、誰も「この選手で決まり」というプレーを見せられなかった。結局、大迫の復活を待つしかないのかな。森保監督は最後の最後まで悩むだろうね。

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