今年の日本シリーズはオリックスの優勝で幕を閉じました。野球を愛するみなさん、1年間お疲れ様でした。そしてオリックスの選手をはじめファンの皆様、心からおめでとうございます。みなさんこんにちは、野球大好き、山本萩子です。
みなさんは最近涙を流しましたか? 私は今シーズンたくさんの涙を流しました。野球というスポーツに涙はつきものです。うれし涙、悔し涙、ヒーローインタビューで流す涙。見ている方も思わず涙を誘われますよね。
名将・中嶋聡監督のもと、着実に力をつけたオリックスは今年も強かった。歓喜に沸くオリックスの選手と同じくらい印象に残ったのが、ヤクルト高津臣吾監督の涙でした。
高津監督はもともと陽気な人柄で知られており、人前で涙を見せるキャラクターではありませんでした。しかし、その高津監督が敗戦後に大粒の涙を見せたとき、監督という仕事の責任の重さを感じた人も多かったと思います。
リーグ優勝のときには見せなかった高津監督の涙は、野球とは勝負の世界だと改めて教えてくれました。
ヤクルトがリーグ優勝を決めた試合では、山田哲人選手が信じられないくらいの涙を見せていました。年齢・実績ともにチームを引っ張る立場であった山田選手もまた、プレッシャーを感じていたのでしょう。
キャプテンとしてチームを引っ張る中でうまく結果を出せず、村上宗隆選手をはじめとする周りに助けられてきた山田選手。優勝のうれしさと同時に、ホッとしたのかもしれません。
スポーツと涙は切っても切り離せない関係にあります。しかし、先ほどの高津監督の例もそうですが、常に冷静であるべき監督が涙を見せるのはよほどのこと。
阪神の矢野監督がシーズン半ばに劇的勝利を収めた試合で涙を流したときは、山本家で議論が起きました。監督の涙がどれほど大きな意味を持つか考えたとき、この場面では必死に涙をこらえても良かったのでは?という議論です。しかし、このときはそれでもこらえきれず流れてしまうほど大きな勝利だった、ということだったのでしょう。
野球には印象的な涙がいくつもあります。苦しんでいた選手がヒーローインタビューで、チームメイト、家族、両親への感謝を伝えながら流す涙。試合半ばでベンチに下がった投手がうつむいて顔を隠し流す涙。流した涙の数だけ強くなれるのだと私は信じています。
最後に。これまで野球取材を続けてきた中で、とても胸を打つ涙がありました。その思い出を語らせてください。
それは、巨人やMLBで活躍された上原浩治選手の引退会見でのこと。丁寧に言葉を紡ぎなら静かに涙を流す上原選手。すると、となりに座っていた記者の方がずっと目頭を押さえているのに気がつきました。
その記者の方はおそらく上原さんと同世代で、ずっと上原選手の活躍、苦労、葛藤を見てきたのでしょう。そして、引退会見で涙を流す上原選手を見て、こらえきれず涙がこぼれてしまったのでしょう。
野球選手はいろんな人の思いを背負ってプレーしているんですね。今でも忘れられない、とても素敵な瞬間でした。
みなさんは最近どんなときに涙を流しましたか? 良かったら教えてください。
それではまた。
★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン