普段はサッカーに興味ないけどW杯だけは別!という人も、いざ誰かと試合を見るときに出てくる名前がロナウドやメッシでは恥ずかしい......。そんな"にわか"さんのために、知っていれば「詳しいね」と言われること間違いなしのスター候補11人をご紹介!!
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■日本が対戦する強豪2チームの逸材たち
ついに開幕したカタールW杯。W杯史上初めての中東開催となる今大会は、これまで約15年にわたって世界のサッカー界を牽引(けんいん)してきた2大スーパースター、クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)とリオネル・メッシ(アルゼンチン)の雄姿を拝める〝最後のW杯〟として注目が集まる。
その一方で、4年に1度のW杯では、次世代を担うヤングスターの台頭も、見逃せない注目ポイントになる。前回大会でフランスの優勝に貢献し、当時19歳で世界デビューを飾ったキリアン・エムバペのように、今大会の活躍をきっかけとして世界にその名を広めるヤングタレントは現れるのか。
ここでは、その可能性を秘めた次世代のスター候補生を紹介する。
まず日本のサッカーファンが注目すべきは、初戦で対戦するドイツのティーンエージャーふたり。名門バイエルン・ミュンヘンで覚醒中のジャマル・ムシアラ(19歳)と、初めての代表招集がW杯となった17歳のシンデレラボーイ、ユスファ・ムココ(ボルシア・ドルトムント)だ。
17歳のときに一流選手がひしめくバイエルンでトップデビューを果たしたムシアラは、その後もメキメキと力をつけて今季は完全にレギュラーを獲得。卓越したボールテクニックと変幻自在のドリブルを武器とし、中盤と前線の複数ポジションをこなす器用さも兼ね備える。
昨年に代表デビューしたばかりだが、すでにドイツ代表に欠かせない主軸として攻撃を牽引。日本の守備陣にとっては、要警戒のヤングスターだ。
今大会の開幕日(11月20日、現地時間)に18歳になるムココは、16歳と1日でブンデスリーガの最年少出場記録を更新した〝神童〟として、一躍脚光を浴びたFW。
今季リーグ戦でもすでに6得点3アシストをマークするなど本格ブレイクの兆しを見せており、その急成長ぶりが初招集につながった。非凡なスピードと抜群の決定力は大きな魅力で、ドイツの〝隠し玉〟として覚えておきたい金の卵だ。
日本が3戦目で戦うスペインには、すでに名門バルセロナの主軸として活躍中で、スペインの将来を担うとみられるMFコンビ、19歳のペドリと18歳のガビがいる。
昨年の東京五輪準決勝の日本戦にも出場していたペドリは、すでにその4ヵ月前には代表デビューを果たし、以降もレギュラーとしてプレーする天才MFとして知られている。
類いまれなテクニックと戦術眼は数十年にひとりのタレントとして高く評価され、今大会でもスペインの成績を左右するキーマンのひとり。ペドリは誰が見ても「うまい!」とわかる、見る者をワクワクさせてくれるタイプの選手だけに、日本戦のみならず、出場する全試合をチェックしても損はないはずだ。
一方のガビは、技術の高さはもちろん、球際の強さやハードワークも特徴とする実戦的なタイプ。18歳にして代表の主軸として定着できたのは、ピッチ上で見せる負けん気の強さもあるからだ。スパイクのひもを結ばないままプレーすることも含め、強烈な個性を持つ注目の若手だ。
■思わぬ国にも世界屈指の有望株が
日本と同グループ以外の強豪チームにも、将来を約束された注目のヤングタレントがいる。イングランドが誇る19歳の逸材MFジュード・ベリンガムと、タレントぞろいのポルトガルで左サイドバックのレギュラーを奪取した20歳のヌーノ・メンデスだ。
10代半ばにして、サッカーの母国イングランドでその名を知らしめていたベリンガムは、2020年夏にバーミンガム・シティから現在所属するドルトムントに移籍する際、バーミンガム・シティが彼の背番号22番を永久欠番としたほどの選手。ドルトムント移籍後も進化は止まらず、すぐにチームの中心となった。
持ち前の柔らかいボールタッチとパス供給力を武器とし、攻撃にダイナミズムを生み出す攻撃的MFは、ピッチ外の振る舞いも優等生。イングランド代表の主役になるのは、もはや時間の問題だ。
スター選手がひしめく新銀河系軍団パリ・サンジェルマンで飛躍的な成長を遂げているヌーノ・メンデスは、無類のフィジカルと走力に加え、抜群のテクニックと左足のキックが自慢の攻撃的左サイドバック。
ポルトガル代表デビューは昨年3月だが、すぐにスタメンの座を確保して今では不可欠な戦力となっている。今大会に出場するサイドバックの中でも、すでにその実力は屈指のレベルだ。
ここまでは、今大会に出場する強豪チームの中から注目の若手を紹介したが、それ以外の出場チームにもスター候補生が存在する。例えば、日本が第2戦で対戦するコスタリカのジェウィソン・ベネットも、そのひとりだ。
現在18歳のベネットは、昨夏に17歳で代表デビューを果たし、コスタリカ代表の史上最年少記録を更新した攻撃的MF。今夏にイングランド2部のサンダーランドに青田買いされた逸材で、代表ではすでに左MFとしてレギュラーの座をつかんでいる。
最大の武器は局面を打開する切れ味鋭いドリブルだが、周囲と絡みながら攻撃にアクセントを与えられるセンスの持ち主で、ベテラン選手が多いチームの中で、ひと際目を引く。日本にとっても、厄介な存在になりそうだ。
開幕戦でホスト国のカタールと対戦したエクアドルで注目したいスター候補は、20歳の左利きセンターバックのピエロ・インカピエだ。
エクアドルサッカー界で、近年における最高のタレントと称賛されるインカピエは、昨季からドイツのバイエル・レバークーゼンでプレー。今季もレギュラーとして活躍しており、移籍市場価格も赤丸上昇中だ。
昨年6月に代表デビューして以来、強さと速さに加え、戦術理解能力の高さを武器に、すぐに代表のレギュラーに定着した。世界中の注目が集まる今大会で、どのようなパフォーマンスを披露してくれるのか、要注目だ。
次の26年W杯開催国のひとつであるアメリカには次世代のスター候補が多いが、その中でも注目しておきたいのは、現在スペインのバレンシアで活躍するMFユヌス・ムサだ。
現在19歳のムサは、ガーナ人の両親を持つ米ニューヨーク生まれ。その後、イタリアを経由してイングランドに渡り、名門アーセナルの下部組織に入団。イングランドの年代別代表としてプレーしていたが、悩んだ末に、A代表はアメリカを選択したという異色の経歴の持ち主だ。
プレー面では、スペースでボールを受け、攻撃に推進力をもたらすドリブルを得意とし、初出場となる今大会では、チームの中軸として活躍が期待されている。
■アラサーで初出場の遅咲きスター候補も
最後に、もう若くはないものの、今回初めてW杯の舞台に立つ遅咲きのブレイク候補、いわゆる今大会の〝オールドルーキー〟的な選手も紹介しておきたい。
ひとりは、28歳で代表デビューを飾ったドイツ代表MFのヨナス・ホフマン。今年の7月に30歳になったホフマンは、20歳を過ぎた頃にドルトムントで頭角を現すも、その後は伸び悩んで平凡なキャリアで終わるかに見えた。
ところが、現在所属するボルシア・メンヒェングラートバッハに移籍した後に成長を遂げ、万能型MFとしてブレイク。戦術的適応力とスペースを見つける能力に長(た)け、近年は得点力とアシスト力もアップした。
ドイツ代表では右MF以外に右サイドバックにも対応するなど、短期決戦で重要なポリバレント性も兼ね備えるだけに、ハンジ・フリック監督も重用するに違いない。
もうひとりは、現在イングランドのトッテナム・ホットスパーの主軸として活躍し、デンマーク代表の一員として初のW杯の舞台に挑むピエール=エミール・ホイビュア(27歳)だ。
最大の売りは、ハイレベルなテクニックと戦術眼を持ちながら、〝汗かき役〟もいとわないハードワーカーぶり。どの試合でも攻守両面にわたって三面六臂(ろっぴ)の活躍を見せるため、カスパー・ヒュルマンド監督が最も頼りにする選手のひとりになった。
前回W杯では代表メンバー候補に入っていたものの、最終段階で落選の屈辱を味わった。それだけに、今大会にかけるモチベーションは人一倍高く、デンマーク躍進のカギを握るオールドルーキーといえるだろう。
果たして、カタールW杯のニューヒーローは誰になるのか。優勝争いの行方と併せて、ぜひ注目したい。