肌寒い朝が増えて冬の到来を実感する毎日、みなさまいかがお過ごしでしょうか、野球大好き山本萩子です。
夏のビールもおいしいけれど、冬はやっぱり熱燗。寒い夜は早く自宅に帰って家族と鍋を囲みながら晩酌をしたいもの。社会人になって数年が経ちましたが、やはり自宅(ホーム)が一番ということで、本日は「バックホーム」についてお話させてください。
野球において観客を魅了するシーンはいくつもありますが、その中でも私が興奮するシーンがバックホームです。バックホームとは「ランナーが本塁へ走っているときに、守備の選手が本塁に送球すること」。
同点で迎えた9回の表、1アウトランナー2塁。
1点が勝負を分ける大事なシーンで、打者がライト前にヒットを放ちます。俊足の2塁ランナーは3塁を蹴り、前進守備を敷いていた右翼手はゴロを捕球すると、迷わず本塁へ矢のような送球......。
まさに手に汗握る瞬間です。
本塁でのクロスプレーはもちろん見どころですが、肩が強く守備がうまい選手であれば捕殺が多い、とは限りません。なぜなら、ランナーが無理に走らなくなるからです。強肩選手の存在が、ランナーへの抑止力となっているのでしょう。データには現れづらいのですが、そこに注目すると観戦の面白さが増えるかもしれません。
強肩で有名な選手といえば、過去には元中日の英智(ひでのり)さん、現日ハム監督の新庄剛志さん、元日ハムの糸井嘉男さん、そして元ヤクルトの飯田哲也さんなどがいらっしゃいました。元キャッチャーや元投手の方が多いのはおもしろいですね。
ちなみに、かつてはノーバウンドの「レーザービーム」と呼ばれるバックホームが強肩の証でした。しかし現在では、本塁の前でワンバンドしたほうがタッチまでがスムーズでいいとされています。肩の強さだけでなく、コントロールも求められています。
強肩の選手が多いのは、やはりMLBです。内野手ですが、ピッツバーグ・パイレーツのオニール・クルーズ選手は最速の送球(157㎞!)を叩き出しました。この人の前に内野ゴロが転がったら、3塁ランナーは走れないですよね。
そんなことを思っていたら、日本のプロ野球でも逸材を見つけてしまいました。
私はYouTubeで併殺や捕殺の動画を見るのがライフワークなのですが、その中でも最近のイチオシが、ホークスの谷川原健太選手です。はじめて谷川原選手の送球を見たときは驚きました。ほとんどステップも無しで放たれる矢のような送球。これはもうメジャー級の肩の強さだと思いました。
どの選手が強肩かわかれば、野球の見方も変わるかもしれません。肩の強い選手のところにボールが転がったら「ラッキー」と思えるようになれば、野球はもっと楽しくなります。
サッカーのワールドカップが話題ですが。サッカーと比べて野球はルールが複雑で、初心者の方にはわかりづらいと聞きます。しかし、バックホームや送球は誰でもその凄さがわかるもの。生で見るプロのバックホームには、思わず「すごい!」と声が出ます。ぜひ球場に足を運んでいただきたいと思います。それではまた来週!
★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン