みなさんこんにちは、野球大好き山本萩子です。今季MLBの話題をさらったのは、62本塁打を放ったジャッジ選手でした。大谷選手と最後までMVPを争ったジャッジ選手は、偉大な選手として歴史に名を残しましたね。

ということで、本日は試合で大事な役割を果たす別のジャッジ、「審判」についてお話させてください。

その昔、球審は黒く大きな前掛けみたいなものをつけていましたが、今ではすっかり見なくなりました。ホームベースのすぐ後ろにいる球審を守るのは、現在ではアメフトで見るようなプロテクターです。

審判は基本的には目立ちません。それでも個性的な審判はいて、見逃し三振のときに漢字の「卍」のようなポーズをとる敷田直人さんは有名ですよね。

試合前に「今日の球審は誰だろう」と気になるようになったら、かなりディープな野球ファンです。白井球審の甲高いストライクコールはとても有名で、そのコールで白井さんを判別できる野球ファンは多いと思いますが、母は画面に映る顔をチラリと見ただけで「ああ、今日は白井球審ね」と判別できるのです。もしかしたら、審判のシフトを把握しているのかもしれません(笑)。ちなみに英語の「アンパイア」は審判員全員を指します。

審判にも球団との相性の良し悪しがあるような気がします。球審によって、ほんのわずかですがアウトコースが広い・狭いがあるという噂もありますし、選手との相性もあるでしょう。それがまた因縁がうまれやすい一因にもなっているのかなと。過去には「誤審では?」という疑念が残る試合がいくつもありました。

先日姉夫婦と紅葉を見に。姉夫婦も大の野球好きです先日姉夫婦と紅葉を見に。姉夫婦も大の野球好きです

現在、MLBでは審判にAIの導入が検討されています。ボールとストライクを自動的に判断するシステムが、今季からメジャー傘下の3Aで導入されていて、メジャーでも実用へ向けて着々と準備が進んでいます。もちろん審判のアシストといった役割ですので、人間にしかわからない機微は審判が担います。

私たちはリクエスト制度が導入されたときに「やはり人間の審判には限界があるのかな」と感じました。ただ、あの制度は審判の救済措置だったのではないでしょうか。判定が正しかったか間違っているか以上に、試合後に禍根を残すことがなくなりました。審判はあの制度によって救われている面が多分にあると思うんです。

人間の審判の良さはなんでしょう。プロ野球の投手には好きな審判がいるそうです。判定どうこうよりも、投手にボールを返すリズムであったり、ふとした瞬間にかけてくれる何気ない一言のおかげで、気分よく投げれるのだとか。私たちファンは「投手と審判の相性」というと悪い面ばかり考えてしまいますから、それを聞いたときはびっくりしました。

審判も野球という興行を担う一員です。派手なパフォーマンスで人気が出る球審も必要ですし、落球がないか確かめた後に、ゆっくりとアウトサインを出す塁審も、職務を忠実に遂行している職人のようで素敵だと思います。

最近は若い審判も増えてきましたし、どんどん個性的な人が増えたら、もっともっと盛り上がるような気もします。『プロ野球チップス』のレアカードに審判を入れたら面白いかも......。

審判を意識すれば野球がもっと面白くなるというお話でした。それではまた来週!

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週土曜日朝更新!