アルゼンチン代表をフカボリ!アルゼンチン代表をフカボリ!
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。 

そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる! 

第47回目のテーマは、カタールワールドカップのアルゼンチン代表について。いよいよキックオフ目前となったカタールW杯の決勝。福西崇史はアルゼンチンのこれまでの戦いを振り返り、「やはりメッシのチームだった」と語った。

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カタール・ワールドカップも残すところ決勝戦だけになりました。11月20日に開幕したとき、ボクは現地のカタールに行っていて、その時には決勝戦はだいぶ先のことのように感じていたのですが、いざ大会が始まるとあっという間でしたよね。

グループステージの頃は夜から明け方にかけて試合が続いていたので、寝る時間がなくなってしまった人も多いのではないでしょうか。ボクも明け方のカードが終わってからは、仕事で睡眠時間が確保できないので、移動の合間に寝たりして。慢性的な寝不足でしたよね。

それがラウンド16が終わってからは、試合数が減ったことでインターバルができて、しっかり睡眠が取れるようになりました。おかげで決勝戦も体調よく見られるので楽しみです。

その決勝のカードはアルゼンチン対フランス。大方の予想では2連覇を狙うフランス代表が有利となっています。ボクも個の能力が高い選手が数多くいて、キリアン・エンバペだけではなく、どこからでも得点が取れるフランス代表のほうが優勝に近いのかなと思います。

ただ、相手はアルゼンチン代表ですからね。ボクは大会前に優勝候補の本命にブラジル代表、対抗馬にフランス代表を挙げましたが、もっとも注目するチームとしてアルゼンチン代表を推していたんですね。

なぜかといえば、この大会がリオネル・メッシにとっておそらく最後のワールドカップになるから。やっぱりメッシほどの選手にはワールドカップの優勝を手に入れてもらいたかったし、2019年のコパ・アメリカから連勝記録を継続していたことがありました。

この連勝記録はワールドカップのグループステージ初戦でサウジアラビアに敗れて、39で止まってしまいましたが、そこからの立て直しはさすがでしたよね。

決勝戦までの道のりを振り返ると、やっぱりメッシのチームですよね。これまでのアルゼンチン代表と違い、今大会は若い選手たちが躍動しています。そうした側面をとらえて、メッシ頼みのチームから脱却したという見方もできますが、それを引き出しているのはメッシなのを忘れてはいけません。

メッシが中盤におりてパスで組み立てるときは、相手チームとしたらそこでメッシを潰してボールを奪えればチャンスになるので狙いどころなのですが、今大会のメッシはそこでの厳しいプレッシャーをかわしてしまう。そして、パスで攻撃陣を活性化させる。あれは脅威でしたよね。

ただ、それがフランス代表に通じるのかというと難しい気がします。普段のリーグ戦からメッシと戦っている選手がフランス代表には数多くいるので、メッシへの対応の仕方を理解している。これは大きいでしょうね。

それにアルゼンチン代表の守備陣が、果たしてスピードのある選手たちが揃うフランス代表の攻撃陣に対応できるのかと考えると、相当キツいのではないかなと思うんですね。

あと、アルゼンチン代表にとって準決勝の相手がブラジル代表ではなく、クロアチア代表だったのがどうだったのか。ブラジル戦が実現していて、その対決を制して決勝に進出していたら、勢いがもっと強まっていたという捉え方もできますが、その反面、肉体的な疲労度もハンパなかったでしょうから、その点ではよかった気はしますよね。

いずれにしろ決勝戦は、アルゼンチン代表が石橋を叩くような試合運びをして、0-0で推移する時間が長くなるのかなと予想しています。果たして、どうなるのか楽しみです。

もしアルゼンチン代表が優勝を持ち帰ることができたら、ディエゴ・マラドーナを擁した1986年メキシコ大会以来のこと。常にマラドーナと比較されてきたメッシが、唯一手にしていないタイトルがワールドカップですからね。

メッシにワールドカップ・トロフィーを掲げさせたい思いは、アルゼンチン国民だけではなく、世界中で多くの人たちが望んでることでもあるので、それが実現したら今大会は未来永劫に語り継がれていくのでしょうね。もちろんフランス代表の2連覇だって歴史的な偉業ですし、エンバペが新たな時代のスーパースターとしてサッカー史に大きな足跡を残すことになるわけです。

キックオフが待ち遠しくて仕方ないですが、結果を見届けるのが怖くもありますね。

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