監督を続けさせるならメリットの大きい五輪代表との兼任にしてほしいと語るセルジオ越後氏 監督を続けさせるならメリットの大きい五輪代表との兼任にしてほしいと語るセルジオ越後氏

日本代表の森保監督の去就が取り沙汰されている。もし今後も代表監督を続けるなら、再びA代表と五輪代表を兼任させてほしいね。

森保監督の4年間を振り返ると、まさに山あり谷ありだった。

就任当初は南野、中島、堂安の"三銃士"が躍動し、大きな期待を抱かせた。でも、その後、優勝を目指したアジア杯で準優勝、コパ・アメリカ(南米選手権)は若手中心のメンバー構成で臨み、グループリーグ敗退と思うような結果を出せなかった。強化試合でも、相手の本気度によって快勝したり、苦戦したりと安定しなかった。

そうして迎えたのが昨年の東京五輪。僕は銅メダルでも獲(と)れれば成功だと考えていたけど、森保監督は金メダル獲得を宣言。オーバーエイジ枠を含めたベストメンバーで臨み、グループリーグは3連勝で突破。

準々決勝でニュージーランドを倒し、いよいよメダル目前の準決勝でスペインに敗退。3位決定戦もメキシコに負けた。あれは本当に残念だったね。

その後に開幕したW杯アジア最終予選は1勝2敗という最悪のスタート。次のオーストラリア戦の結果次第では森保監督が解任されてもおかしくない状況にまで追い込まれた。一番苦しい時期だったんじゃないかな。

それでも森保監督はチームをうまくまとめていたと思う。少なくとも、選手とのコミュニケーションはうまくいっていた。前回のW杯アジア最終予選を率いたハリルホジッチ監督に比べたら雲泥の差。誠実な人柄で言葉がダイレクトに通じるから選手もやりやすかったはず。

また、A代表と五輪代表の兼任もよかった。基本的には同じサッカーなので、メンバー選考や意思疎通など、選手にとっても監督にとってもメリットは大きかった。W杯でも三笘、堂安、田中、前田、冨安、板倉ら東京五輪世代がしっかりとチームの中心となったわけだからね。そこは評価すべき。

とはいえ、結果を見れば、東京五輪でメダルを獲れず、W杯もドイツ、スペインに勝ったとはいえ、ベスト16で敗退。同じ日本人監督だった岡田さん、西野さんと変わらない。守ってカウンターのサッカーも変わらない。

それは監督ひとりの問題ではなく、選手個々の能力の問題も大きいんだけど、監督としてすごくよかったかといえばそんなこともない。悪くはないけど普通というか。評価するのが難しい。

冒頭でも言ったように、彼に監督を続けさせるならメリットの大きい五輪代表との兼任にしてほしい。パリ五輪を目指すチームはすでに大岩監督でスタートしているので、そことの兼ね合いをどうするか。森保監督がどういう形で関われるかを、日本サッカー協会は考えるべき。

それと、強化試合のマッチメイクをどうするか。W杯でベスト8以上を目指すには、ひたすら守るだけではなく、試合展開に応じて最終ラインを押し上げて攻撃もできるチームにしないといけないと思う。

そのためには、レベルの高い相手とたくさん試合をして、攻撃的なサッカーがどこまで通用するのか、試行錯誤する必要がある。

昔よりマッチメイクが難しくなっている事情があるのは理解するけど、大金を払ってアウェーに出向く、そういう機会をもっとつくらないといけない。そこは日本サッカー協会の頑張りどころだね。

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