大谷（左）とダルビッシュ（右）の参戦表明は大きな話題に。共にNPB時代は日本ハムに所属しており、同チームで指揮を執っていた栗山英樹代表監督との縁もあって参戦となった
3月開催のWBCで3度目の世界一を目指す＂侍ジャパン＂は大谷翔平らメジャー組と国内トップ選手が夢の融合を果たす。そんな日本代表の動向をチェックするアメリカの記者たちに、予備メンバーに登録された日系人選手も含め注目選手を聞いた!!
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■国内の最注目投手、理想的な4番は？
栗山英樹監督率いる〝侍ジャパン〟は、今年３月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック（以下、WBC）に史上最強の布陣で臨むことになりそうだ。
正式なメンバー発表は1月下旬になる予定だが、国内からは前回大会を経験した山田哲人らのほか、村上宗隆や山本由伸、佐々木朗希ら若きスターたちの選出も濃厚。メジャーリーグからは大谷翔平、ダルビッシュ有、鈴木誠也が出場意思を示し、ふたりの日系人選手が予備登録されたことも話題を集めた。
豪華な顔ぶれがそろいそうな日本代表の選手選考の動きは、前回大会の優勝国アメリカでも話題だ。連覇を狙うアメリカは、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷のチームメイトで、MVPを3度受賞しているマイク・トラウトをキャプテンとして選出。
そのほか、昨年のナ・リーグMVPに輝いたセントルイス・カージナルスのポール・ゴールドシュミットら、こちらも〝オールスター軍団〟の様相を呈している。
だが、現地アメリカの識者からは「日本の、特に投手陣は警戒すべき」という声が上がっている。〝ピッチングニンジャ〟の愛称で知られる投手分析家、ロブ・フリードマン氏は「日本の投手陣は間違いなく世界トップクラス」とし、まずMLBから参戦するふたりをこう評価した。
「大谷は日本の〝絶対兵器〟になるでしょう。WBCに参加する全投手の中で最強です。ダルビッシュも、間違いなく今回のWBCでトップ5の投手に入る。多彩な変化球を投げる姿は、まさに〝ピッチングアーティスト〟。豊富な経験と投球でチームの柱になるでしょうね」
さらにフリードマン氏は、国内組で注目の投手を挙げる。
「最注目は佐々木ですね。私見ですが、彼の速球とフォークは世界を支配できます。現在、最も才能がある彼とメジャー選手たちの初対決は、今大会の一番の見どころ。世界中が度肝を抜かれると思いますよ。さらに、山本の独特なカーブ、千賀滉大の〝お化けフォーク〟も非常に厄介です。
リリーフ陣では、山﨑康晃や湯浅京己の存在も見逃せない。ただ、私が注目しているのは青柳晃洋です。サイドスローとアンダースローの中間のような独特のフォームに、他国の打者は苦戦するでしょうね」
一方、打者はどうか。日本でも「今大会は村上が重要な役割を担う」と予想されているが、それはアメリカでも同じ。村上の記事を執筆したことがある『スポーツノート』のアンドリュー・ブラー=ラス記者もこう話す。
「通常アメリカでは、海外リーグの選手、特に打者はあまり注目されませんが、村上は違います。すでにMLBの各球団が熱視線を送っている。ほかならぬ私も彼に注目しているうちのひとりで、日本の4番として理想的な打者だと思っています。
メジャーで実績のある大谷や鈴木もいますが、村上はすでに優秀なバッターです。鈴木よりもパワーがあり、大谷よりも四球が多くて非常に我慢強い。3番の可能性もありますが、一番見たいのは『3番・大谷、4番・村上、5番・鈴木』という打順ですね」
■日系人選手は共に上位を打てる外野手
カージナルスのヌートバーは父がオランダ系アメリカ人で母が日本人。身長190㎝で長打力がある右投げ左打ちの外野手。スピードを生かした守備範囲の広さにも定評がある
予備メンバーとして日本代表に初めて選出された、共に25歳の日系人選手、ラーズ・ヌートバーとスティーブン・クワンについても詳しく探った。
2022年に14本塁打を放ったヌートバーについて「トップのプロスペクト（若手有望株）ではなかったが、この2年で大ブレイクし、ファンを驚かせている」と話すのは、彼が所属するカージナルスの専門メディア『レッドバード・ランツ』のジョシュア・ジェイコブス記者。
同氏は、「ヌートバーは中位打線に入れるパワーもあるが、出塁率も高い（22年は出塁率.340）。さらにリーダーシップと強いメンタルを備えている。チームの主砲ノーラン・アレナド（アメリカ代表に選出）からも尊敬を集めるほどにね」と説明し、起用法についても語った。
「ポジションはライトかセンター、打順は1番か2番に置くことが理想的。重要な場面で活躍ができるので、参加すれば日本を牽引（けんいん）するひとりになれるはずです」
ガーディアンズのクワンは父が中国系アメリカ人で、母が日本生まれの日系アメリカ人。出塁率が高い左投げ左打ちの外野手で、昨年はゴールドグラブ賞を受賞
次に、昨年メジャーデビューを果たしたクワン。幼い頃からイチローに憧れていた左バッターで、身長175㎝と小柄ながら卓越した選球眼とバットコントロールに定評があり、瞬く間にクリーブランド・ガーディアンズの主力打者になった。
そんな期待の新星について、『MLB.com』を経て『アウェイ・バック・ゴーン』のガーディアンズ番記者になったスティーブ・ディマッテオ記者は、「日本は、クワンをガーディアンズと同じように起用するのがベストだ」とし、次の起用法を提唱した。
「まず、ポジションはレフト。彼にはルーキーながらゴールドグラブ賞を受賞した〝超エリート〟な守備力があります。打順は、チャンスメーカーにもなれるのでリードオフマンか2番をオススメしたい。そうすれば、彼の能力を最大限に生かすことができます」
彼らはメジャーと同じ上位打線で起用するのがよさそう。そうなれば、日本の上位打線はほぼメジャー組という可能性も出てくる。
栗山監督は「最後まで可能性を探り、最高のチームをつくりたい」としているが、果たして誰を選ぶのか。最終メンバー発表が楽しみだ。