新たに「Our Team」というスローガンを掲げた日本代表。主将の坂手(中央)を中心に、19年の日本大会のベスト8、それ以上を目指す 新たに「Our Team」というスローガンを掲げた日本代表。主将の坂手(中央)を中心に、19年の日本大会のベスト8、それ以上を目指す

サッカーの次は、ラグビーの番だ!

2019年の熱狂から4年。ラグビーW杯フランス大会が今年の9月8日に開幕し、10月28日の決勝戦まで熱戦が続く。250万枚以上のチケットが完売の見込みで、日本からも1万人以上のファンが現地を訪れるという。

〝ブレイブブロッサムズ(勇敢な桜の戦士たち)〟ことラグビー日本代表は、20年こそコロナ禍で活動ができずやや出遅れた感はあったが、16年秋から指揮を執るジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)の下で強化を進めている。

狙うは、HO(フッカー)坂手淳史主将が「前回の結果(ベスト8)を超えたい!」と意気込むように「ベスト4以上」。ただ、前回は日本大会で満員のファンの後押しもあっただけに、現実的な目標は「海外開催のW杯で初の予選プール突破&ベスト8進出」になるだろう。そこから、さらに上を目指すことになる。

出場する20チームはすでに出そろっている。世界ランキング10位(1月1日現在)の日本代表は予選プールDに入り、下記の日程(現地時間)で試合を行なう(カッコ内は世界ランキング)。

●9月10日 対チリ代表(22位)@トゥールーズ

●9月17日 対イングランド代表(5位)@ニース

●9月28日 対サモア代表(11位)@トゥールーズ

●10月8日 対アルゼンチン代表(8位)@ナント

予選プール上位2チームに入れば準々決勝に進出し、10月14日か15日にプールC上位2チームのいずれか(ウェールズ代表かオーストラリア代表が予想される)とマルセイユで対戦。そこで勝利し、20日か21日に行なわれる準決勝に進出して初めて、パリで戦うことができる。

日本代表は2試合を行なうトゥールーズにベースキャンプを張るが、17年と22年の秋に現地で試合を行なっているため街などにも精通している。

また、15年のイングランド大会以前とは違い、日程的にはすべての試合が中6日以上空いており、ジョセフHCは「どの試合も非常にタフで、2戦目と4戦目に強豪国と戦う上で、1週間かそれ以上の試合間隔があることは、ベストを尽くして戦うためにとても重要だ」と歓迎している。

まずは初戦で、19番目にW杯の切符を得た初出場のチリ代表に快勝し、勢いに乗りたい。また、3戦目のサモア代表は力のあるチームだが、日本代表は15年大会でも勝利している。セットプレーで優勢に立ち、ディフェンスでしっかり圧をかければ勝利を計算できる相手といえよう。

昨秋に大敗したイングランド代表とは、予選プール2戦目で当たる。いかにポイントを得て、予選最後のアルゼンチン戦につなげるかが重要になる 昨秋に大敗したイングランド代表とは、予選プール2戦目で当たる。いかにポイントを得て、予選最後のアルゼンチン戦につなげるかが重要になる

問題は「ティア1」と呼ばれる強豪、前回大会準優勝のイングランド代表と、アルゼンチン代表だ。もちろん両チームに勝利するのが一番だが、少なくともどちらかに勝利しなければベスト8進出の道は見えてこない。

イングランド代表とは、エディー・ジョーンズ前日本代表HCが率いていたチームと昨年11月に対戦して13-52と大敗。貴重な〝レッスン〟となった。

しかしジョーンズHCはこの日本戦以外の昨秋の試合結果が悪く、W杯まで9ヵ月のところで解任。15年大会で日本代表のFWコーチを務めたスティーブ・ボーズウィックが指揮を執ることになった。

とはいえフィジカル、セットプレーで上回る相手のため、日本代表は接点とセットプレーの強化が急務だ。過去の対戦成績は0勝10敗だけに、接戦に持ち込み、もし負けても7点差以内にとどめてボーナスポイントを得たい。

07年大会3位のアルゼンチン代表は昨年、敵地でニュージーランド代表にも勝利した南米の強豪。特に接点、ディフェンスに長(た)け、近年はキックを交えたアタックにも力があり、伝統的に闘争心もある。前回大会は予選プールで敗れているだけに、フランス大会にかける思いも強い。

対戦成績も1勝5敗と分は悪い。しかし、やや波のあるチームで、規律が乱れる試合もある。中9日と日程は空いており、しっかりと準備できることはプラスに働くはず。日本代表としては、「予選プールの最終戦で、アルゼンチン代表に勝利すればベスト8」という形に持ち込み、すべてをぶつけたいところだ。

19年大会の「ONE TEAM」に代わり「Our Team」という新スローガンを掲げた日本代表は、昨秋の4ヵ月の代表期間を「ベースキャンプ」と定め、W杯に向けて本格的な強化を始めた。コーチ陣や選手の多くが、前回のW杯を経験していることは大きな利点となるだろう。

昨年10月29日には、ホームでニュージーランド代表を31-38と苦しめたものの、続くイングランド代表、フランス代表に敗れた。ただ、ジョセフHCは多くの選手を試すというよりも、ある程度メンバーを固定して戦った。そのため戦術理解が進み、チームの土台はできつつある。

左膝前十字靱帯断裂で長く代表を離れていた埼玉WKの松田力也が、リーグワンの開幕戦で復帰。司令塔争いはさらに熾烈に 左膝前十字靱帯断裂で長く代表を離れていた埼玉WKの松田力也が、リーグワンの開幕戦で復帰。司令塔争いはさらに熾烈に

現在、日本代表選手たちは、昨年12月に開幕した2季目のリーグワンのシーズン真っただ中。昨年、ケガのために代表活動に参加できなかったSO(スタンドオフ)松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)が、開幕戦で復帰を果たしたことは大きなプラス材料だ。

さらに同チームでは、昨秋の日本代表活動を辞退したHO堀江翔太も、1月に37歳になるベテランながら元気な姿を見せている。

元主将で34歳のFL(フランカー)リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)もケガから復帰して以降は好調を維持。21歳のSO李 承信(コベルコ神戸スティーラーズ)、20歳のLO(ロック)ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)もリーグ戦で経験を積んでいる。

リーグワンの各チームで優勝、またはディビジョン1昇格を目指して戦っている日本代表選手たちは、6月に再合流し、W杯まで試合を重ねながら強化を進める。だがその前に、選手たちが所属チームで代表にふさわしいプレーを見せ続け、切磋琢磨(せっさたくま)して個を強くしていくことがW杯につながっていく。