突然ですが、我慢ってしたことはありますか。

私がこの仕事を始めて数年経った頃、ある大きなオーディションで最終審査まで進んだことがありました。結果的には、残念ながら選ばれることはありませんでした。

これはいけるかも、と思っていただけにずいぶん落ち込みました。でもそこで投げやりにならず、どうせだったら好きなことを磨き続けようと信念を貫いた結果、今のお仕事につなげることができました。

あのとき気づいたのは、人生で我慢はとても大事ということ。というわけで今回のテーマは「我慢」です。せっかくの土曜日、この記事に初めて出会った方も、我慢して最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

野球には我慢がつきものです。

たとえばつらいメニューばかりを与えられるキャンプでは、選手はみな歯を食いしばって頑張っています。まさに我慢の毎日。シーズンが始まってからもトレーニングや食事、夜遊びだったりと、「我慢=ストイックさ」が求められます。

時に痛みを我慢することもあるでしょう。デッドボールや自打球は本当に痛そうですよね。昔は珍プレーを特集した番組が人気でしたが、内野フライを頭に当てた元中日の宇野勝選手はいまだに皆の記憶に刻まれています。

現在はクロスプレーや相手を狙うスライディングは禁止されていますが、不可抗力で敵味方が接触する可能性はあります。また、怪我を押して出場するときも痛みとの戦いです。

積極的な我慢もあります。たとえば、投手のつり球(誘い玉)を我慢するのは打者にとって大事なこと。つり球の役割は、ボールになっても振ってくれたらOKの球ですから、それを振るか振らないかでその後の展開は大きく変わります。投手と打者の勝負は読み合い・騙し合いで、1球を我慢することがいい結果につながることは多くあります。

プレーヤーだけでなく、首脳陣にも我慢は必要。たとえば将来中軸を担うであろう若手を使い続けるのはチームの今後のために必要ですし、不動の4番打者が不調に陥っても使い続けることは我慢といえます。オーダーを動かすのは簡単だけど、そうすることでさらに成績が落ち込んだり、チームの雰囲気が悪くなることもあるからです。

みなさんは最近、どんなことを「我慢」しましたか?みなさんは最近、どんなことを「我慢」しましたか?

ポジション争いでも我慢が必要です。試合に出ている選手だけが試合を作るわけではありませんから、控えであっても試合に出たいという気持ちをぐっと我慢して、ここぞというときに活躍できる準備をしてほしいと思います。

いろんなことを我慢してきた苦労人が活躍する様子を見るのも好きです。選手名鑑のコメントを見るときに、「苦労人」というワードに敏感な私は、サイドストーリーを含めて選手を評価したくなります。

生粋のエースにも、もちろん苦労や我慢があることでしょう。それでもやはり、「雑草魂」の上原浩治さん(元巨人)や、オリックス宮城大弥選手のような苦労人には、ファンも並々ならぬ思いをこめて活躍を期待してしまいます。判官贔屓とは違うかもしれませんが、そういう情報に弱い人は多いと思います。

ファンはみな選手の努力や苦労が報われてほしいと思っているんですよね。我慢して頑張れば、いつかいいことがある。苦労した分だけ、幸せになってほしいのかも。

そして私たちファンにも、我慢は必要です。開幕から負け続けて早々に優勝争いから脱落したチームを応援するには、やはり忍耐が必要です。それでも何年も、あるいは何十年も我慢を続けたときのほうが、優勝の喜びが大きいはずですよね。

今日の格言「野球にはロマンと我慢がつまっている」

大きな花を咲かせるためには小さな我慢から。ということで、今日は久しぶりの休肝日にしたいと思います。プロ野球のシーズン開幕日には朝から乾杯しましょう。それではまた来週!

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週土曜日朝更新!