今年1月、NBA屈指の人気チームであるロサンゼルス・レイカーズに八村 塁が移籍。合流した日に出場した試合で得点を挙げて、今後の活躍を予感させる高いポテンシャルを見せつけた。
これからさらに歴史的な日本人選手になっていく様子をニュースのハイライトで見るだけじゃもったいない! 「でもレイカーズ知らんし」じゃねえ! これを読んで、全力で盛り上がろうぜ!! Go!! Go!! レイカーズ!! Go!! Go!! レイカーズ!!
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■スター選手ばかりのチームメイトを紹介!
八村 塁がワシントン・ウィザーズから名門ロサンゼルス・レイカーズに電撃加入した。レイカーズはNBA屈指の人気チーム、これをきっかけにあらためてNBAに興味を持った人も多いはず! そこで、八村が話題になったときに芯を食ったコメントができるように、レイカーズの今を大解剖した!
「現在のレイカーズを語る上で欠かせないのは、あのマイケル・ジョーダンを超えつつあるとの呼び声も高いレブロン・ジェームズです」
そう話すのはNBAアナリストの佐々木クリス氏。
「38歳と選手としては高齢ながら、今でもNBA界のトップに君臨しています。通算3万得点、1万アシスト、1万リバウンドの3つを達成しているNBA史上唯一の選手で、30年以上塗り替えられなかった歴代最多得点にも、あと89点(2月1日現在)ほどに迫っています。彼は2018年にレイカーズに移籍し、20年にはチームにとって10年ぶりとなる優勝に導きました」
そんな現役最強選手と日本人選手が一緒にプレーするなんてすでに歴史的じゃん!
「そしてレブロンと共にチームの要になっているのはアンソニー・デイビス。208.3㎝の長身と長い手足でブロックはお手の物。敏捷性(びんしょうせい)にも優れ、すべてのポジションをこなせる万能型センターです。
ただ、ケガが多く、今シーズンも長い期間離脱したためにチームは不安定に。それでも、その間の戦績をなんとか10勝10敗に抑え込めたのは、デイビスの代わりに入ったトーマス・ブライアントが予想以上の健闘をしたためです」
レイカーズファンで、TikTokでフォロワー18万人超の『クリスのバスケ日記』のクリス氏も彼を絶賛する。
「控え選手のブライアントはあまり期待されていなかったのですが、気迫あふれるディフェンスと精度の高い3P(ポイント)シュートが輝き、チームを窮地から救ったことも。実は彼、かつて八村とウィザーズでチームメイトだったんです」
ウィザーズ時代の仲間はほかにも。昨年加入したラッセル・ウェストブルック(以下、ラス)だ。TikTokerのクリス氏が続ける。
「試合をコントロールする能力に長(た)け、毎年ひとりにしか授与されないNBA最優秀選手賞に輝いたこともある安定したプレーヤーで、八村も〝センパイ〟と呼び、慕っています。八村のデビュー2戦目では『おまえなら取れんだろ?』と言わんばかりの鋭いパスを出す場面もありました」
素早くドリブルで切り込んだり、的確なパスでアシストしたりとオフェンス力に定評がある一方、ディフェンスの粗さも目立つという。
「ボールを追うクセがあって、マークを外してしまうことが多々あるんです。そこに今年トレードで加入したのが、シカゴの治安の悪い地域の出身で、アグレッシブな守備がウリのパトリック・ベバリー。
相手チームのエースにビタッと張りつきイラつかせてミスを誘うプレーが、レイカーズファンにもウケており人気です。かつて別チームのエースだったラスとは犬猿の仲でした」
そんなふたりが現在レイカーズでタッグを組んでいるなんてアツい! こんなに個性的かつ強力な選手が数多くいるのに、レイカーズは現在、ウエスタン・カンファレンスで15チーム中13位。主な要因はデイビスのケガだが、チームとして噛み合っていないのも大きいという。
「レイカーズはレブロンがボールを持って試合をコントロールして勝ってきたチームなのに、そこに同じような役割のラスを入れても個性がぶつかるだけでうまくマッチしませんでした。レイカーズの勝利の鍵を握るのは、レブロンが気持ちよくプレーできるかどうかなんです」
そこで、レイカーズはラスの代わりに、ユーロバスケットでドイツを銅メダルに導いたデニス・シュルーダーを先発で起用し始めた。
「シュルーダーはお調子者。かつて所属していたレイカーズの提示額に不満を抱き、オファーを蹴ってほかから交渉されるのを待っていたのにほとんど声がかからず、当初の提示額よりはるかに安い金額でいくつかのチームを転々とした後、レイカーズに帰ってきたっていう選手(笑)。
エネルギッシュで堅実なプレーもいいんですが、何よりレブロンとの相性がいい。レブロンが3Pを打つ際に、『入らねえよ!』とヤジったり、『いつまで現役なんだよ!』とツッコんだり。そんな怖いもの知らずの彼にレブロンは心を開いていて、おちゃめな絡みをよくしています」
どうやら最強の選手をチームに内包するのは、それなりの難しさがあるようだ。佐々木氏が語る。
「多くの選手にとってレブロンとプレーすることは栄誉であると同時に大きなプレッシャーなのです。彼は最強なので、『こいつダメだな』とか『チームがイケてないな』と思ったらすぐに態度に出しちゃう。
レブロンとプレーしてキャリアが花開いた選手も無数にいますが、同様に苦しむ選手もいます。つまり、レブロンを乗せられるメンバーで固められるかが重要なのです」
■最強なレブロンとプレーができる価値
そんな環境で、レイカーズはなぜ八村を欲したのか。佐々木氏はこう分析する。
「レイカーズはレブロンにおんぶに抱っこでここまで来たのですが、最強とうたわれる彼ももう38歳。彼の負担を減らすプレーヤーが必要なんです。そこに、身長203㎝の高さを持ちながら俊敏性もある若い八村に白羽の矢が立った。
特に期待されているのはディフェンスと3P。レブロンは体力を考慮して相手チームのエースとマッチアップしませんが、八村ができればチームに大きく貢献できる。また、キャリア3年目となる昨シーズンの3P成功率は44.7%。
40%あればホメられる中でのこの数字は、シューター不足のレイカーズにとって期待したい部分なはず。つまり、レブロンを下げても攻撃力と守備力が大きく落ちないことが八村には求められているのです」
では、ここまでの数試合を経て、八村は現地でどのように評価されているのか。20年間NBAを取材しているニューヨーク在住のスポーツライター、杉浦大介氏はこう話す。
「今回のトレードは、レブロンという最強選手を有しながら13位になってしまったレイカーズが名誉挽回するための布石の1手目。この順位を受けてレブロンを責める人は誰もいません。
むしろ『どうしてレブロンを助けられなかったんだ』と周りの選手が責められる。それでいうと八村は、レブロンの周りの選手のひとりとしてはフィットしていると評価されています」
杉浦氏は、レイカーズでプレーすることが八村にとって大きな意味を持つ可能性があるという。
「ウィザーズにいた頃の八村は〝未完の大器〟という扱いだったんです。『才能はあるけど開花できていない』と。そこから、トレードでレイカーズに来て、レブロンとプレーをすることになった。
レブロンはシュートやドリブルはもちろん、パスで周囲の選手を使うことにも長けています。アシストで選手の能力を引き出すのも好きなんです。
実際、八村がレブロンからパスを受けて速攻でダンクを決める場面もありました。未来ある八村の本領を引き出せるプレーヤーがいるとしたら、レブロンなのかもしれません」
しかし、そんなレイカーズは13位という崖っぷち状態。各カンファレンス内の勝率上位8チームが争う4月のプレーオフに間に合うの!?
「本来であれば13位は絶望的ですが、今年は大混戦で、4位と4ゲーム差しか離れておらず、十分射程圏内なんです。ブルックリン・ネッツの渡邊雄太選手も『ここからレイカーズは上がってくるだろう』と話していました」
では、ここからレイカーズはどのように戦うのか。
「メインの軸はレブロン、デイビス、シュルーダーで間違いないと思いますが、レブロンを下げたらラスを入れて、ブライアントと八村の元ウィザーズタッグが起用されることも予想されます。
バスケは5人で行なわれる攻守の境目がないダイナミックなスポーツ。そのためひとりひとりの能力の高さとそれがうまくハマるかが重要なんです。八村はチームと連携しながら、その能力を証明し続けなければなりません」(佐々木氏)
八村がレイカーズで不可欠な存在になれるよう、日本からも全力で応援しましょう!