Jリーグの新シーズンをフカボリ! Jリーグの新シーズンをフカボリ!
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。 

そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる! 

第52回目のテーマは、Jリーグについて。いよいよ開幕が迫ってきたJリーグの新シーズン。開幕前の段階で福西崇史が注目するポイントとは?

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いよいよ2023シーズンのJリーグが始まりますね。今週末の2月11日(土)に昨季のJ1王者・横浜F・マリノスと、天皇杯で優勝したヴァンフォーレ甲府が対戦するスーパーカップがあって、翌週の2月17日(金)にJリーグが開幕します。

オープニングカードは、川崎フロンターレと横浜F.マリノス。昨シーズンも最後の最後までJ1タイトルを争った2チームが激突するわけですから、今シーズンの行方を占う意味でも大注目の一戦ですよね。

両チームとも今オフに守備陣に動きがありましたよね。マリノスは昨季リーグMVPの岩田智昭(現セルティック)が抜け、フロンターレは日本代表の谷口彰悟(現アル・ラーヤン)が移籍しました。この穴を両チームがどう埋めるのかは興味深いです。

ただ、フロンターレは昨季の戦いを振り返ると谷口の存在感も大きかったのは間違いないですが、やっぱりジェジエウですよ。彼が万全のコンディションでDFラインにいてくれれば、なんとか谷口が抜けた穴は埋まるのかなと予想しています。車屋紳太郎はいますし、新たに柏レイソルから大南琢磨も獲得していますからね。

マリノスもCBに柏から上島拓巳を獲得していますが、昨季は出番を減らした畠中慎之輔もいますからね。エドゥアルドを軸にしながら守備を構築していくのだと思いますが、シーズンが進むにつれて確固たる形がつくれるかがカギになるでしょうね。

いずれにしても、この両チームが今季もリーグ戦を主導する存在になるはずですから、リーグ開幕直後は彼らが昨季からどう変化しているのかを、しっかりチェックしたいです。

この2チーム以外では鹿島アントラーズと浦和レッズが気になっています。鹿島は精力的に補強した印象がありますし、浦和もマチェイ・スコルジャ新監督のもとで、どういう戦いを見せてくれるのか注目しています。

鹿島はFW陣にフロンターレから知念慶を獲得し、昨季は東京ヴェルディで経験を積んだ若手の染野唯月をレンタルバック。サガン鳥栖からは経験豊富な垣田裕暉も復帰しました。MFにもサンフレッチェ広島の躍進を支えた藤井智也も加えましたが、チーム内の競争が激しくなることで、攻撃陣はさらに活性化されるだろうと期待しています。

ただ、その攻撃陣以上に大きな補強になったのが昌子源(前ガンバ大阪)と植田直通(前ニーム)の古巣への復帰ですよね。昨季まで課題とされていたDFラインの強化に成功したことは大きいでしょう。日本代表での経験値もあるふたりの復帰で、守備が安定してくれば、優勝争いに加わると見ています。

浦和は未知数なだけに興味がそそられますね。スコルジャ監督はポーランドで実績を残していますし、若手の育成にも定評がありますが、浦和にどういうサッカーを持ち込むのか。

昨季まで攻撃の中心だった江坂任(現蔚山現代)やキャスパー・ユンカーを放出した以上のものを、スコルジャ監督がつくりあげてくれることを期待しています。

攻守両面で浦和がどういうサッカーをやるかは蓋を開けてみなければわからない部分が大きいだけに、開幕から浦和の戦いぶりは追いたいと思っています。

このほかにも楽しみなチームは多いですが、なかでも香川真司が12年半ぶりに復帰したセレッソ大阪には注目しています。今オフは外国籍選手を中心に大幅に選手の入れ替えをして、マリノスで出番が限られながらも11得点をマークしたレオ・セアラも獲得していますしね。

元日本代表の清武弘嗣をはじめとする経験豊富な選手がいて、北野颯太のように次代を担う期待の若手も育ってきている。バランス良く選手がいることは強みになるでしょうし、昨シーズンの5位を超える成績も期待できる陣容ですよね。

いずれにしても今シーズンのJリーグは、近年まれにみる大混戦になる可能性は大きいと思っています。どのチームにもタイトル獲得のチャンスはありますね。

今年はJリーグが誕生して30周年目という記念すべき年でもあります。Jリーグ誕生のオープニングゲームとなった1993年5月15日の川崎ヴェルディ(現東京ヴェルディ)と横浜マリノスの一戦は凄まじい盛り上がりを見せて、その後のJリーグブームを呼びました。

なかなか現在の状況で「当時を超える盛り上がり」を期待するのは難しいと理解していますが、間違いなくJリーグのピッチで展開されているサッカーは30年前のクオリティーを大きく上回っています。それだけに今シーズンのJリーグにひとりでも多くの人が足を運んでくれることを願っています。

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