選手個人で期待しているのは湘南の町野と語るセルジオ越後氏選手個人で期待しているのは湘南の町野と語るセルジオ越後氏

今週末の富士フイルム・スーパー杯(J1王者・横浜FMvs天皇杯王者・甲府)を皮切りに、今季で30周年を迎えるJリーグが開幕する。

J1の優勝争いは、今季も横浜FMと川崎の"二強"が中心。

昨季王者の横浜FMは、昨季リーグMVPの岩田がセルティックに移籍、さらに仲川、レオ・セアラも抜けた。その穴を埋めるような大型補強はなく、プラスよりもマイナスが大きい。

ただ、昨季の横浜FMはマスカット監督が選手をうまくローテーションし、誰かひとりに頼るサッカーではなかったから、それほど心配する必要はないんじゃないかな。

また、ここ数年の横浜FMは、補強に関してのフロントの動きが迅速かつ的確。今季もうまくいかない部分があれば、すぐに動くはず。連覇の可能性は十分あると思う。

昨季2位の川崎は、長年最終ラインを支えてきた谷口が海外移籍したけど、守備に関しては、ジェジエウ、山根ほか計算の立つ選手が多く、大崩れはしないだろう。

それよりも問題は攻撃陣。エースのレアンドロ・ダミアンが復活できるか。期待はしたいけど、現時点で故障からの復帰時期がハッキリせず不安だ。実績のある小林も最近はケガが多い。昨季は家長が孤軍奮闘して得点を取る役割もこなしたものの、さすがに彼の負担が大きすぎるし、今季も同じような状況になると苦しい。

ダミアンが復調しないようなら、シーズン途中の補強も考えないとね。個人的には、湘南の町野(日本代表)、もしくは清水(J2)のチアゴ・サンタナ(昨季J1得点王)にオファーを出したら面白いと思うけど、どうかな。

二強以外でいうと、鹿島は昌子と植田が復帰したものの、鈴木頼みのFW陣が苦しい。浦和は選手だけでなく監督も入れ替わり、すぐに結果を求めるのは無理がある。例年、大型補強で注目を集める神戸も今オフはおとなしかった。その他のチームも含めて、本気で優勝を狙うための補強をしたチームは見当たらず、二強を脅かすのは難しそう。

選手個人では、まず僕が期待しているのは湘南の町野。昨季は下位の湘南でチャンスも少ない中、決定力の高さを見せた。今季も結果を出せたら間違いなく本物だ。カタールW杯で出番のなかった悔しさを晴らしてほしいし、もっとレベルが上のチームでプレーする姿も見てみたい。

パリ五輪世代も当然注目だけど、中でも期待しているのは横浜FMの藤田。彼はセンス、可能性を感じるボランチだね。昨季は横浜FMでレギュラーという感じではなかったので、今季はもっと試合に出ることを目指してほしい。試合経験を積むことで劇的に伸びるかもしれない。

最初に言ったように、Jリーグは今季で30周年。ただ、カタールW杯直後のシーズンだというのに、開幕前の盛り上がりがイマイチなのは残念。だからこそ、選手には奮起を期待したい。

ちなみに先日、野々村チェアマンと食事をする機会があったのだけど、彼もいろいろ苦労している様子。それでも4月から、全国各地のローカル局で地元のサッカーの話題を取り上げる番組を開始させるなど、Jリーグを盛り上げるべく動いている。メディア露出を増やすためのよい試みだと思うし、選手たち同様に応援したい。

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