スタメンの座を確保し、3試合連続ゴールを決めるなど、センセーションを巻き起こしているスタメンの座を確保し、3試合連続ゴールを決めるなど、センセーションを巻き起こしている

カタールW杯後、所属するブライトンに戻った三笘 薫が好調をキープしている。そのプレーぶりは現地でどう評価されているのか。本当に大絶賛されているのか。地元ジャーナリストに聞いた。

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■「あの瞬間にすべてが変わった」

カタールW杯で日本代表のベスト16進出に貢献した三笘 薫(ブライトン)の勢いが止まらない。

1月下旬から2月上旬にかけて公式戦3試合連続ゴールを決めるなど、強豪ひしめくプレミアリーグでクラブ史上初の欧州カップ戦出場(5位以内)も射程圏内に入るブライトンにあって、攻撃の軸としての役割を果たしている。

レンタル先のユニオン・サン=ジロワーズ(ベルギー)からブライトンに加わった今季の開幕当初、三笘はベンチに座る時間が長かった。だが、W杯後はリーグ戦全試合にスタメン出場(24節終了時点)。得点という目に見える結果も出し、覚醒した感がある。

ブライトンがまだ3部だった16年前から地元紙『ジ・アーガス』で番記者を務めるブライアン・オーウェン記者はこう話す。

「厳密に言えば、三笘のブレイクのきっかけはW杯前のチェルシー戦(10月29日、○4-1)だと思う。今季開幕時にブライトンを指揮し、後にチェルシーに引き抜かれたグレアム・ポッターが対戦相手の監督として初めて戻ってきた一戦で、スタジアムがものすごい雰囲気に包まれる中、それまでスーパーサブの位置づけだった三笘は初先発すると、開始5分に絶妙なボールタッチで先制ゴールをアシストした。

あの瞬間にすべてが変わった。今やドリブルはもちろん、"ミトマジック"(魔法のようなプレー)はおなじみで、リーグ屈指の選手として評価されていると言っても過言ではないよ」

そんな三笘が最もインパクトを与えたのは、自らの劇的な決勝ゴールで勝利したFA杯のリバプール戦(1月29日、○2-1)だった。

「3-0で勝ったリーグ戦のリバプール戦(1月14日)でも対峙した右サイドバックのイングランド代表DFトレント・アレクサンダー=アーノルドを翻弄していたけど、やっぱり後半アディショナルタイムに〝あんな素晴らしいゴール〟(ペナルティエリア内で浮いたボールを受けると、右足のダブルタッチでDFをかわしてシュート)を決めたのは印象的だった。

今季のリバプールは不調が続いていて最強とは言えないけど、それでもリバプールはリバプール。翌日には英国中の新聞が三笘の写真を掲載し、(国営放送の)BBCラジオでも約10分の特集が組まれたほか、あらゆるメディアの注目を集めていた。実は私のところにも、日本からの取材が殺到して大変だったよ(笑)」

■「クラブの規模や方向性がハマった」

三笘が定位置を確保できた理由として、ポジションを争うベルギー代表MFレアンドロ・トロサールのシーズン途中でのアーセナルへの移籍が大きかったともいわれている。

だが、イングランド南部のクラブを中心に取材し、『デイリー・エクスプレス』紙などに寄稿するライアン・テイラー記者は「むしろ三笘がポジションを奪い、トロサールを追い出した」と語る。

「いつドリブルで仕掛け、いつシュートを打って、いつパスを出すのか。三笘はそのチョイスが完璧。実は最近、昨季ベルギーでも三笘とチームメイトだったFWデニス・ウンダフと話をしたら、『以前はプレーの選択に迷いがあったようだが、今ではそれがないようだ』と言っていた。それが急成長の秘密かもね」

また、テイラー記者はブライトンが地方クラブで、周囲の選手に恵まれたことも三笘にとって大きかったのではないかとみている。

「昨季までリバプールにいた南野拓実は、ワールドクラスの選手とのポジション争いに敗れ、出場機会をほとんど得られず苦労した。

でも、三笘はアルゼンチン代表MFアレクシス・マクアリスター、いずれもエクアドル代表のMFモイセス・カイセド、DFペルビス・エストゥピニャンら、才能はありながらもまだ若くスターではない選手とプレーすることで、共に一流への道を歩んでいる。ブライトンのクラブ規模や方向性がハマったのは幸運だった」

ちなみに先日、現地放送局による試合直後のインタビューに対して、三笘が通訳なしで対応している様子から、日本では「流暢な英語を話せるのか」と話題になったが、三笘の英語力はどうなのか。

「ものすごく流暢ではないけど、短いインタビューなどには応じているから、コミュニケーションは取れるレベルだとは思う」(テイラー記者)

「三笘は礼儀正しいし、ナイスガイだ。ただ、少しシャイすぎるというか、われわれは彼の取材に苦労している。残念ながら、テレビのフラッシュインタビュー以外の一般の取材エリアでは日本人記者にしか話をしておらず、私はこの2ヵ月間話せていない(苦笑)。もう少し英語が上達したら、いろいろ聞きたいことはあるんだけどね」(オーウェン記者)

直に話が聞けないことで、現地で特に注目されているのが三笘のキャリアだという。

「大学の卒業論文のテーマがドリブルだったことは有名で、三笘が特集されるたび、彼のコメント代わりに紹介されている。こっちではサッカー選手が大卒なんてことはほぼないから、そのことを正しく理解するのは難しいけどね。ただ、三笘の活躍で、今英国サッカー界では第二、第三の三笘がいるのではないかとJリーグへの関心が高まっているよ」(オーウェン記者)

最近の活躍ぶりを見れば、今後ビッグクラブへの移籍話が浮上しても不思議ではない。

「ブライトンは川崎フロンターレから250万ポンド(約4億円)で三笘を獲得した。タダみたいなものだ。今や移籍金は8000万ポンド(約128億円)ともいわれているから、ブライトンは放出する気がないのかもしれない」(テイラー記者)

英国南部の海浜リゾートとして知られるブライトンには今、背番号22のユニフォームを着たサポーターが増えつつあるという。三笘の躍進はどこまで続くのか。