今回のWBCに出場する侍ジャパンは、大谷翔平やダルビッシュ有などの参加で「過去最強」との呼び声も高いが、ほかの出場国も豪華な顔ぶれになっている。そんなライバル国たちの"怪物"たちをチェックしていこう。【侍ジャパンを待ち受ける"ライバル国の怪物たち" その2】
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プールCでは前回覇者のアメリカが断トツの戦力、層の厚さを誇る。大谷とエンゼルスの同僚で、キャプテンを務めるマイク・トラウトは、現地時間2月20日のリモート会見で「優勝以外はすべて失敗。自分たちのプレーをすればどんな相手であろうと倒せると思っている」と高らかに宣言した。
長く「メジャーのベストプレーヤー」と称されてきたトラウトがこれほどの自信を口にするだけあって、各ポジションにスーパースターをそろえている。
トラウトをはじめ、外野手ムーキー・ベッツ(ドジャース)、一塁手ポール・ゴールドシュミット(カージナルス)というシーズンMVP経験者3人に、通算134本塁打で「現役ナンバーワン捕手」とも言われるJ・T・リアルミュート(フィリーズ)、昨季のナ・リーグ首位打者の二塁手ジェフ・マクニール(メッツ)、10年連続ゴールドグラブ賞の三塁手ノーラン・アレナド(カージナルス)、盗塁王2度&首位打者1度の遊撃手トレイ・ターナー(フィリーズ)と、ハイレベルすぎる布陣だ。
ただ、今大会のアメリカを「絶対的な存在」と言い切れないのは、投手陣がいまひとつインパクトに欠けるからだ。
先発はサイ・ヤング賞3度のクレイトン・カーショウ(ドジャース)が辞退し、日本の巨人で活躍したマイルズ・マイコラスや通算195勝のアダム・ウェインライト(ともにカージナルス)らが中心になる。
もちろん悪くないメンバーだが、22年のワールドシリーズで5試合無失点のライアン・プレスリー(アストロズ)らブルペン陣がどれだけ先発陣を支えられるかが、連覇へのポイントになりそうだ。
同プールでアメリカを脅かすとすれば、筆頭候補はメキシコになるだろう。投手陣は21年に20勝、昨季は最優秀防御率のタイトルを獲得したフリオ・ウリアス(ドジャース)をはじめ、メジャーで実績がある投手がそろう。そのウリアスとドジャースでバッテリーを組む捕手のオースティン・バーンズがメンバー入りしていることも大きい。
野手も、21年新人王のランディ・アロサレーナ(レイズ)、強肩強打のアレックス・バードゥーゴ(レッドソックス)、35本塁打のロウディ・テレス(ブルワーズ)といった著名選手たちが名を連ねる。もちろん選手層はアメリカに及ばないが、大一番でウリアスを先発させれば"番狂わせ"を起こすかもしれない。
ほかに、元巨人のスコット・マシソンらNPB出身投手たちと、20年にナ・リーグMVPに輝いたフレディ・フリーマン(ドジャース)が引っ張るカナダも侮れない存在。
また、ソフトバンクでもプレーしたホルベルト・カブレラ監督が指揮を執るコロンビアも、メジャー通算89勝の左腕ホセ・キンタナ(メッツ)、昨季に打率.285、13本塁打と活躍し、エンゼルスに移籍したばかりのジオ・ウルシェラといった好選手がいるため、金星を挙げる可能性はゼロではない。アメリカがこのプールの本命であることは揺るがないが、波乱の予感もほのかに漂っている。