今回のWBCに出場する侍ジャパンは、大谷翔平やダルビッシュ有などの参加で「過去最強」との呼び声も高いが、ほかの出場国も豪華な顔ぶれになっている。そんなライバル国たちの"怪物"たちをチェックしていこう。【侍ジャパンを待ち受ける"ライバル国の怪物たち" その3】
* * *
カリブの強豪国が顔をそろえ、「死のグループ」とも呼ばれているのがプールD。準々決勝に進出できる上位2枠を巡って激しいバトルが連日続きそうだが、本命視されているのは13年の第3回大会を制したドミニカ共和国だ。
21年にア・リーグ本塁打王に輝き、大谷とMVPを争ったブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)の出場辞退となったが、それでも打線は超強力。20年のナ・リーグ首位打者フアン・ソトと、通算283本塁打で11年契約を結んだばかりのマニー・マチャド(ともにパドレス)、"イチローの秘蔵っ子"で昨季のア・リーグ新人王のフリオ・ロドリゲス(マリナーズ)らスター級がずらり。
投手陣は、昨季にサイ・ヤング賞を受賞したサンディ・アルカンタラ(マーリンズ)が軸で、アストロズの世界一に貢献した本格派右腕のクリスチャン・ハビアーらが周囲を固める。
アメリカの一部メディアでの優勝予想オッズでは、アメリカ、日本などを上回って1位となることも。ドミニカ共和国代表のネルソン・クルーズ内野手兼GMも「いいチームになると信じている。国民はみんなゲームを理解していて、(WBCの)ロースターも知っている。ドミニカではそれだけ野球が重要なんだ」と自信満々。
大会の盛り上がりも左右するだろうスーパースター軍団が、今大会の最注目チームであることは間違いない。
直近の2大会で準優勝のプエルトリコも楽しみなチームだ。過去4大会で正捕手を務めたヤディーヤ・モリーナ(昨季限りで現役引退)が監督に就任。
17年の前回大会で最優秀遊撃手に輝いたフランシスコ・リンドーア(メッツ)、最優秀二塁手に輝いたハビアー・バエズ(タイガース)の二遊間がチームの核になる。ほかにも、メジャー通算138本塁打のエディ・ロサリオ(ブレーブス)、内外野とも守れるエンリケ・ヘルナンデス(レッドソックス)、強打の捕手クリスチャン・バスケス(ツインズ)ら粒がそろっている。
前回大会はアメリカ代表として出場したマーカス・ストローマン(カブス)が中心の先発投手陣はやや層が薄い。
ただ、最速165キロで「現役最高の抑えの切り札」と評されるエドウィン・ディアス(メッツ)、その実弟で昨季の防御率が1.84だったアレクシス・ディアス(レッズ)、昨季23セーブのホルヘ・ロペス(ツインズ)が名を連ねる強力ブルペンはチームの最大の武器かもしれない。
「WBCは(MLBの)ワールドシリーズに次ぐ、2番目に素晴らしいトーナメント。今回のチームは層が厚いし、楽しみにしているよ」
リンドーアのそんな言葉どおり、プエルトリコの主力選手たちは大会の魅力を十分に理解している。同時に、過去2大会で最後まで勝ち抜く難しさを知っただけに、必勝を期して臨んでくる今大会はより熱量が高いだろう。
もう1チーム、ベネズエラも豪華メンバーをそろえてきた。
メジャーを代表する二塁手であるホセ・アルトゥーベ(アストロズ)に加え、19年に41本塁打&37盗塁をマークしたロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)も出場することは大きい。さらに昨季ア・リーグ首位打者ルイス・アラエス(マーリンズ)、21年に48本で本塁打王となったサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)が主軸を担う。
投手陣は、昨季に世界一になったアストロズで15勝を挙げたルイス・ガルシア、マーリンズで10勝をマークしたパブロ・ロペス(ツインズ)らが柱だ。1月下旬には、39歳の"レジェンド"ミゲル・カブレラ(タイガース)を中心に決起集会を開いて士気を高めたという。そんなベネズエラも目の離せないチームだ。