盛り上がるのも納得だし、サッカー界からすれば素直にうらやましいよ。僕のサッカーファンの知人もチケットを入手して球場まで応援に行っていた。
日本が野球のWBC一色になった。侍ジャパンの試合中継の視聴率は軒並み40%を超え、関連グッズも売れに売れた。テレビをつければ、どの局も地上波で朝から晩まで特集を組んでいた。
もともと日本は野球人気が高いけど、今回はいい条件がそろったよね。特に選手のキャスティング。大谷をはじめダルビッシュなどメジャー組のスター選手が出場し、国内組も豪華な顔ぶれ。ヌートバーという新たな人気者も登場し、パフォーマンスも注目された。
メディアからすると、「売りになるものがたくさんあるから取り上げやすい」状況。そして何より注目を集めている選手が期待に応え、しっかり結果を出したのが大きい。
WBCは参加チームのレベルやモチベーションにバラつきがある。興行優先のため特定の国に有利な組み合わせや日程、極端にアメリカに偏った収益配分の問題などもある。純粋な意味での「真の世界一を決める大会」でないことは僕にもわかる。サッカーのW杯とはまったくの別モノだ。
それでも、この盛り上がりはスゴいし、何かと暗い話題の多い今の日本に明るい話題をもたらしてくれた。
その余韻も冷めない中、森保ジャパンがカタールW杯後初となる親善試合のウルグアイ戦(24日)、コロンビア戦(28日)を迎える。野球の公式戦とサッカーの親善試合の盛り上がりを比べることにあまり意味はないけど、サッカーも負けずに日本を元気づけられるような試合を見せてほしいとは思うね。
代表チームには常に結果を求めたいし、僕は2連勝を期待している。ただ、今回はたとえ負けても監督の進退が問われるような状況ではない。新生・森保ジャパンのスタートとして内容をより重視すべきだろう。
次の2026年北米W杯で今度こそベスト16の壁を越えるため、こういうサッカーを目指すんだというものを見せられるか。
具体的には、カタールW杯では守って守ってカウンター狙いだったサッカーをどう変えるのか。ベスト16でクロアチアに負けた後、選手たちも「ずっと守るだけでは厳しい」と口にしていた。まったくもって同感だし、ファンもそこを期待している。
例えば、W杯では攻撃の切り札としてベンチスタートだった三笘。彼は今回の2試合ともスタメンで起用すべき。プレミアリーグで上位をうかがうブライトンにあって、いまやスタメンとして継続的に活躍している。そんな彼を先発で起用しないのは、大谷を代打要員にするようなものだ。
攻撃陣にはほかにも伊東や堂安など所属クラブで結果を出している選手がいる。個人的には、左に三笘、真ん中に堂安、右に伊東と並べてどうなるかを見てみたい。
欧州勢とのマッチメイクが難しい昨今、南米のウルグアイとコロンビアは悪くない相手。過去の対戦を振り返っても、両国ともに観光気分で来日するのではなく、真面目に試合をやってくれる印象がある。
カタールW杯までの4年間で築き上げた土台を生かしつつ、どれだけ新たな変化を加えられるか。森保ジャパンも明るい話題を届けてほしいね。