祝、シーズン開幕。日米に球春がやってきました。みなさんの好きな球団の開幕戦の結果はいかがでしたか? 

今回のテーマは「評論家のススメ」。この連載の読者は熱狂的な野球ファンもいれば、WBCで野球に興味を持った方もいらっしゃるかもしれません。そんな方に、シーズンを通して野球をより楽しくためのコツをご紹介したいと思います。

私からのご提案は「ベストオーダーを作ってみよう」。

大事なのはプロ野球・MLBに、能動的に関与すること。積極的に興味を持つことで、さらに野球が楽しくなるからです。

野球というスポーツはサッカーなどと比べると、ポジションが明確で、さらに投手と打者の1対1の対決を中心にゲームが進んでいくので、試合展開が予想しやすいという特徴があります。

どうやって点を取るのか、誰が抑えるのか、という「型」がある程度決まっていて、実際にその通りになることも多いので、私たちも予想のしがいがあります。

私は野球を好きになってから20年以上が経ちますが。いまだにシーズン開幕前にワクワクするのは、自分なりのベストオーダーを頭の中で組んでいるからです。たとえば、オープン戦で調子がいい若手選手がいたら、「彼を上位打線で起用したら面白いのでは」という具合に、頭の中で打順を考えます。

昨年まで活躍した選手でも、新しい指揮官との相性があります。指揮官が若手を使おうとしているのか、誰を軸に据えるのかによっても、オーダーはガラッと変わります。投手だったら誰がローテの中心になるのか、といった感じです。

山本家では試合前に打順や守備位置などのオーダーにはじまり、中継ぎ投手をどう使うかなども家族全員で予想した上で試合に臨んでいます。

そうすると、ナイターを見にいく日は15時くらいからソワソワしはじめます。16時の開門と同時にスタジアムに駆け込み、練習を見て、スタメンを予想。試合開始30分前のスタメン発表は、もはや答え合わせのようなものですね。「やはりそうか」、あるいは「そうきたか」と監督の采配に一喜一憂します。

スタメン予想が当たるだけでまず楽しいですし、そうすることで試合展開を予想する力も身につきます。

みなさんのベストオーダーも教えてくださいねみなさんのベストオーダーも教えてくださいね

試合中に交代する投手も予想できます。たとえば先発右腕が満塁のピンチを迎えたら、オープン戦でいい成績を残していた左のリリーフを、という具合です。神宮球場はスタンドからブルペンが見えるので、投球練習が始まるのもわかりますから、自分の予想が当たった時点でテンションが最高潮ですし、それだけでビールが進みます。最高。

先発投手を何回まで引っ張るかで、勝負の風向きが変わるのも面白いですね。3連戦だったら、タイプの違う投手を組み合わせたり、どんな投手起用が効果的かを考え始めたりしたら眠れなくなります。

気がつくと、野球が日常生活の一部になっています。

ビールを飲みながら我がヤクルトの試合を見ていると、まるで自分がチーム関係者のような気がしてきますし(違います)、私がゼロから作りあげたチームを高津臣吾監督に任せているような気分になってきます(違います)。

だから試合に負けると、ブツブツ文句を言ってしまうこともありますし、素晴らしい采配を見た時は、まるで自分の手柄のように喜んでしまいます。もはやファンや評論家を超えたオーナー気取りですね。でも、それでいいと思うんです。だってそっちのほうが楽しいですから。

試合後も楽しみは尽きません。まずは勝敗のカギとなったポイントを振り返ってください。どこの場面が試合の分水嶺(ぶんすいれい)でしたか? 先発が突如として乱れた回なのか、下位打線のあの一打か、満塁のチャンスでの併殺か、あるいは四番打者の見逃し三振かも。夜のスポーツニュースや翌朝の新聞を見て、みんながどう思ったのかを突き合わせまるのも楽しい作業です。

ということでシーズン中は、頭の中が野球のことばかり。あらためて、野球のシーズンが到来したことを嬉しく思います。毎日のように試合がある幸せを、ビール片手に噛み締めたくなります。

今年はWBCがあったことで、開幕の注目度はとりわけ高かったと感じました。この先、大谷翔平選手が所属するエンゼルスを応援するのもいいですし、自分だけのヒーローを見つけるのもいいですね。2015年は毎日のようにヤクルトの比屋根渉選手のことを考えていたことを懐かしいです。"推し"の選手を見つけると、さらに野球は楽しくなりますよ。

改めて球春到来おめでとうございます。みなさんに野球をもっともっと好きになって欲しいと思います。

それではまた来週。

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週土曜日朝更新!