「試合中に選手がメモを持ってプレーするなんて初めて見たよ」 「試合中に選手がメモを持ってプレーするなんて初めて見たよ」

ウルグアイもコロンビアも歯応えのある相手だったね。レベルが高く、なおかつ真面目に戦ってくれた。そのうえで日本代表がどうだったのかという話だ。

第二次森保体制の日本代表がウルグアイ、コロンビア相手に1分け1敗というスタートを切った。

攻撃陣にカタールW杯のメンバーを並べて臨んだウルグアイ戦は、ボールを支配して攻める形を作らなければいけないという課題を意識しすぎたのか、後ろでパスを回している時間がほとんど。典型的な"悪いときの日本"のサッカーだった。

対するウルグアイは世代交代の時期に入ってベテラン勢を外してきたけど、相変わらずボール際が激しく、数少ないチャンスを決めてきた。

そんな相手に日本はなんとか1-1の引き分けに持ち込んだ。結果としては悪くない。西村の同点ゴールは彼らしく、うまくエリアの中に走り込んでくるプレー。途中から入ってファーストタッチでのゴールだから評価したい。

ただ、あのゴールもカウンターから生まれたもの。日本代表が目指す、自分たちで攻撃の形を作ることはほとんどできなかったね。

続くコロンビア戦は、開始3分に三笘のヘディングで先制。いいスタートを切ったと思ったけど、その後は個の力のあるコロンビアが徐々に日本のプレスに慣れ、逆転負けを喫した。

僕が一番気になったのは、コロンビアに逆転されてからの森保監督の采配だ。後半33分に守田に代えて浅野を投入した場面、浅野は森保監督から受け取ったメモを遠藤に手渡した。

その後、プレーが切れたところで遠藤が板倉と瀬古と内容を確認していたけど、よくわからなかったのか、次にプレーが切れたときには板倉が森保監督に確認に行っていた。

試合中に選手がメモを持ってプレーするなんて初めて見たよ。選手は明らかに混乱していたよね。メモの内容はわからないけど、わざわざ紙に書くくらいだから、練習でも試したことがないことをやろうとしたのだろう。

練習試合なのであれこれ試すのはいいんだけど、それにしても森保監督の意図がわからなかった。今の段階では、たとえ1-2のまま負けたとしても、練習でやってきたことを試す方が得るものが多かったと思う。

采配についていえば、ほかにも疑問はある。三笘をエースとして考えているなら、なぜコロンビア戦の後半早々にベンチに下げたのだろう。先制点を決めているわけだし、勝ちにこだわるならもっと引っ張るべきだった。

そもそも三笘のよさをより引き出すためには、もっとゴールに近い位置でプレーさせないとダメ。そのためには上田や町野などFWのポストプレーが必要になる。縦にボールが入るだけで2列目の選手が生きる。

以前の日本代表では大迫がその役割を果たしていたよね。三笘の川崎時代にもレアンドロ・ダミアンや小林悠がいた。縦パスの意識を上げるだけで2列目の選手は活性化するし、三笘もプレーしやすくなるはずだ。チームとしてそういう狙いを持たないと、今のままでは長い距離のドリブルばかりになってしまって厳しい。

カタールW杯での守って守ってカウンターのサッカーから自分たちで攻撃の形を作るサッカーへ。口で言うのは簡単だけど、すぐに変えるのは難しいと実感させられた2試合だった。

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