祝シーズン開幕。みなさんが応援するチームの調子はいかがでしょうか。今日は、誰よりも気が早い"優勝速報"をお届けします。

SNSで人気の「横浜優勝」というフレーズをご存知でしょうか。2000年代に低迷が続いたベイスターズのファンは、1勝するたびにまるで優勝したかのように大喜びしたため、この言葉が生まれたと言われています。

順位なんて関係ありません。期待の若手投手が勝利を挙げたり、ベテランのひと振りでサヨナラ勝ちしたり。どんな時でも合言葉は「横浜優勝」。何事もポジティブにとらえて野球を心から楽しむベイスターズファンを心から尊敬します。

ということで、ここからが本題ですが、7戦を終えた時点で6勝1敗と最高のスタートを切った我がヤクルト。みなさんが、それぞれ応援するチームがあることは承知の上で、こんなリリースを出させてください。

<速報 ヤクルト優勝へ>

1992年の野村克也監督の下で優勝した時は69勝でシーズンを終えましたから、もはやマジック63が点滅したと言っていいでしょう。2023年度のヤクルト優勝がほぼ決まったということで、さっそくシーズンを振り返りたいと思います!(みなさん、しばしお付き合いください)

まずは開幕戦。

3年連続で開幕投手を務めた小川泰弘投手の力投はもちろん、後ろを投げた清水昇、星知弥両投手が素晴らしい出来でした。これでいい勝ちパターンができました。

開幕前にクローザーは明言しなかったものの、田口麗斗投手がその任に就いて立派な結果を残しましたね。誰がクローザーに選ばれてもおかしくない充実した投手陣ですが、7回以降をどう抑えるか、スタイルが確立されたのは本当に大事なことでした。

優勝した2015年シーズンも、外国人投手3人による救援トリオ「ROB(ロマン-オンドルセク-バーネット)」の方程式が大きな力になったように、シーズン開幕後すぐに形ができたことが優勝につながったのだと思います。

星投手もよかったですね。シーズン開幕前、メジャーリーグでお馴染みの「ドライブライン」と同じくらいの設備を持つ韓国の施設でトレーニングをした結果、ストレートの平均球速が大幅アップ。その成果は著しく、試合中盤の大事な場面で登板すると、直球とフォークを武器に大活躍しました。

今年は投手の起用法に加えて、清水投手、木澤尚文投手の存在が大きかったと思います。ドラフト1位で入団した2人は見事に成長してくれました(星投手もドラ2)。先発に挑戦したこともありましたが、中継ぎに回ったことで、持てる力を十分に発揮できるようになったのも大きかったと思います(それにしても、先発完投型の投手は少なくなりましたね)。

私服でもよく被っているスワローズキャップ。この先もたくさん着用します。 私服でもよく被っているスワローズキャップ。この先もたくさん着用します。

打線では中軸が固定できたことが大きかったと思います。不動の村上宗隆選手を中心として、どこからでも点が取れる打線も魅力的でしたが、開幕前にWBC組がいないあいだ、オープン戦で若手の選手たちが力を伸ばしたことも大きかったのかなと。

赤羽由紘選手、長岡秀樹選手、そしてレフト、ライト、キャッチャーと大車輪の活躍を見せた内山壮真選手。若手の台頭は優勝の大きな原動力となりました。

濵田太貴選手の活躍も見逃せません。怪我で出遅れた塩見泰隆選手、山崎晃大朗選手、万全の状態とはいえないサンタナ選手の代役として、想像以上の活躍を見せてくれました。

彼の魅力はパンチ力あるバッティング。しかし、ブンブン振り回すだけでなく、追い込まれてから粘り続ける「ツーストライクアプローチ」もできます。素晴らしいバッティングセンスと、しぶとく塁に出る巧みさを持ち合わせた濵田選手は、4連覇を目指す来季のチームの中心選手に成長することでしょう。

そして2023年シーズンの栄えあるMVPは、中村悠平捕手です。

WBCで大谷翔平選手ダルビッシュ有投手らとバッテリーを組み、世界一の捕手となった経験をチームに還元することで投手陣は大きく成長しました。田口投手が、「引っ張ってもらった」とコメントしたように、大きな存在感でチームを優勝に導きました。

投手よりも存在感のある大きな背中。球界を代表する捕手になった中村選手は、ますます27番という背番号が似合うようになってきましたね。

「東京と名乗れるほど華やかな選手はいないから下町スワローズ」と、現役時代の坂口智隆さんがキャッチフレーズをつけたのは2016年のこと。あれから7年。

村上選手をはじめとするスター選手も生まれましたし、3連覇も(ほぼ)決まりました。そろそろ自信を持って「東京」を名乗ってもいいのかなという気もします。

最後になりましたが、あらためてヤクルト優勝おめでとうございます。......というように、みなさんも応援するチームが勝利した時は心から喜んで、野球を楽しんでいただけたら、それに勝る幸せはありません。

それではまた来週。

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週土曜日朝更新!