三笘はコロンビア戦で先制点を決めるも、2試合を通して見せ場は少なめ。ブライトンでのプレーに比べると物足りなかった。 三笘はコロンビア戦で先制点を決めるも、2試合を通して見せ場は少なめ。ブライトンでのプレーに比べると物足りなかった。

所属クラブで活躍している攻撃的なポジションの選手が、日本代表ではなかなか持ち味を発揮できないのはなぜ?

3月の親善試合のウルグアイ戦(△1-1)、コロンビア戦(●1-2)を見て、そう思った人も多いだろう。特に今回は三笘だよね。ブライトンでのプレーぶりは素晴らしく、ワクワク感がある。だから新体制の日本代表でも圧倒的な活躍を期待していたのに......と。

確かに、日本代表はクラブと違って十分な練習時間が取れない難しさがある。

でも、理由はそれだけじゃない。チームメイトの質と意識が違うことも大きい。三笘の所属するブライトンは各国代表クラスのイキのいい選手がズラリと揃う。トップ下のマック・アリスターなんて本当にいい選手だよね。

また、最終ラインやボランチの選手もただ守るだけでなく、チャンスにつながるような質の高いパスを出せる。

さらにサイドバックは三笘の動きに連動するように攻め上がる。そうすることで相手DFも外に引っ張られるから、中央へのカットインなど三笘のプレーの選択肢が増えるわけだ。

一方、日本代表の最終ラインとボランチの選手たちはしっかりと守れるんだけど、攻撃面が物足りない。ボールを奪っても、その後は横パスをつなぐばかりで、攻撃の狙いを持ったパスはなかなか出てこない。前線の選手にボールをあずけて、後はおまかせといった感じだ。

そもそも三笘に限らず、日本代表の前線の選手たちは、守備面でも所属クラブ以上の仕事を求められている。自分のチームとのギャップを感じてモヤモヤしているんじゃないかな。

もちろん、カタールW杯のように守って守ってカウンター狙いならそれでもいい。でも、選手たちも口にしているように、そのサッカーでW杯ベスト8を目指すのは難しい。

今は結果を最優先で求められる時期ではないのだから、時間が多少かかっても選手の起用法や意識を変えていく必要があると思う。守備的なポジションの選手たちにも攻撃面での貢献を求めるのはもちろん、攻撃力に長けた選手もどんどん起用すべきだろう。

例えばウルグアイ戦、コロンビア戦で先発した右サイドバックの菅原は守りで少し不安なところを見せたけど、何本かいいパスを出していた。今後も使ってほしい選手だね。

あと、三笘に関していえば、森保監督は彼をエースとして考えているなら90分間使わないとダメ。コロンビア戦で後半開始早々にベンチに下げたのは理解できなかった。アルゼンチンは同点の場面でメッシを下げないよね。三笘は先制点を決めていたし、勝ちにこだわるならもっと引っ張るべき。

その上で、三笘の良さをどう引き出すか。ワントップにはボールを収められる選手を、左サイドバックには前線まで攻め上がれる選手を入れる。そして、最終ラインやボランチの選手にももっと縦パスを入れる意識を持たせるなどして、三笘をもっとゴールに近い位置でプレーさせたい。

すぐにはうまくいかないかもしれない。でも、さっきも言ったけど、今の時期はたとえ親善試合で負けてもメディアもファンもそんなに怒らないのだから、そういうトライを見たかった。

コロンビア戦後、三笘はブライトンに戻ってすぐのリーグ戦で90分間フル出場して得点も決めた。その姿を見て、あらためてそう思ったよ。

★『セルジオ越後の一蹴両断!』は毎週木曜日更新!★