マンCを牽引する22歳のエース、ハーランド。 身長194㎝の長身ながらスピードもある点取り屋は、ここまでCLで12得点とランキングトップ マンCを牽引する22歳のエース、ハーランド。 身長194㎝の長身ながらスピードもある点取り屋は、ここまでCLで12得点とランキングトップ

ヨーロッパクラブ王者を決める世界最高峰の大会「UEFAチャンピオンズリーグ(CL)」が今季も佳境に突入。いよいよ準決勝が目前に迫ってきた。

ベスト4に勝ち上がったのは、昨季の王者レアル・マドリード(スペイン)、プレミアリーグ王者のマンチェスター・シティ(イングランド)、そしてイタリア勢のミランとインテルの4チーム。

5月に行なわれる準決勝では、6月10日(現地時間。以下同)にトルコ・イスタンブールで開催される決勝戦への切符をかけた戦いが繰り広げられる。

そこで今回は、激戦必至の準決勝の2カード、レアル・マドリード対マンチェスター・シティ、ミラン対インテルをそれぞれ展望し、優勝チームを占ってみたい。

まず、「事実上の決勝戦」とみられているのが、レアル・マドリードとマンチェスター・シティによるビッグクラブ対決だ。両雄は昨季の準決勝でも対戦しており、そのときはレアル・マドリードが延長戦の末に劇的な逆転勝利を収めている。よって、マンチェスター・シティにとっては"リベンジマッチ"になる。

そのマンチェスター・シティの追い風となっているのが、今季から加入した"怪物ストライカー"のノルウェー代表、アーリング・ハーランドの存在だ。

目下プレミアリーグで驚異の34得点(30節終了時点)を量産するハーランドは、今回のCLでも12得点を記録して得点ランキング首位を独走中。通算14回のCL優勝を誇るレアル・マドリードも、この怪物を止めるのは容易ではないはずだ。

就任7年目を迎えたペップ・グアルディオラ監督が積み上げてきた攻撃サッカーも成熟の域に達しており、そこに「ラストピース」といわれた点取り屋ハーランドが加わったことで、戦術的にもほぼ完成した印象がある。司令塔ケヴィン・デ・ブライネも健在で、ハーランドとのホットラインが悲願のCL初制覇へのカギになるだろう。

対するレアル・マドリードの最大の強みは、CL歴代最多優勝回数に裏づけされた経験値だ。チームには、カリム・ベンゼマをはじめ、ルカ・モドリッチ、トニ・クロース、ヴィニシウス・ジュニオール、世界最高レベルのGKティボ・クルトワらが所属。昨季の優勝メンバーが引き続きプレーしていることが、何よりも心強い。

昨季のCL決勝で決勝ゴールを決めたヴィニシウスをはじめ、レアルには優勝を経験したメンバーが多く残る。その経験を生かしてマンCを退けられるか 昨季のCL決勝で決勝ゴールを決めたヴィニシウスをはじめ、レアルには優勝を経験したメンバーが多く残る。その経験を生かしてマンCを退けられるか

しかも指揮を執るのは、監督として歴代最多となるCL優勝4回を誇る、百戦錬磨の名将カルロ・アンチェロッティ監督。総合力ではマンチェスター・シティが上回るかもしれないが、勝ち方を熟知している指揮官と選手をそろえているだけに、レアル・マドリードにも十分に勝機はあるとみていい。

カギを握るのは、守護神クルトワだろう。展開としてはマンチェスター・シティがボールを保持し、攻める時間が長くなると予想されるが、その攻撃をしのげるかどうかが勝敗の分かれ目。その意味で、クルトワの決定機阻止が勝利の条件となるはずだ。それも含め、5月9日の第1戦、同17日の第2戦は必見だ。

もうひとつのカードは、同じイタリアのミラノ市を本拠地とするライバル対決。5月10日の第1戦、同16日の第2戦とも、両チームのホームスタジアム「サン・シーロ」で行なわれる。

かつてはCL優勝争いの常連だったイタリア勢だが、近年は国内から一流選手が流出した影響で低迷が続いていた。しかし今季は、昨季のセリエA王者・ミランに加え、インテルとナポリの計3チームがベスト8入り。世間では「イタリア復権」の声が聞かれるようになり、日本のセリエAファンも大きな期待を寄せている。

CLの決勝トーナメントでのミラノ・ダービーは過去に、2002-03の準決勝、2004-05の準々決勝と、2度実現したことがあるが、いずれもアンチェロッティ監督(現レアル・マドリード)が率いたミランが勝利。2002-03は、その勢いでミランが頂点に立った。逆に今回は、リベンジを誓うインテルの"三度目の正直"となるかが注目される。

そのインテルのキープレーヤーは、現在セリエAで17得点(32節終了時点)をマークするチーム内得点王、アルゼンチン代表ラウタロ・マルティネスだ。今年2月に行なわれた国内リーグでのダービーマッチでは値千金の決勝ゴールを決め、1-0でミランを撃破。大一番で最も頼れるエースとして、CL準決勝以降の活躍も期待される。

指揮を執るシモーネ・インザーギ監督が採用する3バック戦術は、機能性に優れるだけでなく、相手の良さを消すことを得意とするのが特徴のひとつ。当然、その戦術が機能するかどうかが、決勝進出のカギとなるだろう。

一方、昨季に11年ぶりのセリエA優勝に輝いたミランは、伸び盛りの若手を中心とした陣容で、彼らの勢いがプラスに出れば十分に勝つチャンスはある。

就任4年目のステファノ・ピオリ監督が浸透させたアグレッシブな戦術には安定感がある。とりわけ、4-2-3-1のサイド攻撃を担う、左サイドバックのフランス代表テオ・エルナンデスと、左ウイングのポルトガル代表ラファエル・レオンというふたりのスピードスターが、インテル攻略のカギとなるだろう。

大手ブックメーカーの優勝予想では、1番手のマンチェスター・シティ以下、レアル・マドリード、インテル、ミランの順になるが、果たしてその予想は覆るのか。CL準決勝から目が離せない。