照りつける日差しと心地よい風のなかで飲むビールが、最高に美味しい季節がやってきました。この記事がリリースされるのは土曜日ですから、デーゲームを観つつ、陽の高いうちからお酒を嗜まれる方も多いかもしれません。

ビールに欠かせないのは喉ごしですが、今日は「喉」にまつわるお話から、「10年間、活躍を続ける選手」まで、幅広くお話をさせてください。

つい先日のこと、少し体調を崩していました。というのも昔から喉が弱く、定期的に扁桃腺(医学用語で口蓋扁桃/こうがいへんとう)が腫れてしまうからです。定期的とはまさに文字通りで、子供の頃には決まって毎月25日前後に体調を崩していたものですから、家族から「月末にやってくるのは、給料日と萩子の喉風邪」と揶揄されていたほど(笑)。

「喉風邪」というと、なんだか軽症のように思われるかもしれませんが、これが実にやっかいなんです。

一般的には「扁桃炎」と呼ばれるのですが、私の場合は喉が腫れるだけでなく、熱が40度近くまで上がります。さらに喉の痛みときたら「声を出すために息を吸うだけで涙が出るほど」。熱で朦朧として、さらにヒリヒリ、ズキズキと痛む喉。かなりしんどいです......。

体質的に扁桃腺が腫れやすい人は一定数いるようで、実はプロ野球界でも「扁桃腺の腫れ」に悩む選手は少なくありません。

"令和の三冠王"ヤクルトの村上宗隆選手は、3年目のシーズン終了後の2020年冬に、扁桃腺を摘出する手術を受けています。過去には山田哲人選手や巨人の菅野智之投手も同じ手術を行ないました。

炎症を繰り返す場合、扁桃腺そのものを摘出してしまうことで、改善が見込めるのだとか。何よりも体が資本で、なおかつ長いシーズンを戦い抜かなければいけないわけですから、手術を受ける選手が多いのも頷けます。

さて、私にとっては毎月恒例となっていた喉腫らしですが、これが2歳から11歳の頃まで、ほぼ例外なく続きました。毎月×10年間。単純計算で120回! おかげで腫れの前兆となる体調の変化に敏感になったり、高熱が出た時の応急処置を習得したりと、喉風邪との付き合い方を徐々に身につけてきました。

ただ、長い年月と、通算120回という数字を眺めていると、なんだか感慨深くなってくるから不思議ですね。プロ10年で通算120本。野球ではそこそこの数字だと思いますが、扁桃炎だったら名球会入りさえ伺えそうな実績ではありませんか(なんの話をしているんでしょうか......)。

今は喉を腫らすのも年に1、2回になりました。みなさまも、どうか健康第一で。今は喉を腫らすのも年に1、2回になりました。みなさまも、どうか健康第一で。

閑話休題、先日みなさんにこんな質問を投げかけてみました。

「年間ホームランを12本前後、それを10年間続けた選手といえば、誰が思い浮かぶでしょうか」

日米問わず、現役選手から往年のレジェンドまで。幅広くたくさんの名前を挙げていただきました。俊足巧打の外野手・田尾安志氏や、1990年代にブルージェイズを世界一連覇に導いたデボン・ホワイト。ヤンキース不動のキャプテン、デレク・ジーター。言わずと知れた守備の名手・広島の菊池涼介選手など。錚々たる選手が並んでいるのがお分かりいただけると思います。

プロという一流だけが集まる舞台で10年間戦い続けること、そのなかで毎年2桁のホームランを打ち続けることがいかに難しく、ほんのひと握りしか成し得ないことなのか。この選手たちの豪華な顔ぶれを見て、あらためてすごいことなのだと感じました。

さらに、この条件に当てはまる選手は、毎年30本以上打つような主砲タイプではないけれど、俊足巧打でホームランバッターとは違う怖さがあったり、守備面やリーダーシップに秀でていたりと、非常にマルチな才能を持った稀有な存在だということ。打線においてもチームにおいても、特別な選手であることがわかりますよね。華やかというよりも、むしろ"いぶし銀"的な活躍が光る選手で、彼らの存在なくして強いチームは有り得ません。

ここで名前を挙げたいのが、広島の遊撃手・小園海斗選手です。

中学時代から日本代表に選出され、報徳学園高校時代にも華々しい活躍を見せた小園選手は、2018年に4球団による競合の末、ドラフト1位で広島に入団しました。高卒1年目ながら一軍で58試合に出場しますが、2年目の2020年はわずか3試合にとどまり、この頃は私の父がしきりに「小園は今どこに」と心配していたのを思い出します。

そして2021年からは主力に定着。ただ昨シーズンには、年間12本......ではなく、13個の失策を記録している小園選手......。しかしこれは、試合に出続けているという証と、何より彼の魅力である守備範囲の広さゆえのものだと思っています。ファンを魅了する華やかな守備は最大の武器。リスクをとってでも今のスタイルを貫いてほしいです。

今年は少し苦しんでいますが、本来はバッティングでも年間12本塁打どころか、トリプルスリーを狙える高い能力を持つ選手。私にとっても父にとっても思い入れの強い選手ですから、これからも攻守に魅せるプレーを期待しています。

と、ここまで書いて、なんだか変な汗をかいてきました。10年×12=120。ご想像の通り、上記の素晴らしい選手たちと自分を重ねようとしていたからです。

私は「喉風邪においてはプロ級だ」と豪語したものの、まだまだですね。もっと上を目指さなければ、いやいや、スポーツ番組のキャスターとしては、健康体を目指さなければと、あらためて思ったのでした。

寒暖差の激しい日が続くと、体調を崩しやすいもの。健康第一で素晴らしい週末をお過ごしください。それでは!

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週土曜日朝更新!