7月4日(日本時間)時点で、投げては7勝、打っては31本塁打。このペースが続くと大谷翔平の今季成績は13勝、58本塁打になる。
2021年以降を平均すれば12.3勝、46本塁打。29歳を迎えたばかりだが、その生涯成績はどんな数字になると予想できるか? 米ニューヨーク在住のスポーツライター、杉浦大介氏に聞いた!
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「現在のペースを維持できれば、投げるほうは今季終了時でMLB通算41勝、向こう5年間も13勝ペースを保って65勝と仮定すれば、34歳になるシーズンを終えるまでに通算106勝という計算になります。以降はペースが落ち、引退までに通算140勝くらいではないでしょうか。
打つほうは今季終了時で185本塁打、向こう5年間は40本ペースとすれば、34歳になるシーズンを終えるまでに通算385本。以降はややペースが落ち、引退までに500本程度とみます」
――あと5年前後は二刀流フル回転のピークが続くと?
「メジャーの水にも完全に慣れ、気力体力共に充実し、投打両面に依然として向上途上という印象を受けます。年齢的にも今まさに全盛期。予想外のケガがない限り、今後しばらくパフォーマンスが下がると考えられる要素はありませんから」
――その後はどうなる?
「おそらく30代半ばから体力的に下り坂に差しかかり、役割が徐々に変わり、40歳手前で引退という、スター選手の典型的なキャリアを予想します。本人の意思、ケガの有無など、さまざまな要素が考慮されなければならず、推測でしかありませんが」
――ベーブ・ルースのように、大谷も打者にシフトしていくのでしょうか?
「キャリア後半は打者としての比重が増していくとは思いますが、再度のトミー・ジョン手術を要するような大きなケガがない限り、これだけの球を持つ投手がまったくチームに貢献できなくなるほどパフォーマンスが下がるとは考え難い。登板間隔をさらに空ける、球数を減らす、あるいはブルペン行き(中継ぎ転向)の可能性も含めて、役割は変わっても投げ続けるとみます」
――大谷は今オフ、FAになります。どのチームに行っても二刀流は続けられる?
「アメリカでは基本、結果を出す者にはやりたいことをやらせてくれます。二刀流を続けることが獲得(残留)の条件になるでしょうし、投打両方で今くらいの成績を残していれば、どのチームでも文句は言われないはずです。
仮に、ドジャース、ヤンキースのような優勝が義務づけられたチームに移籍し、今より多少パフォーマンスが落ちた場合、大谷中心の先発ローテーションを構成することに疑問が呈される可能性はある。しかしエンゼルスに残留となれば、すべて本人の希望に委ねられ続けるのではないでしょうか」
――勝利数、本塁打数以外にも、今後注目していきたい大谷の生涯成績はありますか?
「アメリカでは投手を評価する際、勝ち星の比重は減ってきています。WHIP(1イニングあたりの与四球、被安打数の合計)、FIP(被本塁打・与四死球・奪三振数のみで投手を評価する指標)のような数字もありますが、よりわかりやすいところで防御率に注目しています。サイ・ヤング賞受賞のためには昨季同様、2点台の防御率が求められてくるでしょう。
打つほうでは3割を残せることも証明してほしい。より確実性が上がった印象がある今季は絶好のチャンスです」
NPB時代の42勝、48本塁打を加えると、日米通算200勝、550本塁打も夢じゃない。大きなケガがなく現役を全うすることを願う!