サムライブルー不動のCB・板倉滉が自身のすべてを語り尽くす連載がスタート! サムライブルー不動のCB・板倉滉が自身のすべてを語り尽くす連載がスタート!

サッカー日本代表でブンデスリーガ1部ボルシアMG所属の板倉 滉。国内外で注目を集める彼が、自身のすべてを語り尽くす『週刊プレイボーイ』の新連載(隔号掲載)がスタート!

初回は、今年3月から始動した"新生森保ジャパン"のこれまでの戦いを振り返る。昨年のカタールW杯以降、注目度を高めるサムライブルー。そこで次世代のDFリーダーを託された漢の目には何が映っていたのか?

■コロンビア戦の前、森保監督から......

読者の皆さん、初めまして。板倉滉です。現在、ドイツ・ブンデスリーガのボルシアMGに所属、サッカー日本代表のDFを務めています。

この連載を通じて、サッカーの話はもちろん、自分が力を入れて取り組んでいる社会貢献活動「Ko creation project」(略称 KCP)、そしてプライベートから人生観に至るまで、余すところなく語り尽くしたいと思います。

連載のタイトルは自分で考えました。「落ち込んでいても明日はやってくる! だから何事も前向きにやるよ、俺は!!」という意味があります。

昨年9月、ボルシアMGでの練習中、僕は右膝の靱帯(じんたい)を部分断裂するケガをしました。カタールW杯の2ヵ月前、間に合うかぎりぎりのタイミングでしたね。でも、そんな追い込まれた状況の中、「やるよ、俺は!」という言葉が自然と出てきて、SNSに投稿していたんです。

この連載を読んでくださる皆さんにも、そういった前向きなエネルギーを伝えられればうれしいです。ぜひ、お付き合いください。よろしくお願いします!

さて、記念すべき初回は3月、6月に行なわれた日本代表のキリンチャレンジカップの4試合を振り返ります。

これは後で知ったのですが、4試合すべて先発フル出場したのは、僕だけだったみたいです。皆勤賞でしたね(笑)。

昨年のカタールW杯が終わってから、最初の国際試合となったウルグアイ戦(3月24日)は満員の国立競技場で行なわれました。やっぱり、ホームで声出し応援を受けるのは気持ちよかったです。

昨年まで「なんとかサッカー人気を復活させなきゃ」と思っていましたけど、W杯でドイツやスペインに勝ったことで、再び注目を集められたのは素直にうれしかったです。

メディアで"新生森保ジャパン"と呼ばれているとおり、メンバーもだいぶ入れ替わって、フレッシュになりました。「世代交代」という言い方が合っているかはわかりませんけど、ずっとベテラン選手に頼りっぱなしでは、進化は始まらないと思うんです。

僕ら若い世代が中心になっていかないとダメだなっていう思いはあったので、良い変化だったのではないかと。

東京五輪に出た若手選手たち、それに初招集のJリーグの選手たち。彼らからは「スタメンを獲(と)りにいくぞ」というハングリーさが感じられたので、自然と練習のインテンシティも高まって、いいチームの雰囲気だったと思います。

"W杯組"と"初招集組"の融合は、うまくいった部分、いかなかった部分はありますが、今後に向けての積み重ねという意味では、決して無駄ではなかったはずです。

ウルグアイ戦、続くコロンビア戦(3月28日・ヨドコウ桜スタジアム)ともに、DFでは僕が一番年上ということで、正直びっくりしました。

伊藤洋輝選手(シュツットガルト)に瀬古歩夢選手(グラスホッパー)、菅原由勢(ゆきなり)選手(AZ)、バングーナガンデ佳史扶(かしーふ)選手(FC東京)、橋岡大樹選手(シント=トロイデン)といった若手のみんな、堂々とプレーしていましたよね。

コロンビア戦では、キャプテンマークをつけて試合に出ました。森保監督から指名を受けたのは、試合の3日前ぐらい。森保監督は代表合宿で、練習後とかにけっこう声をかけてくれるんですよ。「調子どうだ?」みたいに。僕だけじゃなく、いろんな選手に対してもそうなんです。マメな人なんですよね。

その日も声をかけてくれて、ふたりで話していたら、流れでコロンビア戦のキャプテンをよろしく頼むと。キャプテンを任された以上、プレー面は特にしっかりやらなければ、ということは強く意識していました。

結局、3月の2試合はウルグアイに1-1で引き分けて、コロンビアには1-2で逆転負け。親善試合とはいえ、負けていい試合なんてひとつもないし、悔しさしかなかったですけど、臆することなく新しい試みを行なった点は評価すべきだと思います。

■3月の敗因と6月の勝因を語る

3月の2試合は、はっきり言って消化不良でした。僕としては、細かい戦術うんぬんよりも、もっと覇気のある試合がしたかったなと。アグレッシブな試合がしたかったのにテンポが上がらず、もどかしさを感じていました。見ていた方々も同じように感じていたはずです。

試合後、チーム内で改善すべきことの話し合いをしました。結局、ウルグアイ戦とコロンビア戦は、形にこだわりすぎていたんですよね。細かい点で言うと、サイドバックを中に入れる新しいシステムを試すだとか、みんな考えすぎていたなって。

型にはめて動くよりも、相手に合わせて臨機応変にやっていこうと。それに加えて、アグレッシブに攻めていくスタンスは忘れないようにするってことで、6月の2試合は臨みました。

6月15日のエルサルバドル戦(豊田スタジアム)は6-0、20日のペルー戦(パナソニックスタジアム吹田)は4-1と、快勝でした。勝てたことはもちろん、それ以上に選手みんなが貪欲にゴールを狙い続けたことが素晴らしかったと思います。

6月の親善試合では2戦とも、4バックの右CBでフル出場。エルサルバドル戦ではミドルシュートや、コーナーキックのこぼれ球をペナルティエリア内でシュートするなど、積極的な攻撃参加を見せた 6月の親善試合では2戦とも、4バックの右CBでフル出場。エルサルバドル戦ではミドルシュートや、コーナーキックのこぼれ球をペナルティエリア内でシュートするなど、積極的な攻撃参加を見せた

エルサルバドル戦は、開始1分に(谷口)彰悟さん(アル・ラーヤン)がセットプレーから頭で先制、直後に相手選手が退場、僕らは数的にも優位に立ちました。前半の早い段階で余裕のある展開になるとスローペースな試合になりがちなんですけど、この日は違っていました。

ペースダウンしないように、攻め続ける意識を保ちながら、攻撃の手を緩めませんでした。試合前から、前線のプレスはアグレッシブにいこうと話していたので、それがうまくハマったのかなと。

僕のシュートも惜しくなかったですか? 前半22分の横パスからのミドル。いや~、ああいうところをきっちり決めないと......。反省ですね。相手がけっこう引いてしまったので、DFを出てこさせようと、一本思い切って打ったんですけどね。

エルサルバドルの選手がひとり少ないこともあって、どフリーだったんです。どフリーすぎて、逆にやりづらかったですけど(苦笑)。

まあ、試合全体を振り返ると、そんなに難しいことをする必要はないんだなって。サイドの(三笘)薫や(久保)建英(たけふさ)からどんどんチャンスをつくれていたので。シンプルに、テンポよくボールを預けることができたのがよかったですね。改めて日本のサイドにはいい選手がいることを実感した試合でした。

■「ペルーのあの選手がマジでうざかった(笑)」

そして、ペルー戦。相手には南米特有の球際の激しさ、手ごわさがあるし、技術も高いから、難しい試合にはなるだろうと警戒していました。

でも、結果は4-1。完封こそできなかったのは残念ですが、90分間、集中力を切らさずプレーできたのは評価できるかなって。

ボールポゼッションは、試合後に報道陣から聞いて驚きましたけど、ほぼ4対6で、ペルーのほうが上回ったそうですね。僕としては、ボールを持たれていた感覚はあんまりなくて。

むしろ、相手に"ボールを持たせてやっている"ぐらいのイメージでした。球際の競り合いもほぼ負けてなかったし、むしろ勝っていた。奪ってからのカウンターはスピード感とクオリティがマッチしたいい攻撃だったなって、後ろから見ていて思いましたよ。だから、4得点もできたんでしょうね。

僕ら守備陣からすると唯一厄介だったのは、2トップの一角、14番のラパドゥーラ選手。彼は本当にうざかった(苦笑)。エルサルバドルのFW、9番のブライアン・ヒル選手もなかなかでしたけど、ラパドゥーラ選手はマジでイヤでしたね。

常にラインぎりぎりのところで、「それ、思いっ切りオフサイドにならない!?」ってぐらいのポジションで、あからさまに一発を狙い続けてきましたからね。だから、点差が開いても、絶対に油断せずに、彼のことは警戒していました。

■谷口彰悟、遠藤航の絶対的な安定感に感謝

エルサルバドルとペルー、2試合ともセンターバックでコンビを組んだのは彰悟さんでしたけど、やっぱり安定感がありますよね。

思い返せば、昨年のW杯最終予選の中国戦(1月27日)、サウジアラビア戦(2月1日)といった、(吉田)麻也君やトミー(冨安健洋)が不在の試合で、彰悟さんと一緒に出て、なんとか勝利に導けたことや、W杯スペイン戦でも、麻也君を含めた3人で後ろを守ったこと、一緒に修羅場をくぐったからこそ、コミュニケーションはバッチリでした。

試合前はもちろん、試合中もお互いの声が聞こえる距離感で、声をかけ合ったり、時にはアイコンタクトしたり。

それこそ、ペルー戦でいえば、FWラパドゥーラはやることがはっきりしていたぶん、僕らCBも注意すべきことが明確だったので、最悪、ラパドゥーラが裏に抜け出したとしても、僕か彰悟さん、どちらかが後ろでしっかりと対応するっていう関係はつくっていたんです。

万が一、自分が相手に抜かれても、後ろにちゃんといてくれる信頼関係って、DFにとっては非常に重要で、彰悟さんとはそういう以心伝心の関係ができているから安心感がありました。

さらに言えば、僕らの前でアンカーを務める選手にも良い人材が多い中、やっぱり(遠藤)航君は非常に頼もしいです。CBの前での球際の強さだったり、しっかり戦ってくれるところだったり。

板倉滉

東京五輪にオーバーエイジで入ってきてくれたときも、航君の存在感は抜群でした。いてくれるだけでホッとするんですよ。言葉に説得力もあるし。試合中は彰悟さんと3人で、よく話をします。アイコンタクトも駆使しながら。どうやって守備をはめていこうか、どうやってボールを前に運んでいこうかって。

試合中は、なかなか難しい展開もあるわけですよ。後ろから見ていて、どうもハマってないなあって。そんなときはすかさず3人で話し合って、前線の選手に伝えていくんです。

日本が苦手とされる南米勢4ヵ国と戦ってみて、3月は試行錯誤でしたが、6月にしっかりと結果を残せたことはいい流れだと思います。だからといって、6月のふたつの大勝で満足するべきではないです。

ああいう試合をどんな強豪国相手であろうと、続けていかなければならない。次が敗北なら、そこでまた評価はガタ落ちですから。

今回は、チームメイトのみんなの体のコンディションやメンタル、プレーなど、すべてにおいて調子の良さが伝わってきたので、あとはいかに持続させるか、より質を高めていくかが大事ですね。

次は9月に海外遠征があります。9日にドイツ代表、12日にトルコ代表と親善試合を行なう予定です。ドイツとはカタールW杯以来の再戦ですが、間違いなくガチでリベンジしにくると思います。

僕ら日本に2度目の敗北をしたら、それこそ国民が黙っていないでしょうから(笑)。本気のドイツと2度も戦える幸せなんて、そうそう巡り合えないと思うので、今から楽しみです!

今後の日本代表は、9月と10月に親善試合をこなし、11月16日からW杯アジア2次予選へ突入。24年1月にはアジア杯も控える。板倉いわく「自信は間違いなくあります。なんなら、アジア杯は優勝しないといけない。ただ、どこの国も"一発"を持ってるので、そこは要警戒」 今後の日本代表は、9月と10月に親善試合をこなし、11月16日からW杯アジア2次予選へ突入。24年1月にはアジア杯も控える。板倉いわく「自信は間違いなくあります。なんなら、アジア杯は優勝しないといけない。ただ、どこの国も"一発"を持ってるので、そこは要警戒」

●板倉 滉(いたくら・こう)
1997年1月27日生まれ、神奈川県出身。日本代表CB。川崎Fでプロ入り、19年に1シーズン在籍したベガルタ仙台からイングランド1部マンチェスター・シティへ移籍。その後、オランダ1部フローニンゲン、ドイツ2部シャルケへと移り、現在はドイツ1部のボルシアMGに在籍。昨年のカタールW杯ではベスト16入りの立役者となった

スタイリング/安西こずえ 衣装協力/ジョン メイソン スミス ジェーン スミス ストア

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