「厳しい暑さの中ではどういうサッカーが効率的なのか、そこに関しても大いに参考になったはず」「厳しい暑さの中ではどういうサッカーが効率的なのか、そこに関しても大いに参考になったはず」

シーズンオフの練習試合なので、どのクラブも本来のサッカーではない。観光気分の選手もいるだろう。それでも世界のトップレベルのプレーに触れられる貴重な機会。ビジネスとはいえ、よく来てくれたし、ありがたいよ。

7月半ばから8月アタマにかけて、多くの欧州のビッグクラブが来日して試合を行なった。

昨季3冠(欧州チャンピオンズリーグ、プレミアリーグ、FA杯)のマンチェスター・シティを筆頭にバイエルン・ミュンヘン、パリ・サンジェルマン、インテル、セルティック、さらにはクリスティアーノ・ロナウドを擁するサウジアラビアのアル・ナスルと錚々たる顔ぶれ。

昔と違って、今はネット配信で世界各国の試合を観られるけど、目の前での観戦や、普段見慣れたJリーグのクラブとの対戦を観るのは新鮮。

例えば、マンCのハーランド。プレミアリーグでプレーしているときはそこまで大きく見えないのに、横浜FMの選手たちと比べると、ゴツさ、デカさが際立つ。そして、速くてうまい。簡単にゴールを決める。あらためて、とんでもない選手だよね。

横浜FMがセルティックに勝ったのも面白い。1試合だけの結果でどちらが上かという話をしてもあまり意味はないけど、横浜FMの選手とサポーターの刺激になったのは間違いない。

さらに言えば、先の天皇杯3回戦で横浜FMに勝ったJ2の町田のサポーターが「俺たちはセルティックよりも強い」と喜んでいるかもしれない。そういう楽しみ方もある。

欲を言えば、一般層の目につきやすい地上波やBSで試合の生中継をもっとしてほしかったね。ネット配信があるとはいえ、まだまだテレビの影響力は大きい。日本のサッカー人気がいまいち盛り上がらない中、もっと多くの人に観てもらえればよかった。

サッカーの内容で言えば、厳しい暑さの中ではどういうサッカーが効率的なのか、大いに参考になったはず。

僕は1972年の8月に初めて日本に来たんだけど、それまで経験したことのない蒸し暑さにびっくりした。こんな暑さの中でサッカーをするのかと。日本の夏は昔よりも暑くなっているし、欧州のクラブの選手たちも高温多湿ぶりには面食らったはず。

でも、試合が始まれば、酷暑による体力の消耗を考えて、キックオフからがんがん飛ばすのではなく、勝負どころを見極めて、行くときは行く、抜くときは抜く。ボールをキープして相手を疲れさせる。うまくメリハリをつけてプレーしていたね。

昔、FIFA(国際サッカー連盟)のブラッター会長(当時)が、「Jリーグの試合は面白いけど、常に殴り合いで、ためを作るサッカーができない」と言っていたけど、それは今も変わらない。

勤勉な国民性らしく、攻守に常に忙しいというか、リードしていても、リードされていても同じリズムでプレーする。緩急がない。そういうサッカーでは、5人の選手交代枠をフル活用しても夏場は厳しい。

もちろん、世界のトップ選手が集まるマンCのサッカーをまねしようとしても簡単にはいかない。ただ、Jリーグでも以前、圧倒的な強さを見せていたときの川崎のように、そういう効率的なサッカーをできるチームもあったわけで、今回の欧州勢のプレーはあらためて参考にしないといけない。

●セルジオ越後 
1945年生まれ。72年の来日以降、指導者・解説者として活躍。活動の詳細は『セルジオ越後 オフィシャルサイト』にて

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