みなさんこんにちは。野球大好き、山本萩子です。目下の注目は、連日熱戦が繰り広げられている甲子園。若い選手が躍動する姿は見ていて気持ちがいいものですね。

私の地元・神奈川からは慶應義塾高校が出場し、見事に初戦を突破しました。熱い戦いから目が離せませんが、メジャーにプロ野球に高校野球と、見なくてはいけない試合が増えて体が追いつくか不安です。みなさんも夏バテにはご注意ください。

今回の甲子園から変更されたレギュレーションがいくつかあります。その中で私が気になったのはふたつ。ひとつ目は「クーリングタイム」の導入。5回終了後に選手が10分間の休息をとる「クーリングタイム」は、球児たちの安全のためにもとてもいい施策だと思います。5分外を歩いたらビールを飲みたくなるくらいの暑さですから、選手のみなさんの安全のためにも、こういう取り組みは進めていただきたいと思います。

そして、もうひとつがベンチ入り人数の増加です。これまで18人だったのが20人になりました。2020年から、投手は「1週間に500球」という球数制限が導入されていますから、連戦が続くエースのバックアップとなる選手を入れることができるわけです。

このベンチ入りメンバーの増加が各校から大歓迎されたのには大きな理由がありました。昨年まで、全国のほとんどの地方大会でベンチ入りできる選手は20人でした。しかし、甲子園のベンチ入りは18人と決まっていますから、甲子園出場を決めた喜びも束の間、指導者はベンチ外になる選手を2人選ばなければいけません。共に闘ってきたメンバーを2人外す。なんというしんどい作業でしょう。外す側と外される側、どちらのことを考えても胸が痛くなります。

メジャーも25人枠、通称「アクティブロースター」に入っていないと試合に出場することができません。9月になるとそれが40人まで拡大されます。これを「セプテンバーコールアップ」と呼ぶのですが、この支配下40人枠から外れると「事実上の戦力外」と報道されます(厳密に言うと違うのですが......それはまた別の機会に)。

つい胸が熱くなるテーマです。野球に関わるすべての人に幸あれ! つい胸が熱くなるテーマです。野球に関わるすべての人に幸あれ!

逆にベンチに入るということは、戦力としてカウントされているということ。たとえ試合に出なくても、その選手は勝因になっていると私は思います。

2020年、筒香嘉智選手が所属していたレイズがワールドシリーズに出場しました。最終戦では筒香選手に出番がなく、とても悔しい顔をしていたのが印象的でした。ただ、試合には出場できなかったかもしれませんが、チームに一員として戦ったことに変わりはありません。

その時のレイズは惜しくもチャンピオンを逃しましたが、メジャーで優勝したチームに配られるチャンピオンリングは、本当に"全員"に配られるそうです。たとえば、一度でもメジャー登録された選手、あるいはフルタイムで帯同したスタッフなどにも。これは、チームみんなで手にした栄誉だと考えている証ですね。

ベンチ入りできない選手も戦っています。たとえば、プロ野球の2軍の選手だって、彼らが戦力を底上げをしなければチームは強くなりません。どんな選手だって間違いなくチームの一員なんです。

高校野球では、スタンドで声を出している選手たちがいます。彼らの思いも背負ってグランドの選手は戦っています。「全員で勝つ」とよくいいますが、まさにそれですね。全員で戦っている。まさにチームは家族。

最近の若い選手は、「試合に出られなかった仲間のためにも勝ちたかった」と素敵なコメントを残してくれます。それを見てしみじみしながら、試合に出られなかった選手は、やっぱり悔しいだろうなと。でも、その悔しさを今後に生かしてほしいです。3年間試合に出られない選手もいるかもしれませんが、真面目に野球に打ち込んだ経験は、いつかきっと人生の宝物になるんじゃないかと思います。

テレビの中で活躍しているベンチ入りを勝ち取った選手たち、ベンチ入りできなくても声を枯らして一緒に戦う選手たち。彼らのこれまでの努力に敬意を表して、力の限り声援を送りたいと思います。大人になった時、この夏の思い出と一緒に飲むビールはきっと美味しいと思いますよ。それではまた。

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週土曜日朝更新!