「代表の強化はその国のリーグの盛り上がりにかかっている。WEリーグから生きのいい選手が次々と出てくる状態を保たないといけない」 「代表の強化はその国のリーグの盛り上がりにかかっている。WEリーグから生きのいい選手が次々と出てくる状態を保たないといけない」

もうひとつ勝ちたかった。

女子Wに臨んだなでしこジャパンは準々決勝でスウェーデンに1-2で敗れた。

今大会は開幕直前までテレビ中継が決まらないなど、事前のなでしこへの注目度は低かった。でも、グループリーグの3戦目、格上のスペイン相手にカウンターサッカーがハマって4-0で快勝すると、少し風向きが変わった。

決勝トーナメント1回戦の相手のノルウェーは引いてスペースを消してきたものの、なでしこはそれをこじ開けて、最後は得意のカウンターからも得点を決めて快勝。高さとパワーのあるノルウェーを技術と試合運びで圧倒し、期待をさらに膨らませた。

そして準々決勝。相手は優勝候補筆頭といわれていたアメリカを破って勝ち上がってきたスウェーデン。ノルウェーと同じく高さとパワーがあり、加えて攻守の切り替えの早さもあった。

なでしこは相手に主導権を握られる中、今大会で初めて先制点を奪われ、「どうしよう」とパニックになったのかもしれない。そして後半開始早々にPKを決められた。終盤に1点を返して意地を見せたけど、2点のビハインドは大きかった。

敗因はまず足元へのパスばかりで、それがうまくつながらなかったこと。前線にロングボールを蹴り、最終ラインを上げてもよかったね。

ロングボールを何度か蹴るだけで相手の最終ラインは下がるし、そうすれば中盤にスペースができ足元のパスがつなぎやすくなる。そういうメリハリがなかった。

あとは真面目すぎるというか、言われたことを忠実にやるチームだったね。ノルウェー戦まではそれでうまくいって、のびのびとプレーしていた。

でも、スウェーデン戦のように受けてしまい先制されると、どうすればいいのかわからず、ベンチからの指示を待っているように見えた。ピッチ内で、こうしよう、ああしようと自分たちで変える力はなかったかな。若いチームの経験不足が出た。 

ただ、それでも勝ってほしかったね。

メディアが少しずつ取り上げるようになって、世間も少しずつ盛り上がってきていた。しかも、勝ち上がれば準決勝はスペインとの再戦。話題性もあったし、負けても3位決定戦があった。あと2試合戦えれば、もう一度ブームがやって来たかもしれない。

結局、ベスト8では何も変わらない。男子と違って女子は勝ち続けなければ世間に忘れられてしまう。それは選手もわかっているだろうし、背負うものが大きいからこそ、僕もより応援したいと思っていた。悔しい結果だね。

日本サッカー協会の田嶋会長は「2031年、35年あたりに女子W杯を日本で開催したい」と発言したけど、その前に手をつけるべきことがある。

それはWEリーグへのテコ入れ。せっかく女子のプロリーグがあるのに現状、観客数は少なく、注目度も低い。

でも、代表の強化はその国のリーグの盛り上がりにかかっている。WEリーグから生きのいい選手が次々と出てくる状態を保たないといけない。

今回活躍したメンバーの中にも宮澤、藤野などWEリーグでプレーしている選手は何人もいる。女子W杯をきっかけに、リーグの魅力を高め、認知度を上げる方策をどんどん打ち出すべきだ。

また、来年にはパリ五輪もある。今回の経験を生かして狙うのはメダルしかない。選手たちには大いに期待したいし、悔しさを晴らしてほしい。

●セルジオ越後 
1945年生まれ。72年の来日以降、指導者・解説者として活躍。活動の詳細は『セルジオ越後 オフィシャルサイト』にて

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