「のあまゆペア」として注目集める衣笠乃愛(左)と菊地真結(右)「のあまゆペア」として注目集める衣笠乃愛(左)と菊地真結(右)
今年4月に開幕した「マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2023」を皮切りに、各地で大会が行われているビーチバレー。本格的な夏を迎え、さらなる盛り上がりを見せる中、高校時代からインドアバレーボールとビーチバレーボールの二刀流で活躍し、全力で楽しむプレースタイルでも注目を集めている現役大学生ペアがいる。"のあまゆペア"こと、衣笠乃愛菊地真結だ。

バレーボールの強豪・共栄学園出身。高校3年生からペアを組み、2019年の高校女子選手権「マドンナカップ」や「茨城国体」で優勝するほか、2022年は「世界大学選手権」の日本代表メンバーに。アクティオ・ワイルドカードでジャパンツアーにも初参戦し、プロ選手が出場する大会でも健闘を見せた。

そして、今シーズンも多くの大会に出場し、新世代ペアとして期待される"のあまゆ"。ビーチバレーの魅力やふたりの相性、今後の目標など、ビーチにかける思いを聞いた。

――共栄学園バレー部を経て、現在はインドアバレーボールとビーチバレーボールの両方で活躍されています。ビーチバレーを始めたのはいつ頃からだったんですか?

衣笠 私は高1から始めました。共栄学園のバレー部は夏になると何回か海に行って、トレーニングの一環としてビーチバレーボールをやっているんです。そこで全国大会の選手に選ばれて挑戦してみたら意外とうまくいったので、ビーチバレーも練習するようになりました。

菊地 私も高1から海に行っていたんですけど、小さい大会に出て負けた人は浜ラン(ビーチでランニング)なんですよ。「下手くそ」って怒られてばかりで、最初は"ビーチバレーなんて絶対できないな"と思っていました(笑)。

でも、私たちが高3のときの茨城国体から、ビーチバレー18歳以下の部(少年女子)が正式種目になったので、そこに出場するために始めました。

―― そこで"のあまゆ"ペア誕生ですね。ちなみにふたりはどのようにしてビーチバレーのペアになったんですか?

菊地 高3で私がビーチを始めるときに、乃愛が「このふたりのどっちかがいい」ってバレー部の中からペアを組む候補を指名したんですよ。もうひとりのコはインドアのキャプテンになったからムリで、私はちょうどレギュラーから外されたタイミングもあって組むことになりました。

――ビーチバレーを楽しいって思い始めたのはいつ頃からですか?

菊地 実際にやってみてというか、始めてすぐから楽しかったです。ビーチバレーボール連盟の方々の練習にお邪魔させてもらっていたんですけど、大人の優しい方々が教えてくれるんですよ。インドアの練習が厳しかったこともあり、ビーチの練習がある土日が楽しみで(笑)。

衣笠 そうそう、練習に行くだけで楽しかったよね。ビーチバレーの雰囲気を初めて知って、"こんな世界があるんだ"って思いました。

――インドアを続けながらビーチをやるって大変そうですね。

菊地 ビーチの練習は息抜きにもなるし、どちらも新しい気持ちで取り組むことができるのでメンタル的にも両方やっているほうがいいなって思います。それに、ビーチバレーは試合中のコーチングが禁止なんですよ。

だから今は試合も練習も全部ふたりで考えているので、怒られたらやるんじゃなくて自分から動けるようになりました。自分たちの考えでうまくいったときは倍うれしいんですよね。

――ペアの相性ってプレーに関係あるんですか? ケンカしているときは調子が悪いとか。

衣笠 相性は関係あると思いますけど、ケンカしたことはないです。性格のタイプが違うのでなんかハマるというか(笑)。

――どう違うんですか?

菊地 乃愛は、どんなときでも前向き。例えば、試合で負けても落ち込むんじゃなくて、「この負けが次の試合への成長に繋がるならそれでいい」とかポジティブな発想ができるので、いつも助けられています。

衣笠 それは私がしっかりしていない分、真結がしっかりやって引っ張ってくれているから。私が優柔不断で決められないときも、正しい答えを持っているので!

菊地 持ってないよ(笑)。自分は内向的でマジメなところが取り柄だと思っていたんですけど、一緒にいる時間が長くてだんだん乃愛に似てきたなって思うんです。

衣笠 逆に私は外交的というか、「どっか行こうよ」みたいにノリもフッ軽(フットワークが軽い)な感じで、考え方もギャルマインドです(笑)。

それと"言霊"をすごく信じているので、ポジティブな言葉を使うようにしていて。たまに、試合でミスが連続すると真結が「負けそう」とか「なんかバッド入った」とか弱音を吐くんですけど、私は「いや、絶対大丈夫」って言います。

――"姉妹みたい"とも言われていますけど、どっちがお姉さんタイプですか?

菊地 乃愛がお姉さん? 一緒に占いに行ったときに、私のエネルギーが強すぎて振り回しているって言われたんですよ。でも、乃愛はちょっとハメを外すこともあるからなぁ(笑)。

――ハメを外すんですか?

菊地 例えば、ビーチの大会でファンの方から「写真いいですか?」ってお願いされたときに、「ノーマルカメラじゃなくて加工アプリで撮ってもらえますか?」って(笑)。それは言い過ぎじゃない?って思いました。

衣笠 そうかな(笑)。やっぱり真結がお姉さんですね。性格がめっちゃしっかりしているので、ビーチの大事な書類を出したり関係者の方々とやり取りしたりしてくれるんです。

菊地 試合の申し込みも全部自分たちでやらないといけないし、学校には砂の環境がないので練習場所も探して誰かにお願いしないといけないんですよ。

――お互いに良い影響を与え合っていて相性バッチリですね。ペア歴5年ですが、「このペアはいい!」って思う部分は?

衣笠 言いたいことも言い合えるし、お互いのこともわかり合えるので関わり方がラクですね。私たち、プライベートでも高校の3年間同じクラスで大学も同じで、休み時間もずっと一緒にいるような仲なんです。 "今、こういうトスが欲しい"って思っているんだなってところまでわかっちゃうので。

菊地 インドアでもポジションが対角というか、役割がほぼ一緒なのでプレー面での考え方も似ているんですよ。だから、やりやすいという部分もあります。

――今まで出場した中で特に印象に残っている大会はありますか?

菊地 去年、ブラジルで開催されたビーチバレーの世界大学選手権です。相手チームは190cm超えとか高身長の人ばかりで、体格の差がありすぎて見下ろされている感じでした(笑)。

――160cm台の二人ですが、やっぱりビーチでも高身長の方が有利ですか?

衣笠 はい、ブロックの壁が高いし、レシーブの位置も取りやすくなるし。

菊地 体力を使わずにブロックやスパイクも打てるじゃないですか。手足も長くてうらやましいなって思います。でも初めて海外の選手と対戦して、もっとうまくなりたい、もっと海外のいろんなところで試合したいって思いが二人とも強くなりました!

衣笠 それまでは今後もビーチを続けるとは思っていなかったんですけど、大学を卒業してからも続けていきたいって思うようになった大会ですね!

★後編に続く

●衣笠乃愛(きぬがさ・のあ)
2001年8月13日生まれ 滋賀県出身 身長=163cm
小学生の頃からバレーボールを始め、高校時代は共栄学園のバレーボール部に所属。2017年、高1のときにバレー部のトレーニングも兼ねてビーチバレーを始める。
公式Instagram&公式TikTok【@noa._.813】

●菊地真結(きくち・まゆ)
2001年5月24日生まれ 千葉県出身 身長=167cm
小学生の頃からバレーボールを始め、高校時代は共栄学園のバレーボール部に所属。2019年、高3のときにビーチバレーを始め、"のあまゆ"ペアを結成。
公式Instagram【@91_yjn】
公式TikTok【@kikuchi_mayu】