格上フィンランド相手の劇的な逆転勝利など、ホーバスジャパンの奮闘に沸いたバスケW杯。だが、本当の楽しみはこれから。4年後のさらなる躍進を期待せずにはいられない、期待の逸材たちを紹介する。
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■NBA入りも期待の未来のエース候補
バスケットボールの世界一を決めるW杯で日本代表が躍動した。
予選リーグのフィンランド戦は最大で18点差をつけられながら、25得点を挙げた司令塔の河村勇輝、超長距離の3Pシュート〝ディープスリー〟を随所で決めた富永啓生の「22歳コンビ」を中心に流れを引き寄せた。
インサイドでは、今年2月に日本国籍を取得した28歳のジョシュ・ホーキンソンが体を張り、28得点・19リバウンドとMVP級の活躍で逆転勝利を呼び込んでいる。
もちろん世界のトップチームと比べれば、まだまだ大きな差があるのは確か。だが、今後に目を向ければ明るい材料が多い。
現在NBAでプレーする渡邊雄太(28歳)や八村 塁(25歳)に関しては読めない部分もある。とはいえ、河村や富永をはじめ今大会のメンバーの半数程度は、年齢的に4年後のカタールでのW杯、その翌年のロサンゼルス五輪でも活躍を期待できそう。
さらに強烈な追い風となるのは、NCAA(全米大学体育協会)1部のネブラスカ大学に所属する富永のように、アメリカの大学でのプレーを選択し、奮闘している逸材がかつてないほど多くいることだ。
中でも最も楽しみなのは、2022-23シーズンからハワイ大学でプレーする19歳のジェイコブス晶。
アメリカ人の父を持ち、神奈川県横須賀市出身でアメリカ育ちのジェイコブスは、コロナ禍で高校のチームの活動が停止したため、プレー環境を求めて日本に帰国。Bリーグの横浜ビー・コルセアーズのU18チームに加入し、17歳でトップチームでもデビューを果たした。
昨年3月には世界の有望選手が集まるオーストラリアの「NBAグローバルアカデミー」に入団するなど多くの関係者が関心を寄せる中、ハワイ大への進学を決めた。
203㎝と長身ながらシュート力も優れ、NBA入りも期待させるオールラウンダー。今夏にはU19バスケW杯に出場し、日本代表の史上最高位となる8位に大きく貢献した。
大会前には「2027年のカタールW杯と、翌年のロサンゼルス五輪には100パーセント出たい。できるだけ早くA代表に入りたいと思っています」と意気込みを語っていた。
そして、大会終了後には、W杯を控えるA代表の候補者合宿にも合流。本大会への出場は実現しなかったものの、将来の日本のエースとして期待される選手だ。
■米大学からオファー殺到の高校生PG
昨季にアメリカに渡った山﨑一渉と菅野ブルースは、八村らを輩出した宮城県の強豪、仙台大学付属明成高校の主力として活躍した20歳の「同級生コンビ」だ。
身長201㎝、父がギニア人の山﨑はラドフォード大学所属。高校時代から海外進学を視野に入れ、3Pシュートを含めたアウトサイドの技術を高めてきた。アメリカに渡ってからはウエイトトレーニングなどのおかげで体が大きくなり、約10㎏増量している。
1年生だった昨季は平均8.8分の出場で2.2得点を記録し、渡米2年目の今季はチームの中心的な役割を担うはずだったが......今夏に右膝の前十字靱帯を断裂するなど大ケガを負った。
「こうなってしまったことはしょうがないし、前の姿よりも成長して帰ってきている人は何人も見ている。自分もそうなれると思っています」
リハビリに専念するため2023-24シーズンはコートに立つことはないが、山﨑本人は前向きだ。
一方、アメリカ人の父を持つ菅野は昨季、米アイオワ州のエルスワース短大でプレー。201㎝ながら高校時代からポイントガードに取り組み、鋭く力強いドライブによる得点を武器としていた。
アメリカに渡ってからはシュート力にも磨きをかけ、昨季は30試合の出場で平均6.6得点、4.7リバウンド。その活躍が認められ、NCAA1部のステットソン大学からオファーを受けて編入することになった。
山﨑と菅野は2021年のU19W杯にもそろって出場。他国のスター選手候補らと戦ってきた経験も豊富で、さらなる成長も見込める。
さらに、現在は高校生だが、ボストン大学への進学が決まっている185㎝のポイントガード、テーブス流河(19歳)にも触れておきたい。カナダ人の父は国内女子リーグのチームでHC(ヘッドコーチ)を務めるBT テーブス、兄はW杯の日本代表候補にもなったBリーグ・アルバルク東京のテーブス海だ。
パスセンスに優れ、スピード感あふれるドリブルから視野の広さを生かしたアシストを量産。報徳学園高校(兵庫)では1年時からスタメンでプレーし、20年のウインターカップではチームを準々決勝まで牽引(けんいん)した。
2年時の夏にアメリカ留学を決断し、ボストンの高校や、トップ選手が集まるクラブチームの大会で能力を磨いたことで、約10の大学から奨学金付きのオファーを受けるまでに成長した。
ボストン大が所属する「アトランティック・コースト・カンファレンス」はNCAA主要リーグのひとつで、マイケル・ジョーダンらを輩出したノースカロライナ大学も所属するなどレベルは最高峰。その中で揉まれていけば、NBA入りの可能性も見えてくる。
ほかにも、ポートランド大でプレーする207㎝のセンター・山ノ内勇登ウィリアムズ、ジェイコブスも所属したNBAグローバルアカデミーに所属し、近い将来、NCAA校に進む可能性が高い200㎝のオールラウンダー、川島悠翔といった選手もいる。彼らが期待どおりに成長すれば、日本はより世界と伍して戦えるチームになるだろう。未来は明るい。