"生え抜き高卒野手"として、首脳陣からもファンからも熱い視線を送られる巨人・浅野翔吾。そのポテンシャルは本物なのか!?【プロ野球2023ラストスパート・ワイド(4)】
*成績はすべて9月4日時点
■目指すべき究極形は誰なのか?
このままでは2年連続Bクラスもありえる読売ジャイアンツ。悩める盟主の数少ない明るい話題といえば、ドラフト1位・浅野翔吾の活躍だ。
岡本和真以来、球団7人目となる「高卒新人での本塁打」をマーク。さらに、王貞治以来、球団64年ぶりとなる「高卒新人でのスタメン1番起用」に大抜擢。今、注目度はますます高まっている。
そんな浅野を去年のドラフトの段階で評価していたのが野球評論家のお股ニキ氏だ。当時、「牧秀悟(DeNA)や村田修一(元巨人)的な動きがすでにできている。高卒でここまで逆方向に打球が伸びる技術を持つ選手は低身長でも期待大」と語っていたが、実際の活躍ぶりをどう見るのか?
「初昇格のときはまだアマチュアっぽさがあったけど、1軍の試合を経験し、すぐに合わせてきたところに非凡さを感じます。打率も残っていて、打球も速い。順調に成長すれば、『3割20本』も打てる1番打者になってくれそうな期待感があります」
浅野といえば、高松商業時代に教えを受けたイチローにちなみ、51番を背負っているが、プレースタイル的に追い求める究極形は誰なのか? 浅野自身は小さな大打者、アルトゥーベ(アストロズ)が目標と語っていたが......。
「よく、体が小さいから完成形は吉田正尚(レッドソックス)という人がいるけど全然違います。アルトゥーベは最大限に柔らかいバッターでちょっと違う。体の回転で打つタイプなので、構えの形や重心は坂本勇人に似ていますが、スイング軌道が違う。強いて言うなら、平田良介(元中日)のスイングをもっとコンパクトにした感じ。
究極形の選手を挙げるなら、1980年代に活躍した真弓明信(阪神)や大石大二郎(近鉄)。ふたりとも1番打者で、全盛期には30本近くの本塁打を放っています。スプリンガー(ブルージェイズ)のような積極的に本塁打を狙える1番打者になってほしいです」
巨人の高卒野手で若いうちにレギュラーを獲得した松井秀喜、坂本、岡本のように"球団の顔"になるために必要なこと、ファンも含めて周囲が気にすべきことは?
「その3人は別格で、そこまで順調にいかないかもしれないけど、いいものは持っています。ただ、大田泰示(現DeNA)のときのように周りが過剰に求めすぎるのはよくない。過大評価するのではなく、ファンも首脳陣も適正評価をして、秋広優人ら、ほかの若手とも競わせながら起用していけばいいと思います」