就任1年目の昨季は最下位に沈み、雪辱を期して臨んだ今季も浮上できなかった立浪監督 就任1年目の昨季は最下位に沈み、雪辱を期して臨んだ今季も浮上できなかった立浪監督
プロ野球のシーズン終了までわずかになった。2年連続最下位もちらつく中日ドラゴンズの現状を、今季、各方面から注目を集める話題の"中日系インフルエンサー"赤味噌さんが解説!【プロ野球2023ラストスパート・ワイド(3)】 
*成績はすべて9月4日時点

■球団ワースト記録もちらつく低迷ぶり

8月下旬には立浪和義監督の指示で試合前の白米提供が禁止される"令和の米騒動"が勃発した中日ドラゴンズ。これで力が出なかったかは定かではないが、8月25日のDeNA戦は"悪夢の18失点"で大敗。負の連鎖は続き、この翌日には2軍戦でも12失点。2軍は今季、球団ワーストとなる14連敗を喫するなど、明るい話題が少ない。

「8月末時点で借金26。このままでは球団ワースト記録を更新する可能性もあります」

こう話すのは中日ファンの代表格、赤味噌さん。5月末に中日入りが決まったウンベルト・メヒアの獲得を4月1日時点で予言していたことがSNSで話題となり、『Number Web』でもインタビュー記事が組まれたほど。SNSでは"赤味噌さん"が何度もトレンド入りし、4月時点で5万人強だったXのフォロワー数は倍増の11万人突破と、今季の中日界隈(かいわい)では数少ない右肩上がりの数字を叩き出している。

普段からさまざまなデータを駆使して中日を論考する赤味噌さんは、低迷の理由をどうとらえているのか? まず浮かぶのは、得点数、チーム本塁打数、チームOPS(出塁率+長打率)がどれも12球団ワースト、という打撃面。中でも赤味噌さんが指摘するのは、内野陣の攻撃力不足だ。

「外野手では岡林勇希選手、細川成也選手が活躍していますが、内野手の攻撃力はワーストクラス。特に二遊間は村松開人(かいと)選手、龍空(りゅうく)選手共に守備指標はいいものの、打率2割前後と攻撃面では厳しいものがあります」

その背景として、無計画に思えるトレードなどの編成ミスがあるのは明白だろう。

「ひとり放出するならともかく、阿部寿樹選手、京田陽太選手を放出し、さらに三ツ俣大樹選手まで出してしまったので内野手が完全に不足。彼らを、村松選手や龍空選手らが"越えるべき壁"として機能させればよかったのに、その壁を排除して若手を使うのは純粋な育成とはいえません」

また、2軍の運用&連携不足の影響で、戦える選手の駒不足は投手陣でも起きていた。

「2軍も含めて先発投手の絶対数が足りていません。HQS(先発投手が7回以上を投げ、自責点2点以内に抑えること)はリーグ5位。広いバンテリンドームを本拠地にしながら、先発にそこまで強みをつくれていません」

すでに自力でのAクラス入りの可能性は消滅している中日だからこそ、「来季につながる采配を!」と話を続ける。

「今の中日は投手によって基準が変わったり、球数が少ないのに早く降ろされたりと、投手運用がバラバラです。先発にはある程度、長い回を行かせてリリーフを休めたり、リリーフでも勝ちパターンの投手の酷使を減らしたりする工夫をしてほしいです」

野手でも、もっと若手の活用をしてほしい、と訴える。

「石垣雅海選手や鵜飼航丞(うかいこうすけ)選手、福元悠真選手、ブライト健太選手といった若手を試していく姿勢が欲しいのに、目先の1勝を狙いすぎて、結果的に目先の1勝も落としている。結局、何を目指しているのかわからない状態です」

■歴史的大記録に挑む"投打の柱"に注目

今季の中日で数少ない明るい話題だった「大島洋平2000本安打」のカウントダウンも終わってしまった現状で、今後のポジティブな要素はあるのか? 赤味噌さんは「投打のタイトル争い」を挙げる。

「投手では、やはり絶対的抑えのライデル・マルティネス投手。すでに30セーブで、ヤクルトの田口麗斗(かずと)投手と1差で最多セーブのタイトルを争っています。また、現在の防御率は0.21。シーズン40試合以上登板したリリーフ投手の歴代最高防御率は、元中日のセットアッパー浅尾拓也投手の0.41ですが、それを更新する可能性があります」

打撃タイトルがかかるのは、今季、74年ぶりに球団記録を塗り替える29試合連続安打をマークした岡林勇希。現在、DeNAの牧秀悟と2本差で安打数リーグ1位だ。

「岡林選手は昨季も最多安打のタイトルを獲得。2年連続でこのタイトルを獲(と)れば、球団では大島選手以来。NPB全体でも、高卒ではあのイチローさん以来の快挙です」

ちなみに、岡林にもマルティネス同様、歴史的な記録がかかっているという。

「岡林選手は今年、三塁打を9本打っています。昨年も10本打っていて、2年連続で三塁打2桁の可能性も。これはNPB全体でも過去61年間出ていない大記録です。

また、今年このまま完走すれば、井端弘和さん以来、球団17年ぶりのフルイニング出場に。開幕前、練習試合中の守備の交錯で右足を打撲。さらに、その後の侍ジャパンとの強化試合でダルビッシュ投手から死球を受ける不運が重なりながらも、開幕に間に合わせるなどケガに強い点も魅力です」

このほか、ベテラン勢ではビシエドの通算1000本安打(残り15)、涌井秀章の通算2000奪三振(残り11)達成にも期待を寄せる赤味噌さん。こうした選手個々の頑張りがチーム成績に反映される日を心待ちにしたい。