いよいよ開幕するチャンピオンズリーグをフカボリ!いよいよ開幕するチャンピオンズリーグをフカボリ!
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。

そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる!

第70回のテーマはいよいよ開幕するUEFAチャンピオンズリーグについて。古橋恭吾や鎌田大地など、多くの日本人も参加する今季のCLの注目ポイント、優勝候補について福西崇史が解説する。

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日本時間の明日未明に今季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)のグループリーグが開幕します。日本人選手も多く参加する中で、個人的に注目するグループについて解説していきたいと思います。

まず、今季のグループ分けで一番目を引くのは、やはりグループFでしょう。パリ・サンジェルマン(PSG)、ドルトムント、ミラン、ニューカッスルはいわゆる"死のグループ"。正直、どこが勝ち上がるかという予想が難しいですね。

その中でも一番注目しているのは、プレミアリーグのニューカッスルです。21年ぶりのCL出場とはいえ、その実力はプレミアで実証済み。あの強度の高いアグレッシブなサッカーが、CLの舞台でどう躍動するのか。

2021年からサウジ資本による買収で着実に選手を補強してきて、今季もサンドロ・トナーリやハービー・バーンズ、ティノ・リブラメントなど、実力者から有望な若手まで獲得し、戦力をさらに厚くしてきました。どのチームもニューカッスルとの対戦は嫌だと思います。

それに対してPSGはネイマールが去り、その代わりにウスマン・デンベレが加入。さらにランダル・コロ・ムアニやゴンサロ・ラモスなどが加わり、去就問題でクラブとこじれていたキリアン・エムバペが戻ったことで、前線は相変わらず強力な布陣が揃っています。

ただ、メッシやネイマールがいた頃と比べれば、個の派手さがなくなった分、どのようにバランスを取ってチームとして仕上げてくるのか見ものです。

ミランは早速トナーリが古巣対戦となり、どんな試合になるか楽しみです。その代役としてチェルシーからルーベン・ロフタス・チークを加え、クリスティアン・プリシッチも獲得しました。さらにビジャレアルからサミュエル・チュクウェゼも加えるなど積極的な補強を行ないました。

ドルトムントはショートカウンターを主体とした縦に速いサッカーで、昨季のグループリーグでホーム無敗。優勝したマンチェスター・シティにも引き分けるなど、2位でグループ突破をしています。ジュード・ベリンガムが移籍した穴をどう埋めるかは注目ですね。

もう一つの注目は、日本人として楽しみなグループEです。上田綺世所属のフェイエノールト、鎌田大地所属のラツィオ、古橋恭吾、前田大然ら所属のセルティック、そしてスペインのアトレティコ・マドリード。どこが勝ち上がっても日本人選手が必ずラウンド16に残ります。

なかでも上田は勝負の年になるでしょう。オランダ王者のフェイエノールトに移籍してポジションを勝ち取り、エールディビジで活躍するのは当然。その上で初挑戦のCLでどれだけ自分の力を証明できるか。代表戦での負傷で初戦には間に合わないのが残念です。

移籍したばかりと言えば鎌田も同様です。イタリアというドイツとは異なる文化、マウリツィオ・サッリ監督のこれまでとは異なる攻撃的なサッカーの中でポジションを勝ち取り、どれだけ存在感を発揮できるか。

そういった意味では先日のナポリ戦で決勝ゴールを決め、サポーターに受け入れられたと思います。鎌田がサッリ・ボールの中でどのようにリズムをつけ、攻撃に変化をもたらすのか注目です。

セルティックは国内では絶対的な王者でありながら昨季のグループリーグでは一勝もできず、苦戦しました。とくにエースの古橋は無得点に終わり、悔しい思いをしたと思います。先日はオールドファーム・ダービーで決勝点を決め、エースの力を示しました。今季こそ、その得点力でチームに勝利をもたらしてほしいと思います。

今季の優勝候補筆頭は、圧倒的に前回王者のマンチェスター・シティだと思います。そのシティをどこが止めるのかが焦点になるでしょう。イルカイ・ギュンドアンやリヤド・マフレズといった実力者が去りましたが、その代わりにマテオ・コバチッチやジェレミー・ドク、マテウス・ヌネスを補強し、まったくその穴を感じさせません。

対抗馬としては、昨季絶好調でスクデットを獲得し、CLでもベスト8まで勝ち上がったナポリ。それから念願のエース・ストライカーのハリー・ケインを獲得したバイエルン・ミュンヘン、ラ・リーガ王者のバルセロナ、新エースとしてベリンガムが絶好調のレアル・マドリード、先ほども取り上げたPSGあたりでしょう。

昨季、悲願のCL制覇を達成し、この舞台での勝ち方を心得たシティを止めるのは至難の業。しかし、その一方で何が起こるかわからないのがこの大会でもあります。今季もどんなドラマが待ち受けているのか、ぜひ注目しましょう。

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