みなさんは今日の朝に何を食べましたか? 私はいつもように、白いご飯とお味噌汁、おかずのシンプルな和食でした。では、大事な勝負の日には何を食べますか? 今回は野球選手の「勝負メシ」についてお届けします。

ロッテの種市篤暉投手は、登板日の朝には必ず納豆を食べるそうです。「粘り強いピッチングができるように」という願掛けなのだとか。わがヤクルトでは、梅野雄吾投手は試合前にカレーを食べるそうです。

他にも、野球やスポーツに限らず、大事な勝負の前のカツ丼、トンカツは人気ですね。「カツ」と「勝つ」を掛けているのはご想像の通りですが、げんを担ぐ選手は少なくないでしょう。

私は夜に『ワースポ×MLB』の生放送がある日は、直前に食べると眠くなってしまうので、夕方5時にガッツリ食べます。いつも頼むのは、うどんを2人前。「食べ過ぎじゃない?」ってメイクさんに心配されることもあるのですが、それくらい食べて気合いを入れておくと、本番で最高の集中力が発揮できることがこれまでの経験でわかっています。

最近のスポーツ界のトレンドとしては、試合前は特別なものを食べず、いつも通りのルーティンで気持ちを整えることを重視しています。

イチローさんは現役時代、毎朝欠かさずカレーを食べていると言われていましたが、やはり同じものを毎日食べ続けていると、わずかな違いに気付くようになるのだとか。

番組でご一緒している黒木さんは、登板日は必ずミートソーススパゲッティを食べていたそうです。体に気を遣ってバランスのよい食事を心がけているのかと思ったら、高校時代のひとつ上の先輩である奥様お手製のミートソースを、昔からずっと食べているそうです。黒木さんらしい、心温まる話ですね。

先発投手はルーティンを大事にする方が多いイメージがありますが、引退された後の黒木さんが、どんな時にミートソースを召し上がっているのも気になります。

「ここぞ!」で食べるみなさんの勝負メシも教えてくださいね。 「ここぞ!」で食べるみなさんの勝負メシも教えてくださいね。

野球選手が試合前に、同じものを食べ続ける理由は2つあるんじゃないかと思っています。

ひとつは、「これを食べた日は試合で結果が出たから、明日も続けよう」というパターンですね。野手でも、ヒットを打ったバットやグラブを変えない選手もいます。ボールの行方が数センチ違うだけで結果が変わるシビアな世界ですから、こういう小さなことを大事にするのでしょう。

もうひとつは、余分な思考を排除し、試合に集中するためなのではないかと。

アップルの共同創業者のひとりであるスティーブ・ジョブズは、黒のハイネックにデニムという組み合わせしか服を持っていなかったことは有名ですね。毎朝、何を着ようかと悩む時間を少なくするための工夫だったようです。同じような思考の選手も多いでしょうね。

大谷翔平選手はWBCのときに、ゆで卵ばかり食べていて周囲が驚いたそうですが、ストイックなアスリートタイプの選手はそういう食事スタイルの方が多そうです。

私は食べることが大好きだし、寝る前は「明日は何を食べようかな」って考えるくらいなので、食事で気分を上げたほうがいい結果が出るような気がします。お気に入りは、旦那さんが作ってくれるだし巻き卵。本当においしくて、いつ食べても元気になるし、頑張ろうという気持ちになります。

食事はとても大事ですね。日本で活躍した選手がメジャーに渡る際、結婚をしてから渡米する選手が多いのは、奥さんに食事管理をしてもらうため......というのは前時代的な考え方で、愛する人と一緒に食卓を囲むことが、安心につながるからではないかと思います。好きな人と一緒に食べる食事は、一日の活力になります。

さて、私がヤクルトの始球式をする日がきたらどうしましょう。前日のお酒は1、2杯だけにして、翌朝はだし巻き卵とごはんとお味噌汁ですかね。

ぜひ、みなさんの勝負メシも教えてください。それではまた!

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週土曜日朝更新!