J1リーグの優勝の行方をフカボリ! J1リーグの優勝の行方をフカボリ!
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。

そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる!

第75回のテーマはJ1優勝争いです。残り4節を残して、優勝の行方は首位のヴィッセル神戸と2位の横浜F・マリノスの2クラブに絞られたという福西崇史が、白熱する優勝争いのポイントを解説する。

 * * *

10月の代表ウィークが明け、今年のJ1も残り4節といよいよ佳境に入りました。第30節終了時点で首位は勝ち点61のヴィッセル神戸。それを勝ち点差4で追うのが2位の横浜F・マリノス、3位は勝ち点53の浦和レッズとなっています。残りの試合数を考えると、今季の優勝争いは神戸と横浜FMに絞られたと思います。

当然ながら優勝の最有力は現在首位に立っている神戸です。ハイプレスをベースにした強固な守備と、前線の圧倒的なタレントを生かした迫力ある攻撃による堅守速攻はシンプルながら強烈。戦い方がはっきりしていて、代表ウィークで休養も十分。ここから崩れることはまずないと思います。

一方の横浜FMは、9月の公式戦2勝1分4敗と不安定な試合が続きました。10月の代表ウィークに入ってもACLやルヴァンカップの試合があり、神戸と比べて休む期間がありませんでした。しかもルヴァンは浦和に敗れて準決勝で敗退。精神的にもかなりの疲労感を感じていると思います。

勝ち点だけでなく、両クラブの状況を考えても神戸が優勢でしょう。

もっとも神戸に優位な点はスケジュールです。ACLがなく、天皇杯とルヴァンカップで敗退している神戸は、リーグ戦のみに集中できる状況です。残り4試合を余裕のあるスケジュールで迎えることができます。

それに対して横浜FMはリーグ最終節まで公式戦は7試合。11月7日にACLでアウェイのフィリピンへ遠征があり、ターンオーバーをしても移動だけでかなりの負担です。神戸にとってこのスケジュールの差はかなりのアドバンテージがあります。

残す対戦カードではやや神戸のほうがキツいと思います。先週末に行われた鹿島アントラーズ戦は、優勝を占う上でかなり重要な試合だと思っていました。ここでもし敗れ、続く今週末の湘南ベルマーレに連敗すれば、逆転される可能性は十分にあると思っていました。

湘南は残留争いの渦中にあり、何がなんでも勝ち点を拾いたい状況というのは神戸にとっては厄介な相手になります。しかし、その鹿島戦に3-1と快勝。内容的にも神戸が圧倒しました。この勝利は優勝へ大きな一歩になったと思います。

ただ、残りは残留争いの湘南、ACL圏内を争う浦和、名古屋グランパスと、最終節はガンバ大阪。上位との対戦を残し、勝ち点差的に1試合は落とせるとしても厳しい相手が続きます。

横浜FMはルヴァンカップ敗退後の先週末に北海道コンサドーレ札幌に4-1で大勝できたことは精神的にも大きかったと思います。残すはアビスパ福岡、セレッソ大阪、アルビレックス新潟、京都サンガF.C.です。

ルヴァンカップで決勝に進出して勢いのある福岡など、簡単な相手というわけではありませんが、リーグにおいては残留やACL圏内といったものが絡んでいない相手ばかりで、神戸と比べればやや戦いやすいはず。

ただ、繰り返すようにACLを戦いながらリーグ戦をこなしていかなければいけない。それに加え、残り試合数と勝ち点差的にもう1試合も落とせないとなると、そのアドバンテージも相殺されてしまうかもしれません。

スケジュール、残りカードを考慮する以外に、神戸が優勢だと感じたのは第29節での直接対決です。横浜FMのホームで、30,000人を超える観客を集めながらアウェイの神戸が2-0と完勝しました。この試合で両者にモチベーション、勢いの差を感じました。

神戸は初優勝というクラブの悲願が手の届くところまできて、チーム全体で非常にモチベーションの高さを感じました。足をつる選手が何人もいて、この試合ですべてを出し切るという気迫が全体にみなぎっていました。

対して横浜FMは、追いかける立場でありながら追い込まれている感じがなく、神戸の気迫が上回った印象を受けました。そこにはこの試合のあとに中断期間に入れる神戸と、ACLのアウェイを中3日後に控える横浜FMという差もあったと思います。

そうだとしても勝ち点を引き離しただけでなく、ライバルを直接叩けたことで神戸の士気はものすごく上がったと思います。その自信と勢いは、鹿島戦の勝利でも大いに感じることができました。この終盤でライバルを勢いづかせてしまったことは、横浜FMにとっては致命的だったと思います。

次節は互いにアウェイで、神戸が残留を争う湘南戦、横浜FMがルヴァン決勝進出で勢いに乗る福岡戦。神戸はここで勝てれば、そのまま優勝へ駆け抜けると思います。いずれにしてもヒリヒリする最終盤の試合で、どんなドラマが生まれるのか。ぜひ注目してもらいたいと思います。

★『福西崇史 フカボリ・シンドローム』は毎週水曜日更新!★