「対戦相手のレベルや各選手の状況に応じて、より柔軟にメンバーを選ぶ必要がある」「対戦相手のレベルや各選手の状況に応じて、より柔軟にメンバーを選ぶ必要がある」

カナダ、チュニジアと対戦した日本代表4-12-0と連勝した。2試合ともスコアはもちろん、内容でも圧倒した。

いつも強いチームと親善試合を組むのは難しい。それはわかっているけど、今回は相手がだいぶ物足りなかったね。強化よりも興行の意味合いが強くなってしまった。ただ、収穫もあった。

ひとつは左サイドバックの中山の復帰。2試合とも先発出場し、まずまずのプレーを見せた。あとはもう少し精度の高いクロスを出せるようになれば完全復活。森保監督も頼もしく思っているだろう。

そして中村。体調不良で代表を辞退した三笘に代わってカナダ戦で先発し、ゴールを決めた。これで代表では4試合で4得点。ケガさえしなければチュニジア戦も先発していただろう。相手がどうあれ、継続して結果を出していることは評価すべきだ。

一方で今回も気になったのはFW。アウェーのドイツ戦含めてこれだけ連勝して、ここ6試合で計24点も決めているのに、相変わらずワントップが決まらない。俺がエースだという選手に早く出てきてほしいね。

あとは久保のポジション問題。レアル・ソシエダではいろいろなポジションを経験して、右サイドに自分の居場所を見つけた。今季は継続していいプレーを見せている。でも、代表の右サイドには伊東がいる。タイプが違うし、所属クラブのサッカーも違うから比べるのは難しいけど、伊東はここ数年ずっと代表で結果を出し続けている。先発から外す理由は何もない。

左サイドにも三笘がいるので、結局、久保を先発させるには、今回のチュニジア戦のようにトップ下で起用するしかない。今のところ右サイドほど持ち味を発揮できていないトップ下で鎌田と競わせるか、それとも右サイドの控えとするか。久保は現状の扱いに不満を感じているかもしれないけど、仕方のないことだし、森保監督からすればうれしい悩みだ。

今回は試合以外の部分で、その久保の「キツいけど、なんとか戻ってきたという感じ」という発言も話題を呼んだ。クラブと代表活動の両立の難しさを訴えたものだ。これは今後、日本代表が向き合わなければいけない問題だろう。

国内での親善試合で相手はそんなに強くない。そういう場合に、長距離移動に加えて時差もあり負担の大きい海外組をフルメンバーで招集する必要があるのかという話だ。

今季の久保はレアル・ソシエダで欠かせない選手になり、レベルの高いスペインリーグ、さらに欧州チャンピオンズリーグ(CL)にも初めて出場している。疲労は溜まっているだろう。

久保以外にもCLやヨーロッパリーグに出場している日本人選手は増えている。そんな彼らが今回のような親善試合で調子を落とし、クラブでポジションを失ったら本末転倒。 

だから、なんでもかんでも海外組を招集するのではなく、対戦相手のレベルや各選手の状況に応じて、より柔軟にメンバーを選ぶ必要がある。今回はもっとJリーグ組にチャンスを与えてもよかった。

11月のW杯アジア2次予選も格下のミャンマーとシリアが相手。海外組全員を無理して呼ばなくてもいい。その代わり、来年1月開幕のアジア杯にはコンディションを整えて来てくれと。そういうやり方を森保監督ができるかだね。

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