ファンあってのサッカー。ファンあってのW杯。FIFA(国際サッカー連盟)もAFC(アジア・サッカー連盟)もそんな当たり前のことがわからなくなってしまったのか。
2026年北中米W杯のアジア2次予選が開幕。森保監督率いる日本代表はミャンマー、シリア相手に5-0、5-0と連勝スタートを切った。
まず初戦のミャンマー戦について。評価が難しいというのが率直な感想。日本のシュート本数は31でミャンマーはゼロ。リードを許しても攻めてこないに相手に勝っただけ。あえて言うなら、もっと点を取れただろうということくらいかな。
あとは選手がケガをしなくてよかった。それが一番の収穫。相手は日本のスピードについてこられないので、どうしても遅れ気味でタックルに入ってくる。日本の選手が倒れるたびに不安になったよ。
次のシリア戦も同様。相手のレベルはミャンマーより上がった。でも、それでも日本との力の差は歴然。5-0は順当なスコアだ。
そして試合の内容よりも大きな話題になったけど、テレビでもネット配信でも中継がなかったのはやっぱり寂しかったね。
中継がなかった原因は、シリアサッカー協会が持つ放映権の販売を担う代理店が、日本側に法外な放映権料を提示してきたからだそうだ。
放映権の問題は今に始まったことじゃない。前回の22年カタールW杯アジア最終予選のオーストラリア戦(アウェー)も地上波での中継はなく、DAZNで見るしかなかった。今年の女子W杯でも、なでしこジャパンの試合中継は直前まで決まらなかった。そして、今回はついに日本のファンが試合を観る術がなくなった。
昔と違っていろいろな利害が複雑に絡み合っているのだろうし、時代の変化といわれればそうかもしれない。でも、モノには相場というものがある。
今回、日本とシリアの実力差は明白で、さらに視聴率を見込める時間帯ではない。いくら2次予選の放映権がホームのサッカー協会に属するとはいえ、目先の利益だけを追ったばかりにそれを売れず、ファンも試合を見られなかった。これでサッカーへの関心を失われたら本末転倒。FIFAやAFCが価格の上限を決めるなりすべきだった。
日本サッカー協会に落ち度はないと思う。ただ、今後、FIFAおよびAFCにしっかり働きかけるべきだ。これでいいのか、こうやってライト層のファンを軽視することが世界のサッカーの発展につながるのか、とね。そうしないと今後も高い確率で同じようなことが起きてしまうだろう。
また、そもそもアジア予選のやり方の見直しも訴えるべきだ。現状は、一部のランキング上位国とそのほかの国のレベルの差が大きすぎる。今回の2次予選のほかのグループを見ても、やる前から勝敗がわかっている試合が多い。結果、放映権も売れない。
南米や欧州はいきなり最終予選というやり方を昔から続けているし、北中米カリブ海はランキング上位国がシードされ、最終予選から参加するようになっている。アジアも地域の実情に即したやり方に変えるべきだ。
話がそれたけど、今や世界中のリーグの試合を見られる時代なのに、肝心な自国の代表戦、それもW杯予選を見られなくなるとは皮肉すぎるね。